第4話【舞踏会に向かう】
社交界デビューまで数ヶ月で令嬢として淑女としての立ち振る舞いをお母様や先生に教わった。
男性としての立ち振る舞いはお父様しかいないのだけれど…。
わたくしが男性として生きるのは極秘だから仕方ない事。
どこで情報が漏れるのか分かったものでは無いもの…。
お兄様達を手にかけ我が家を没落させようとした黒幕は必ずいるのだから。
我が家の没落を目論む家門と王家の側近は別だとか言われてるけど大元は絶対そっちにいるとわたくしは考えてるの…。
じゃないとおかしいもの……。
ドレスや宝石をお母様と選んでいよいよ社交界デビューの日。
「お母様、おかしくはありませんか?」
「リア……とても綺麗よ。」
髪をハーフアップにして髪がざりはお兄様の目の色と同じ…。
わたくしにも赤はあるから不自然では無いはずだけれど……。
薔薇の形をした髪留めにルビーが散りばめられてるのが気に入ったの。
ネックレスやイヤリングはお母様と同じピンク色でわたくしの片方の瞳と同じ…。
ドレスは赤やピンクの色に合う水色になった。
レースやリボンが散りばめられ後ろの腰には大きめのリボンがある。
きっとこんな可愛いドレスはあと何回着れるのかしら……。
「お母様と一緒に選べて良かったです。」
照れながら微笑む私を優しい眼差しで見てくるお母様。
「わたくしもよ。
あの人にも見せましょう。」
「はい、お母様。」
エントランスまで移動して先に待ってるお父様と合流をする。
お父様のは服はグレーだけどプローチはお母様の瞳の色と同じピンクのものを使っている。
お母様はアクセサリーにお父様の瞳の色と同じ赤を取り入れていた。
2人はいつまでも仲良しで幸せな気分になってくる。
いつまでも変わらずにいて欲しいと願ってしまう。
「お父様、お待たせいたしました。」
「リア、可愛いな。
よく似合っているよ。」
「ありがとうございます。
お母様のセンスがいいのですわ。」
「まぁリアったら。褒め上手ね。」
「自慢の娘なのだからいいじゃないか。(あと何回娘と呼べるのだろうか……。)」
「そうね…。自慢の娘だものね。(娘としてずっと育てていきたかったわ……。)」
「お父様、お母様……。
わたくしは大丈夫ですよ。
男性として生きるとしてもわたくしはずっと変わらずお二人の娘ですわ。」
「……そう…だよな…。」
「……そう…ですわね…。」
「もう!しっかりしてください!
今日はわたくしの社交界デビューの日なのですから!
あと2年もあるのですよ!」
しんみりとした空気だけが流れていく。
2年もでは無い2年しかないのだ……。
分かっているつもりでもわたくしがしっかりしなくてはお母様もお父様もきっと後悔してしまう。
わたくしが選んだのに……。
「2人とも、わたくしは平気ですわ。
わたくしが選んだのです。
決められたわけではなく、わたくしがそうしたいのです。
2年しか一緒に居れませんでしたけどお兄様は……今のわたくしを誇ってくれるはずですわ。
誰のせいでもないんですもの……。
もし誰かのせいでわたくしが、そうならなくちゃいけないのならばお父様やお母様が悲しい顔なさらないで……。
罪はその方にとっていただきますから。」
「……リアは強くなったわね…。」
「励まされるとはな…。
息子達は今のリアを見て申し訳なさもあり、自慢でもあるだろうな…。」
「そうですわ!
だってわたくしだもの!
さぁ行きましょう。」
そうして王家主催の舞踏会に向かう。
わたくしの社交界デビューはまさかの王家主催……。
移動する馬車の中緊張は増していき外を眺めてしまう。
こんなに綺麗な空なのになんでか寂しい気持ちも出てくる。
お兄様……わたくし上手くやれるでしょうか?
見守っていてくださいね。
お兄様の無念も仇もわたくしがきっちりかたをつけますから……。
「お父様…舞踏会には、わたくしのように社交デビューの子もいるのでしょうか?」
「知らない家門が多いが王家の影をやってる家門の息子が同じだったかな…。」
「そう…ですか…。」
「令嬢も何人かは居る。
心配しなくても大丈夫だ。」
「いえ…心配はそんなにしてません。
あまり記憶がないのですがお兄様のご親友に会えたらなと思っただけです……。」
「きっと会えるはずだ。
第2王子側についてたはずだからな…。」
「そうですか……。」
お兄様の死に関わってたりしないかな?とか思ってはいけないのかもしれないわ。
お父様はきっとお兄様が亡くなった時ご親友の事も心配したはずだから…。
でもなんでかしら…。
モヤモヤした気持ちが晴れることがないのは。
「リア……きっと大丈夫よ。」
「お母様……。
杞憂で終わるならいいのですが……。」
「彼が関わってるなんてことがあるはずない。
彼も騎士だ。
騎士道に反するような事はしないよ。」
「そうだといいですわ…。」
「ふふふ。リアは心配症ね。」
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