第12話 共闘

「今度はこれにするか」

 ハジメが取り出したのは、メカアクションゲーム。

 三人でプレイすることはできない。そのため、ハジメは口を出すことにする。男が簡単に説明を終えると、少女たちは理解したようだ。

「わかりました」

「足を引っ張らないでよ」

 従順じゅうじゅん死神しにがみちゃんと、ライバル心を隠そうとしないマツ。

 ハジメは頭を抱えていた。

 イスに座るハジメと、同じベッドに隣りどうしで座る死神しにがみちゃんとマツ。三人でTVを見つめた。

 ゲームスタート。協力して大型の敵メカを倒すモードで、2体の人型メカがそれに迫っている。敵は、大きなカニのような見た目をしていた。ただし、足は4本しかない。

「そいつの弱点、わからないか?」

「え? ヒントですか? ください」

「待ちなさい。いま、探っているわ」

 ヒントが欲しい死神しにがみちゃんと、自力でどうにかしたいマツ。ここでも二人の意見は対立している。

「協力しないと勝てないぞ」

 ハジメは、のんきに眺めるだけ。

「攻撃が効かない」

「下よ。下から狙って!」

 マツが弱点を見つけた。おなかの部分に、あからさまに弱点とわかる突起がいくつもある。

「命令しないで!」

 口ではそう言いながら、死神しにがみちゃんはすでに下に回り込んでいた。

「やるじゃん」

 ハジメがぼそりとつぶやいた。

 下の弱点を攻撃する二人。敵メカの体力をかなり削った。だが、操作する人型メカも結構なダメージを受けていた。余裕はない。

「まだ、倒れないの」

「ちょっと、このあとどうするんですか」

 慌てる二人。下にあった弱点がなくなってしまった。

「……」

 ハジメは何も言わない。あきらめているわけではなかった。かといって、信じているわけでもない。別の思惑があった。

「はっ。ひざよ!」

「だから、命令しないで!」

 気づいたマツに従う形で、死神しにがみちゃんも敵メカのヒザを狙い始めた。

 そして、二人はカニのような敵メカを撃破した。

 これで二人の仲もよくなるはず。ハジメはそう思っていた。

「アタシのおかげね」

「あのカニを倒したのは、わたしですぅ」

「ダメだこりゃ」

 ハジメは、さじを投げた。死神しにがみちゃんとマツの仲が良くなることはなかった。


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