第2話 暴言と詭弁
「てめぇっ!今何時だと思ってる!今すぐ来い!」
「いやぁ、来なくていいと言われたもので」
「ふざけるな!来なくていいと言われたら土下座して謝るのが常識だろ!」
「常識知らずですみません」
「てめぇの管理してたアイツが脱走したんだよ!お前の責任だ!」
「あ、それ僕です。行けなくなったので管理の為に連れて来ました」
「はぁ?寝ぼけたこと言ってんじゃねーよ!今すぐ来い!」
「いやホントです。クビになっちゃいましたけど、世話しないで何かあったらことですから。サービスですよ」
「てめぇ実験動物の持ち出しなんて許される訳ないだろ!頭腐ってんのか!」
「環境負荷評価の計画書は通ってますよ。機材その予算から買ったじゃないですか」
「国も注目してる希少種だぞ?成果を独り占めする気か!」
「元々うちが独占してるようなものでしたから、他所からしたら一緒ですよ」
「いい加減にしろ!お前のしていることは犯罪だ!」
「ですね。研究費の流用とか成果の不正とかヤバいですよね。僕非常勤ですし。」
「いいか、今すぐ来れば今回だけは特別に目をつぶってやる。」
「と言われましても、もう王都にいないんですよ」
「てめぇ今どこだ!ふざけやがって。二度と日の目を見れると思うなよ!」
「あ、大丈夫です。しばらく篭りますんで。と言うか僕、元々日の目見てませんし」
「このことは国家プロジェクトのバックに広めるからな。もう絶対許さねぇ。」
「希少種虐待して部下と脱走される程度の管理能力で生き残れるといいですね」
「てめぇ…。」
「僕なんていくらでも代わりがいるんですから、しばらく反省して謹慎して頭冷やしてきます。有休とか勤続休暇とか全部消化しますんで。解雇するなら解雇予告手当とかサービス残業代も全部請求しますんで。事務手続き仕込んだ子この前辞めちゃいましたんで、締切までにご自分で書類出すよう気をつけて下さいね。では。」
通信を切る。
さて、改めて。逃げないとヤバいな。逃げよう。少しでも遠くへ。
この前調査に行った辺境の森の遺跡ならしばらく身を隠せるだろう。
通信は…探知オフにしてどこかで2台目買おう。
食料は…箱買いしてる栄養バーを箱のまま持っていこう。
お金は…この前講演会チケット販売ノルマ用に下ろしたやつでいいな。
こんなもんかな。
さあ冒険はこれからだ!
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