第5話 異常性癖
「確かに、夫を愛しているのは間違いないと思っている。でも、義父への思いを感じると、その気持ちが少し揺らいでくるのだ」
と感じた時、幸恵は、
「これって同情なんだよな?」
と自分に言い聞かせているのだった。
ただ、人の愛情らしいものをあたえられずに育ってきた彼女にとって、この家での家庭を、
「これが、普通の暖かい家庭だ」
と思っていた。
しかし、実際には、昔からの、
「家の伝統のようなものを引きずってきているのだった。
そもそも、息子の孝弘が、幸恵を、
「自分の妻に」
と望んだのも、こんな家で育ってきたことから、家庭にウンザリしていたので。
「家庭に縛られることのない」
という家庭を理想としているので、幸恵に、
「そんな家庭を築けるような嫁さんになってくれるだろう」
という望みを掛けてのことだった。
だが、実際に、そこまでできるわけはないと思っている。
「新参者にできるくらいなら、自分にだってできるはずだ」
と思うのだが、それができなかったのは、自分が、すでに昔から、
「あきらめの境地」
にいたことで、
「できるものもできない」
ということを感じるようになったのではないだろうか?
そんな中において、今度は、義父が今の嫁さんを連れてきた。
その行為は、まるで、息子の孝弘を、
「挑発しているのではないか?」
と思うほどだった。
しかし、孝弘は、それを屈辱だとは思っていないようだ。屈辱でもなければ、
「諦めの境地」
でもない。
どちらかというと、
「一度、自分の中で、カッと燃え上がった気持ちが、緩むこともなく、どちらかというと、徐々に収まっていくという、熱しやすく冷めやすい性格というものを、醸し出しているかのようだ」
と感じるのだった。
それを、彼は、自分の中だけで、表に出すことはなかった。
だから、皆、彼のことを、
「いつも冷静だけど、どこか冷徹に見える」
ということで、
「頼りがいがあるが、好きになるのが怖い相手だ」
と、女性からは思われているのかも知れない。
人から頼られるということが、どういうことなのかということを、、今少しずつ感じてきているのではないだろうか?
というのも、幸恵が見て、
「義父のような人が、人から頼られるオーラを一番持っているのだろう」
と思っていた。
その感情は、少しではあったが、水商売をしていたことがあったので、その時、身に着いた感情だった。
というか、身に着いたわけではなく、元々から潜在していたもので、それを、自分なりに、
「冷静に感じることができるようになった証拠ではないか」
と思うのだった。
幸恵が、そんな神里家に嫁に来たのは、今から一年くらい前だった。
夫の孝弘は、医者である。
元々、医者だった父親の背中を追いかけるように、子供の頃から医者を目指していたという。
「親父に褒めてもらいたい」
という気持ちが大きかったという。
褒めてもらうというのか、
「親父は、自分にも、親族にも厳しい人で、強制のようなことはしなかったが、決して、家族を褒めるということはしないんだ。きっと、褒めたりすると、図に乗ってしまったりして、それが甘えを引き起こすのではないかと思っているんじゃないかな?」
と、孝弘は、結婚前にそう言っていたようだ。
だからこそ、娘の嫁である幸恵には優しく、孝弘を褒めるとすれば、
「幸恵さんのような素敵な嫁を見つけてくれたことくらいか?」
といって笑っていたが、その横で孝弘も笑っている。
「なるほど、こういうことか」
と、幸恵は感じたが、孝弘を見ると、その様子は、顔は笑っておらず、引きつった笑いが、それぞれに中途半端で、映っているという雰囲気だった。
そんな頃だった。
「親父が、後妻をもらうらしい」
という。
幸恵は、少し揺らいだ気持ちだったが、すぐに、
「悪い癖」
が顔を出した。
それは、異常性癖からくるもので、
「この二人の、秘め事を聞いてみたい」
という衝動に駆られていた。
「盗聴器セットなど、いくらでもネットで買うことができる」
と思っていて、こういうことを頼める友人はいるので、その人にお願いし、入手してもらうと、早速、義父の部屋にセットした。
その頃、もうすでに義父に対して、愛情に近いものを感じていたが、この異常性癖と、自分の本音とは、違うものだと感じていたのだ。
それを、一緒に考えたとすれば、幸恵は、この家での生活が、今の時点で、すでに先ゆかなくなっていたことだろう。
毎日のように、
「どうやって抜け出そう」
と思ったかも知れないが、
実際には、そういうことではなく、
「どうやって楽しもう」
ということを考えられるようになるのも、
「この異常性癖のおかげだ」
と考えるようになった。
だから、彼女には、罪悪感というものがない。むしろ、
「私が平和なら、皆争うことや平穏な日常が損なわれることはない」
ということであった。
実際には、
「都合のいい解釈」
をしているわけだが、それが言い訳であっても、自分なりの理由だとすれば、それでいいと思うのだった。
だから、罪悪感はないわけであって、ただ、バレた時には、どうなるか?
ということをほとんど考えたことはなかった。
さすがに、捜査をしに来た刑事に、そんなことを言えるわけもなかった。
しかも、いざとなった時、幸恵は、部類の勘の良さであったり、頭の回転を見せる。だから、義父が殺されたと分かった時、すぐに、盗聴器を接収していた。自分の中で、決して警察に疑われることがないような隠し場所に隠しておいたのだった。
「これで、証拠は残らない」
と思っている。
盗聴器の存在を知っているのは、誰もいない。その時点で、
「ちゃんと隠しさえすれば、分かることは決してない」
と思っていたのだった。
幸恵は、盗聴器のおかげで、
「義母が不倫をしているのかも知れない」
と分かった。
「どうしたものか?」
と考えたが、まず最初に頭の中から消したのは、
「義父を悲しませるような考えや行動」
ということであった。
それをしてしまっては、すべてにおいて、ロクなことはない。誰一人として、いいことはないといえるだろう。
特に、その中でも、
「義父に対してだけは、ひどい目に合わせたくない」
という思いがあった。
義父がいたからこそ、この家に来れて、そして、
「異常性癖のおかず」
にもできると考えていた。
前述のように、
「異常性癖における義父と、いつもの義父とでは、別の発想だ」
ということであった。
しかも、義父が、義母を責める時、
「あんなに豹変するなんて」
とビックリした。
その日は、盗聴を始めてから、結構経っていたので、
「そろそろマンネリ化してきたので、少しこれからは控えようか?」
と思っていた頃だったのだ。
しかし、
「控えなくてよかった」
と感じた。
まさか、
「あんなことが聞けるなんて」
と思ったからで、しかも、普段はおとなしいというか、冷静沈着だと思っていた人が、
奥さんを厳しく、責めているのだった。
それには、さすがにビックリしたが、見えなかったが、
「普段見せない顔を、二人ともしていたことだろう」
と感じたのだ。
しかも、ある程度、奥さんを追求したうえで、まったく黙っていた奥さんに、さすがに疲れたのか、少し黙っていた義父だったが、いきなり聞こえてきたのが、
「ムチ」
だったのだ。
「何なの? これは」
と幸恵はビックリした。
今まで、飽きるくらいまで聞いてきた二人の秘め事であったが、こんなのは初めてだった。
きっと、二人とも、お互いに初めてだったことだろう。
しかし、
「性癖がなければ、こんなことができるはずはない」
と。7幸恵は考えていたが、まさにその通りだということだろう。
幸恵にとって、義父は、
「憧れの人だ」
といっていいだろう。
最近では、恋愛感情まで感じるようになってきたのだから、その存在は、かなり大きくなっているといっても過言ではない。
それを思うと、
「私は、何を見せられているのだろう?」
と感じた。
「このメス豚」
となじっているその声は、息遣いまで感じるほどに興奮しているようだ。
そして、それにこたえるかのように、悶える義母のまるで、
「女豹」
を感じさせるその雰囲気に、
「これ以上、もう何も感じない」
と思った二人に、
「完全に騙されていた」
と感じ。どこか悔しい思いもあったのだ。
「SMの世界」
というもは、今までにも何度か目の当たりにしたことはある。
水商売していた頃、
「SMショー」
のあるような、バーに連れていかれ、そこで、ショーを見たことがあったからだ。
その頃には、自分の異常性癖は分かっていたので、少々のことには驚かない、
SMと言っても、
「どうせ、演技だ」
と思っていたからで、
「演技というものは、いくら、まわりが興奮しようとしても、自分たちが興奮できないのだから、気持ちが伝わらない」
というものである。
演技であっても、セックスのように、人に見せるものではないといっても、そこに興奮というものが存在すれば、
「私の、異常性癖は、反応するのだった」
と言えるのではないだろうか?
と感じるのであった。
SMショーというものを見た時、
「あれは演技だ」
と思った。
それから、
「わざと表に出す、ストリップや、SMショーのようなものであったり、映像として、興奮を与えるAVのようなものは、本当の興奮を与えるものではない」
と思うようになったのだ。
そこへもってきての、自分のあの。
「異常性癖」
であるが、
「恋愛感情よりも、興奮が先に来る」
という感情が、この世には存在するのであって、それが、
「異常性癖の正体なのではないか?」
と感じるようになったのだ。
異常性癖というものは、基本的に、
「身体が一番反応するところが、瞬時にして反応する」
ということが絶対条件だ。
しかも、どうして、反応するかということまで分かっている必要がある。
なぜなら、普通の性癖でも、
「恥ずかしい」
と感じるものが、当たり前だと思われるからであった。
「真剣に感じていれば、同じ声であっても、異常と正常では、相当に違う」
と言えるだろう。
もっといえば、
「異常と正常の違いって何なのだろう?」
と考える。
「バカと天才は紙一重」
というが、
「異常と正常も紙一重ではないだろうか?」
それぞれに極端に別々のものであれば。
異常と、正常に限らず、その間に存在するのが、
「異常性癖」
のように、上に、
「異常」
という言葉をくっつければ、様になってきているということであろうか?
そんなことを考えていれば、
「私のような、異常性癖を意識している女でも、果たして、本当の愛を掴むことができるのだろうか?」
と考えた時、
「確かに旦那の父親とはいえ、恋愛感情を抱いたが、勘違いではないかと思えるほどの気持ちになったが、すぐに消えたのは、自分が義父との間に、必要以上の壁を作ったからなのかも知れない」
と感じた。
それは、年の差なのか、それとも、苦しみからなのかも、自分でもよく分からなかったが、
「近寄りがたいが、それだけではないものがあるのではないか?」
と思ったが。今隣で行われている
「SMショーを見ていると。義父に対して、近寄りがたいなどという気持ちは、まったく失せてしまう」
と思う程になっていたのだ。
「二人の興奮は、ハンパないと思えてきた」
そして、
「きっと、二人は汗まみれなのだろうな?」
と感じると、
「空気はジトッとした空間の中で、まったく動いていないので、風も来ない」
という雰囲気になっているのではないか?
ということであった。
「自分の中にあって、他人にないものは、たくさんあるが、逆も真なりではないだろうか?」
ということを考えていたが、
「実際に、その二つが平衡感覚を持っている必要があると感じると、それは、異常性癖というものは、人間に感情がある以上、なければいけないものだ」
ということだ。
ということは、
「異常性癖というものは、あるなしの問題ではなく、あるものという前提で考えた方が。理に適っているといってもいいのではないか?」
と感じるようになっていた。
さて、そんな、
「異常性癖」
であるが、
「時として、自分を助けたり、する場合がある」
といえる。
自分が、
「異常性癖である」
と考えると、その分だけ、本当の自分に近づけることになる気がするのだ。
異常性癖というのが、どのようなものなのかというと、自分が少なくとも知っているのは、
「盗聴」
であったり、
「SMなどという、いわゆる、アブノーマルな世界を覗きたくなるという、言葉そのままの遍歴だといってもいいだろう」
「盗聴」
などは、完全に犯罪であるが、SMというものは、犯罪ではない。
むしろ、昔のイギリスなどでは、
「大人の遊び」
と言われるようになり、
その大人の遊びというのは、
「紳士や貴族の高貴な遊びだ」
ということである。
遊びと言われるものを考えると、
「いろいろな道具が出てくるが、それらを駆使して、一つの芸術を作り上げよう」
と考えたりもするだろう。
そこで求めるものの中に、
「美」
というものであるとすれば、そこで感じることのできる言葉として、
「耽美主義」
というものがある。
これは、
「倫理であったり、道徳などに優先し、すべての優先順位には、美というものが中心になっている主義のことである」
と言われるもので、それが、
「異常性癖」
というものに、密接に結び付いているといえるのではないだろうか?
だから、
「隠したい」
であったり、
「表に出せないもの」
であったりするのだろう。
警察も、不倫をしていることが分かってきた。
幸恵の方としても、
「警察なんだから、そのうちに、奥さんが浮気をしていることを、すぐに突き止めることでしょう」
と思っていた。
奥さんが、その話を実際に聞いた、そのニュースソースの出どころは、
「なんと、夫の孝弘であった」
それを刑事さんから聞かされた幸恵はビックリしたが、刑事から、
「若奥さんは、そのことについて、ご存じでしたか?」
と聞かれたので、どう答えていいのか迷ってしまい、まともに答えられなかった。
たぶん、幸恵が狼狽していることを知っているのだろう。刑事はそれ以上、何かをいうわけではなく、若奥さんとしての態度にすぐに戻った。
そのあたりは、
「さすがだ」
ということであろう。
ただ、
「でも、あの人がどうして知っていたのだろうか?」
ということであった。
「もし、あの人が知っていたということを、私が知っていると、あの人は分かっているのだろうか?」
と、感じた。
もっと言えば、
「刑事は、旦那が知っているのだから、奥さんも知っているだろう」
ということなのだろう。
それによって、夫婦仲の良さを探ろうとしているのか、そうだとすれば、家族関係を調べることで、
「家族の中に犯人がいるのではないか?」
ということを考えているのではないかと感じるのだった。
この考えは、
「よくあることなのかも知れない」
捜査についての、一種の、
「マニュアル」
というか、
「テンプレート」
のようなものなのかも知れない。
今までの捜査において、まず、どうして旦那が知っていたのかということであるが、
どうやら、旦那に投書のようなものが来たのだという。
そこからは、指紋のようなものも検出されず、誰が出したのか分からないものだった。
ワープロで打たれていて、筆跡も分からない、今の時代には当たり前のことである。
そういえば、昔の脅迫状などは、筆跡を分からなくするために、よく、新聞の切り抜きを使われていたというが、
「脅迫状をつくるだけで、どれだけの時間が掛かるのか?」
ということを考えれば、
「殺人計画を立てて、実行しようと思うと、昔と今とでは、どれほどの時間的にも手間としてもかかるか?」
ということである。
さらに殺人というと、いろいろなパターンであったり、トリックであったりとあるのだが、今の方が、時間的にはかなり早く、計画に対しての実行までに、時間は相当短縮できるのだが、逆に今は、それ以上に、
「犯行の実行が難しい」
と言えるのだろう。
殺人のトリックとして、いろいろあるが、今の時代では、
「実行が不可能」
であったり、
「難しい」
というものが、結構増えてきた。
戦後くらいに、殺人トリックというもののパターン化がされたが、その中で、
「今では不可能ではないか?」
と言われるものがいくつかあるではないか?
まずは、
「死体損壊トリック」
という種類の、おわゆる、
「顔のない死体のトリック」
であるが、これは、今では、
「ほぼ不可能だ」
といってもいいのではないだろうか。
「顔のない死体のトリック」
と呼ばれるものは、
例えば、首と胴体を切り離し、首を隠すというような、
「首なし死体」
であり、特徴のある部分を抉ったり、傷つけたり、指紋のある手首から先を切り取ったりして、
「被害者の身元を分からなくする」
というものである。
この際に、どのようなメリットがあるのかというと、
「被害者と加害者が入れ代わっていても、分からない」
ということである。
被害者が特定でいないが、
「数人の中からの一人」
というくらいまでは、特定できるというものであれば、
「犯人と被害者になりうる人がいて、喧嘩が絶えない」
という状態であれば、
「基本的に、被害者と犯人が逆だ」
と思わせることが目的だ。
という公式めいたことがあるのだ。
その場合、犯人は、死んでいるのだから、
「いくら指名手配をしても、見つからない」
ということになる、
もう一つのメリットは、
「自分が死んだことになっているのだから、捕まることはない」
ということだ。
しかし、ここで重大な問題があるのだが、それを加味したうえで、これをリスクとして考えるかということであるが、
「死んでしまったことになっている」
ということであれば、国民の権利や自由というものは、まったくないといってもいいだろう。
戸籍では死んだこと、あるいは、失踪中ということになるのだから、身元を証明させるわけにはいかない。
さらには、病気になっても、保険証がないのだから、うっかり病気にもなれない。
部屋を借りる時や、就職や免許の更新。
安全のために、
「顔を変えようとしても、外科手術になるのだから、自分だけでなく、保証人もいる。これは部屋を借りる時にも言えることだろう」
そんなことを考えると、
「20年くらい前までは、時効というものがあった」
殺人でも、
「15年」
そこまで見つからなければ、警察に、その事件で動くことはできないというものだ。
しかし、今はその時効も、凶悪犯ならば、
「時効というものは、撤廃された」
ということになるのである。
今は、
「どんなに頑張っても、自分が犯人である限り、犯人の自分が死ぬまで、事件は有効なのだ。自分が死んでしまうと、そして、それが警察に分かった時点で、被疑者死亡ということで、送検されて、警察は、それで終わりということになるのだ」
死人を裁くわけにもいかない。
それが当たり前のことで、被疑者が死んでしまったら、裁かれる人がいなくなったわけで、裁判になるわけもない。結局は、
「被疑者が死ぬまでに警察の捜査ができなかったということで、警察が非難を受けるくらいであろう。
もちろん、被害者側からすればたまったものではないだろうか、結局どうすることもできないということだ。
この事件も、今は、
「科学捜査」
も進んでいて、
「首がなくとも、特徴のある部分を潰していようとも、DNA鑑定で、ある程度までは、被害者の身元を特定できる」
というものである。
そうなると、時効がないということも一緒に考えると、
「死体損壊トリック」
としては、
「そう簡単にできるトリックではない」
と言えるであろう。
さらに、他の犯罪としては、
「アリバイトリック」
などというのも、なかなか難しいものではないだろうか。
昔。昭和の時代に流行った、
「トラベルミステリー」
のような、時刻表を使ったトリックなども、なかなか難しい。
特に、今は、どこにいても、どの場所でも、その人を特定しようと思えば、地道な捜査さえすれば、できなくもないだろう、
特に、今のように、防犯カメラやWEBカメラなぢ、至るところにあるので、それを確認すれば、特定できなくもないだろう。
さらに、今は、
「あおり運転」
などという問題から、車の中に、
「ドライブレコーダー」
のようなものが、今では標準装備という形になっているのだ。
「どこにいても、底にいるという証拠は残るわけで、逆に、アリバイを申し立ててtも、その場所の防犯カメラに映っていなければ、申し立てをしても、それは有効ではないということだ」
ということを考えると、アリバイトリックというのも、難しくなるだろう、
そういう意味でいけば、同じ理由で、
「密室トリック」
というものも、不可能と言えるのではないだろうか。
そもそも、
「密室殺人」
などというのは、
「あり得ることではない」
ということである。
基本的に、
「密室トリック」
というと、二つのパターンに別れるだろう。
一つは、
「針や糸を使ったりする」
という、
「機械トリック」
であり、
それ以外といえば、
「時間的に無理なアリバイのようなトリックと組み合わせ、小説における、叙述であったり、犯人によって、勘違いさせる計画。あるいは、偶然できた密室などというトリックとして、今のように、複雑化している社会の中で、密室として考えるだけのトリックを演出しようとすると、それだけまわりにカメラなどが設置してあることで、それを理解できるようにするには、難しい」
ということであろう、
ということになると、
「密室殺人も今ではありえない」
ということになる。
他のトリックというにば、今の、
「密室トリック」
と同じような発想で、
「どれか、他のトリックと組み合わせなければ、成立しないような、いわゆる、トリックの進化のようなものがなければいけないのではないだろうか?」
というのも、
「密室トリックが叙述トリックであったり、アリバイトリックとの組み合わせのように、他のトリックも、どれかと組み合さなければいけない」
ということになるだろうか?
死体損壊トリックというものが、従来では、
「犯人と被害者が入れ代わる」
という、
「公式」
が、一般的だと言われるが、そこに、
「一人二役」
を組み合わせることで、死体損壊トリックと思わせることで、事件の真相を、
「闇に隠そう」
というテクニックを使うものがあったりした、
それが、
「捜査、さらには、トリックの進化」
であり、そのことが、時代の流れとともに、
「トリックの進化が、社会の進化であったり、科学力の進化についていけなくなる」
ということで、事件が、曖昧になるか、あるいは、逆に、
「バレやすい」
ということになる。
それは犯罪の抑止につながるかということが、成り立つのかということを考えるのであった。
しかし、犯罪の抑止につながっているかというと、どうなるのだろう?
いろいろな状況によって、トリックを完成させにくくなったからといって、犯罪がなくなるというわけではない、
むしろ増えたかも知れない。
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