第3話 Side LU - 531 - 3 - これはあせなの -

Side LU - 531 - 3 - これはあせなの -



「・・・はっ!、せやぁ!・・・とぅ・・・、ほぁたぁ!・・・ひぃっ、・・・また負けたぁ・・・悔しいよぉ・・・」


僕は今、照魔鏡(ゴーグル)を付けて端末の前で戦っています!、負けたけど・・・。


「対戦ありがとう、楽しかったです・・・っと、送信!」


「あ、返信来た・・・「いえいえー、どういたしましてっすー、次もまた遊びましょう!」・・・か、どこの誰か知らないけど良い人みたいだね」


今若者の間で大人気の格闘ゲーム、白銀の大魔導士様が監修って聞いたから手を出したけどすっごい面白い!、運動になるし身体にも良いから!っておねだりして僕の2番目のお兄様、アンドリューお兄様に買ってもらったんだぁ。


人気すぎて品薄だから手に入るか心配だったけど、オーナーの一族には配慮してくれたみたいであっさりと手に入ったの、あ、オーナーっていうのは白銀の大魔導士様が製作商会に出資してるからうちの一族も顔が利くらしいの、そんなのズルじゃんって言われそうだけどね。


僕が今遊んでるのはセグゥワー商会から出てる最新格闘ゲーム「ホクトゥのファイタァ2」、自分が選んだキャラクターで戦うの、もちろん相手は実在して僕と同じゲームで遊んでるんだよ、凄いよね。


「グァチャァ」というくじ引きみたいな事をして手に入れた沢山のキャラクターの中から選んで強く育てるの、僕がいつも使ってるのはお気に入りの「ユゥリィアァ」ちゃん、本来はおっぱいが大きなキャラらしいんだけど、使ってる人の体型になっちゃうからぺったんこ・・・、でもこの方が動きやすくていいの!。


ゲームにお金を払う・・・「クワッキーン」っていう事をするとおっぱいも大きく出来るし、身長も変えられるけど、僕のお小遣いは領民の人達が一生懸命働いて納めてくれた税金、こんな無駄な事に使っちゃ絶対ダメ!、これは形のないデーターなの!、形の残らない物にお金を払うのはバカだってタニタさんも言ってたし!。


・・・それにしてもよく僕と遊んでくれるこの相手は相当やり込んでいるようでとっても上手、いつも使っているのは「トッキィー」っていう男キャラ、頑張って拳を当てようとしても全然当たらなくて受け流されちゃう、何でなの、・・・さっきなんて僕の「ユゥリィアァ」ちゃん、攻撃喰らって笑いながら爆(は)ぜたんだよ!。


「あー・・・疲れたぁ」


僕は照魔鏡(ゴーグル)を外して倒れ込んだベッドの上でゴロゴロ転がって対策を考えます、攻略本も出てるけど、自分の力で解決したいなぁ・・・。


初回登録特典でもらった石で引いたアイテム・グァチャァで手に入れた「リハァクゥの目」は装着してるのになぁ、これって星5つの最強アイテム、僕の持ってる中で一番レアなやつ、効果は「節穴の加護」っていう意味の分からない物だけど多分強くなってると思うの・・・。


そんな事を考えているとノックの音と同時にガチャリ、・・・とお部屋の扉が開き、僕の専属メイドのタニタさんがお茶とお菓子の準備をして入って来ました、ノックから入ってくるまでの時間早っ!、入っても良いって返事してないし!、僕が一人でエッチな事してたらどうするんだろ、・・・僕は・・・しないけどさ・・・。


「おやおやお嬢様お行儀が悪いですねまたそんなエッチな格好をして可愛いドレスやワンピースがあるのに何でわざわざそんな妙な格好をするのでしょう頭が沸(わ)いているのかもしれませんね私はとても目の保養になるので構わないのですがお屋敷内をその格好で歩き回られるのは流石にどうかと思います男性使用人達が目のやり場に困っていますよ痴女だと思われたらどうするのですかまぁ私は別にお嬢様がどう思われても構わないのですが」


すっごい早口で一息で言い切ったよこの人、・・・しかも無表情・・・。


「わーん、酷いよタニタさん、これは白銀の大魔導士様のお店、「リーゼ」の最高級女性用運動着だよ、「ヨッガレギーンス」っていうの!、同じ運動着の「イッモジャッジィ」より薄くて軽くて動きやすいし着ていて楽なの、それにズボンとか男物のお洋服着てたらお父様やお義母様がすっごく悲しそうな顔するから運動する時に着るものはこれか「イッモジャッジィ」しかないの」


「そうはおっしゃいますが四六時中寝る時もそれを着てるじゃありませんか、最近お外でもその服を着て歩いている姿が多数の使用人に目撃されておりますが、・・・せめて外出される時は「イッモジャッジィ」にしてくださいませ、しかもお洗濯に出される下着が汚れておりませんし匂いもしません、さては下着を履かずに直接そのいやらしい服を着ているのでしょうか、とんでもないド変態でございますねお嬢様」


「わぁぁ!、バレちゃった、・・・って何で僕の下着嗅いでるの!、・・・うぅ・・・でも、・・・女性用の下着、あれ履くの凄く恥ずかしいの、・・・フリルやリボン、・・・可愛すぎるっていうか・・・僕、一応元男の子・・・、どこかに外出する時は下着、・・・僕だって時々履くし、・・・お兄様のを借りてだけど・・・」


「女性用下着は恥ずかしいのにその服は恥ずかしくないとおっしゃる、・・・やはり少し頭がおかしいのではないでしょうかお嬢様、よろしければお医者様をお呼びしますが、・・・しかもお兄様方の下着を無断で拝借して、・・・って救いようがありませんねお嬢様、妹が自分達の下着を盗んで履いていると知ったらさぞドン引きされるでしょう、・・・あ、アルベルト様はご存じの様子でしたね、「妹が時々僕の下着を盗んで履いているようだ、タニタちゃん取り返して来てくれるかな」とおっしゃられておりましたので」


「ぎゃぁー!、お・・・お兄様にバレてたの?、嘘!、嫌だ、・・・僕まるでド変態じゃん!、うぅ・・・恥ずかし過ぎる、・・・それにしても相変わらず言葉のキレが鋭いなぁ、・・・タニタさん・・・、もうちょっと、僕に優しく・・・」


「まるでじゃなくてお嬢様は本物のド変態でございます、それに優しくしていたらお嬢様は私のありがたい忠告を全く聞かないじゃないですか、だから不本意ですが心を鬼にして言っているのでございます、私がこのお屋敷に雇っていただいた当初、無表情で無口、愛想が無いと怒られて泣いていた時にお嬢様だけは「もしよかったら僕の専属メイドになってよ」と言ってくださいましたよね、とても嬉しかったし感謝しているのですよ、だからお嬢様が間違って道を踏み外さないようにですね・・・」


「あーはいはい、分かったから、それよりお茶冷めちゃってない?」


「・・・チッ、・・・失礼しました、お部屋に入るなりお嬢様がベッドの上でとてもエッチな服を着て転げ回っておりましたのでお茶の事が頭から抜け落ちておりました、お湯を交換して参りますので少々お待ちくださいやがれです」


「いやもう冷めててもそれでいいよ、僕今運動してたから熱いのはちょっと・・・」


「・・・あ?、お嬢様は私の完璧な温度管理と卓越した技術で淹れる最高の茶が飲めないと?」


「いえ!、何でもないです!、どうぞ、お湯を交換して来て・・・」


「かしこまりました」


バタン・・・


「・・・ふぅ、・・・タニタさん、・・・今日はよく喋る、何かいい事でもあったのかな?、無表情でそっけないからタニタさん誤解され易いんだよなぁ・・・、本当はすごく優しくて思いやりがあって、可愛い人なのに、よく見てたら表情も・・・、あ、これは嬉しいんだな・・・、おや、今日は機嫌が良い・・・、って分かるのに、・・・フフッ・・・」


「お待たせいたしましたお嬢様」


「うひゃぁっ!、・・・いつの間に!、ってか早っ!、もうお湯交換してきたの?、ひょっとして今の聞かれてた・・・」


「はい、しかとこの耳で聞いておりました、実はお部屋の外に出てから魔法で沸かし直したらよいのではないかと気付きまして、お部屋の外で沸かし直して気配を消してお嬢様の背後に・・・」


「・・・わぁ!、怖いよ!何で気配を消す必要あるのさ!、暗殺者じゃあるまいし!」


「お嬢様を驚かせるのは私の数少ない趣味でございますので、・・・おや、股間が少し濡れておりますね、驚いてお漏らしあそばされたのでしょうか?」


「・・・ち、違うもん!、これは汗!、今まで運動してたから汗なの!」


「・・・そういう事にしておきましょう、だから下着はきちんと着用された方がよろしいかと・・・、いえ、その量ですと例え下着があっても意味がなかったと推測できます、・・・おっと失礼いたしました」


「わーん、タニタさんが酷いこと言うの・・・、僕おちんちんが無いから他の人より我慢できないの・・・ちょっとした事で漏れちゃうの」


「さてお茶が入りましたよお嬢様、さっさと飲みやがれです」


「・・・あれ、冷たいお茶だ、・・・よく冷えてて美味しい!、・・・あ、さっき僕が言った事、・・・気を遣ってくれたんだね、ありがとうタニタさん!」


「か・・・勘違いしないでくださいませお嬢様!、先ほど改めて今日の気候と室内温度、お嬢様の顔色を確認して体調を推測、それらを考慮した結果、熱いお茶より冷たいものの方が好ましいと判断したまでです!、得意じゃない氷魔法を使ったので思うように冷やせなかったのですが、・・・お嬢様にはこれで十分なのでございます!」


「そういう事にしておくよ、本当に美味しいなぁ、・・・いつもありがとうね」


「・・・」


タニタさんは耳まで赤くなって俯いてフルフルと震えています、本当に可愛い人だなぁ、でもちょっと仕返しし過ぎちゃったかな・・・。

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