第13話 Side LU - 531 - 13 - ぼくのおしりにははいらないとおもうの -

Side LU - 531 - 13 - ぼくのおしりにははいらないとおもうの -



「さ、行くよ、今日は王太子殿下の誕生日をお祝いする夜会だからいつもよりお料理が豪華だ、いっぱい食べるのが好きなルシアちゃんは楽しいと思うよ」


「うん、でも・・・」


「俺か兄貴達の側に居な、声が聞こえるくらいの距離でね、何かされたらすぐに俺達の所に来てね」


「うん、お兄様ありがとう・・・大好き」






「次の入場はアンドリュー・シェルダン様、婚約者、セーラ・グデタマァ様、妹君のルシーア・シェルダン様」


うぅ・・・緊張する、みんなの視線が怖い・・・。


「じゃぁ、俺達は他のお家の当主に挨拶して来るから少し待っててね、タニタちゃんから離れないように」


「うん」






「美味しそうなお料理・・・僕はお話ししてくれる友達が居ないからできるだけ目立たないように・・・」


「あっ!、ルシルくん・・・じゃなかったルシア様も来てたんっすか」


「わぁ、シアさん・・・来てたんだ、その服かっこいい・・・」


「シェルダン家の騎士服、正装っすよ、ドレスはボクには似合わないっすからね」


「そんな事ないよ、可愛いと思うけど」


「もうお料理は食べたっすか?、ボクお腹空かせて来たからもうぺこぺこっす、一緒にテーブルを巡回するっす!、目指せ全テーブル制覇っす!」


「うん、行こう、楽しみ・・・」


今日も一人で他の貴族達の陰口や嫌味を聞かないといけないと思ってたけど・・・シアさんが居てくれて嬉しい!、今日は楽しく過ごせそう・・・。


「美味しい!、これもいいな、でも食べ過ぎちゃうかも」


「一つ取ってボクとシェアするっす!そしたらいろんな種類をいっぱい食べられるっす、もしルシア様が嫌じゃなければの話っすけど」


「嫌じゃないよ、平気だよ、お願いできるかな」


「じゃぁまたテーブル巡回を再開するっすよ!」


「うん!」






たくさんの美味しいお料理を食べて、2人ともお腹いっぱいになったので僕は夜会が始まってからずっと気になっていた事をシアさんに相談しました。


「ねぇ、シアさん、今日警備で壁の所に立ってる魔法騎士団の人達、ずっと僕を見てるような気がするんだけど・・・気のせいかな?」


「え、・・・あぁ見てるっすね、ルシア様が可愛いからじゃないっすか・・・あ、あそこに居る魔法騎士団長もずっとこっち見てるっすね・・・え、ちょっと待つっす!、ガン見されてるっすよ!、あの人って幼女趣味なんすかね?」


「いや知らないけど・・・、今日夜会が始まってからずっと視線を感じるんだよね・・・あの人が魔法騎士団長さん?、あ、目を逸らされた」


ローブでも隠し切れないくらいの筋肉ムキムキパッツンパッツンな魔法騎士団長さんが僕をずっと見てるの、はっ・・・どうしよう、僕の事が気に入って求婚とか・・・、僕ってシェルダンのお家では役に立ってないからお嫁に出されるかも・・・魔法騎士団長さんって確か上級貴族で独身だし身分的にも大丈夫・・・。


もし、・・・結婚なんて事になったら、・・・嫌だ!、タニタさんが自分のお部屋に隠してある小説みたいに男同士でいやらしい事されちゃうのかな・・・。


僕にはお股の穴が無いからお尻・・・あの小説だとお尻を調教?されて、もう彼無しでは生きられない身体にされたって書かれてた・・・僕もそうなっちゃうの?、それにとっても痛いって、あの団長さんの体格だとおちんちんもすっごく大きいと思うの、そんなのお尻に入れられたら僕死んじゃう!、でも抵抗してるのに無理に押さえつけられて・・・そんなの嫌だ・・・お父様助けて・・・。


「どうしたんっすかルシア様、お顔が真っ青っすよ、それに震えてるっす」


「いや、なんでもないよ!・・・ハハハ」


「お腹痛いんっすか、それならお手洗いに・・・」


「ううん、大丈夫、ちょっと食べ過ぎちゃったかなーって」


「そうっすか」






「じゃぁボクはちょっとお手洗いに行って来るっす!」


「うん」


シアさんがお手洗いに行って僕はまた一人、離れてついて来てくれていたタニタさんが音もなくボクの後ろに寄り添ってくれました。


「ねぇ、ずっと後ろをついて来てくれてるけど、タニタさん大丈夫?、お腹減ってない?」


「私はメイドですので仕事中は飲食を致しませんお嬢様には気にして頂かなくても結構です食事をお楽しみ下さいませ」


「そう・・・ごめんね」


「いえ」


またセリフを一息で言い切っちゃったよこの人。






ヒソヒソ・・・


「ねぇ・・・すっごい冷たくて厳しそうなメイド・・・やっぱりあの子、お家で虐げられてるって噂・・・本当かも」


「私の専属メイド、優しい人でよかったぁ・・・あんな人だと怖くて泣いちゃいそう」


「主人がお腹空いてないか心配してるのにあんな言い方しなくても」


「目が怖いよね、シェルダンのあの子、絶対メイドに嫌われてるよ」






・・・いつもの陰口、・・・全部聞こえてるよ、・・・酷い・・・タニタさんすっごく優しいのに、僕に良くしてくれてるのに・・・そう思ったら悲しくなって来ちゃった。


「うぅ・・・ぐすっ・・・」


「なぁ男女」


「え・・・」


「お前男なんだってな、それなのにちんちん無理やり切られて女になったって聞いたぞ」


「あぅ・・・」


「男なのにドレス着て変なの、立ち小便も出来ねぇだろ、お父様が言ってたぞ、あいつは子供も作れない出来損ないの役立たずだって、ハハハ」


「うぅ・・・ぐすっ・・・」


「男のくせにすぐ泣くよな、そうか男じゃないのか」


「やめてよ・・・」


「なんだ・・・え?、ひぃっ!・・・す・・・すみませんでしたぁ!」


走って逃げて行っちゃった、どうしたんだろう・・・僕の後ろから凄い冷気みたいなのが出てて、背中がビリビリするんだけど・・・、何だろうって後ろを向こうとしたら・・・。


がしっ!


え、何?、両肩を押さえられて後ろを向けないよ。


「今後ろを向いてはいけませんお嬢様」


「え、タニタさん?」


「少し殺気が漏れてしまいましたね、もう押さえ込みましたから大丈夫ですよ」






ヒソヒソ・・・


「凄い殺気だったぞ!、誰だよ今の」


「分からん、どこだ、そんな手練れはこの辺には居ないだろ、俺達の他には女性と子供だけだ」


「あいつじゃね?」


「ほらあのメイド、シェルダン家に居ただろ、確かタニタ・アッツーシー・・・、毒使いアッツーシー家の次女だ、出来損ないだって噂だがな」


「ローゼリアの毒蛇の子孫か」


「あいつは無能だって噂だが彼女に何かあればシェルダンや毒蛇が動くぞ、関わるな」


「ひぃっ・・・そりゃやばいな・・・」






また陰口だ、タニタさんは無能じゃないもん!、とっても優しい人なのに・・・。


「行こう・・・タニタさん」


「はい」


「あ、いたいた、ダメだよ僕達から離れちゃ」


「あ、アンドリューお兄様とアルベルトお兄様!、今はお手洗いに行ってるけどアーシアさん・・・、うちの騎士団長の娘さんと一緒にお料理食べてたの」


「そっか、タニタちゃんも居るから大丈夫だとは思うけど気をつけてね、それからね、今そこでお話ししたんだけど、魔法騎士団長がルシアちゃんにとっても大事なお話があるんだって、向こうに居るから行こうか」


「ひぃっ・・・」


「どうしたの、ルシアちゃん」


「い・・・」


「い?」


「いやぁぁぁ!、嫌だお兄様!、行きたくない!、僕帰る!、嫌なの、帰るの!、僕のお尻の危機なの!、うわぁぁぁん!」






「落ち着いた?」


夜会の会場で泣き出した僕を連れてお城の別室に連れて来てもらいました、ここは途中で体調が悪くなったり、家族で何か相談する時に借りられるお部屋なの、ソファとテーブルがあって、簡単な打ち合わせやお食事もできる広いお部屋。


「ごめんなさい、また家族のみんなに迷惑かけちゃった、・・・だから夜会なんて嫌いなの」


「仕方ないよ、今日は余程の理由がない限り上級貴族は全員参加の事って王命があったからね、まぁうちの場合はそんなの無視できたんだけど、とりあえず王家に恩を売っておこうって事でみんなで参加したの」


「そう・・・」


「で、さっきのお話の続きなんだけど、魔法騎士団長がね」


「ひぅっ・・・」


コンコン・・・


「どうぞ」


「・・・失礼する」


地の底から響くような低く威圧感のある声、お部屋のドアの上に頭をぶつけそうな巨体、そして躍動する筋肉!・・・うわぁ・・・服の上からだけど乳首の上がピクピクしてるよ・・・何で魔法騎士なんだろう、騎士より強そうなのに・・・。


「あぁ、団長さん、今ちょうどルシアちゃんに話をしてた・・・」


「いや・・・、いやぁ・・・助けて!、僕の身体貧相で満足できないと思うの!、生まれた時はお・・・男の子だったし、お尻の穴も小さいし!、許して!、そんな大きな身体でされたら僕死んじゃう!、お父様助けて!、怖いの!、うわぁぁぁん!」


「え?・・・」


「え?・・・」


「ルシアちゃん何を言って・・・」


お父様、お義母様、お兄様2人とその婚約者のお義姉様2人、お母さんとタニタさんは意味が分からないと言った顔で僕を見ました。


「何って・・・魔法騎士団長さん、僕が気に入って求婚して来たんだよね・・・、でも僕は元男だし、身体も小さいから・・・その・・・僕のお尻には入らないと思うの」


あ、魔法騎士団長さんが頭を抱えちゃった、求婚じゃないのかな?。


「だって、団長さん、夜会が始まってからずっと僕に熱い視線を向けてきて、アーシアさん・・・あ、その子はうちの騎士団長の娘さんなんだけど、もしかしたら団長さんは幼女趣味じゃないかって・・・」


「ぶほっ!・・・げふっ!・・・えふっ!・・・」


あ、セーラお義姉様が飲んでたお茶を鼻から吹き出した、お兄様がハンカチで拭いてあげてるよ、優しいな・・・。


「それで僕、このお家で役に立ってないからお嫁に出されると思ったの、でも元男だし、・・・だから団長さんは幼女趣味で更に男もいける人なんじゃないかと思って・・・そんな怖い人と結婚させられるって思ったら、僕・・・ぐすっ・・・」


「・・・ぷふっ・・・くっ・・・くくっ・・・」


お母さん肩が震えてる、団長さん居るからいつもみたいに大笑いできないね、その横でタニタさんも肩が震えてるんだけど!・・・そういえばタニタさんの笑ったところ見た事ないな・・・笑え・・・笑うんだタニタさん。


「ぐっ・・・ぷぷっ・・・」


お兄様やお父様も何か震えてるんだけど・・・あ、アルベルトお兄様そんなに手を握りしめてたら爪が食い込んで血が出るよ・・・。


「これは失礼した、誤解があったようだ、私は幼女趣味でも男色でもない」


うわぁ、低くて威圧感あるけど団長さんいい声だな、この声で魔法詠唱したらかっこいいかも・・・。


「でも団長さんは独身・・・」


「ふぁ・・・んんっ!」


お義母様笑うの我慢し過ぎて淑女らしくない変な声出したよ・・・咳払いで誤魔化したけど・・・もうみんな笑っちゃえばいいのに。


「私の名前はバーサカァ・イリアスキー・・・上級貴族イリアスキー家の当主でこの国の魔法騎士団長だ、ルシーア嬢に話があったのだ、だから君の家族に相談して時間を都合してもらった」


「それが僕への求婚の話では?」


「ない」


「ぶふっ!」


わぁ・・・アルベルトお兄様の婚約者、エメラルダお義姉様が我慢の限界を超えて鼻水を吹き出した、お兄様は・・・自分の事で精一杯だから無理だ・・・僕のハンカチをそっと出した。


「・・・はりひゃとうルヒアひゃん(ありがとうルシアちゃん)・・・ぶふっ!・・・あぅ・・・ふひゃはは・・・ぷふっ!・・・」


油断したのかエメラルダお義姉様・・・また笑いが込み上げて鼻水を吹いた、2回目だ、完全に笑いのツボに入ったみたいでハンカチの隙間から鼻水を飛び散らせた後、ソファから崩れ落ちて小刻みに震えてるよ・・・大惨事だ。


僕に話って何?。

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