第151節 可人 (共闘討伐編6)
「はい、お願い出来ないでしょうか。」
龍牙は九の要請に少し考えてから…
「…よし、引き受けよう!」と返事をした。
「…では!」
「しかし、僕等が前線に出ることは出来ない。」
「それでは…。」
「…さっき言った通り、引き受ける。が、あくまでも本部から送ることは出来ないというだけだ。」
「そうでしたか…。」
と、九は龍牙の言葉に安堵した。
「それでは、失礼いたします。」
と言って、一礼してから九は部屋から退室した。
龍牙は報告を聞き、扉近くにいた童顔
の男の部下を手招きして呼んだ。
「君にお願いがあるんだ。」
「はい。」
「君には関西支部の千癒さんのところへ行って、今回のことを伝えて欲しい。」
「承知致しました。」
「それと、前線に出て九達の支援を千癒さんが送るであろう者達と一緒にしてくれ」
「承知致しました。」
童顔の男の部下は龍牙に軽く頭を下げてから踵を返し扉に向かい、退室する前に一礼してから退室した。
「…はあ。(この間やっと虫利くんを取り返したのに今度は外の敵か、これは本格的に本部として使う施設を建てなくてはいけないな。)」
・
デートから更に数週間が経過し、もう、5月中旬だ。
俺はクラスにも馴染むことに成功し、一応友人も出来た。
そして今は彩羅と一緒に学校の最寄り駅から高校へ歩いている途中だ。
それと、俺が進学した高校は火花とは別のところだが、電車で2駅と意外と近場なので会いに行こうと思えばいつでもいける距離だ。
「なぁ、能力は上手く扱えるようになったか?」
「はい。まだ完璧とはいきませんが、大分上手く制御できるようになりました。」
「そうか。今のうちに言っておくが、これからは日常生活の中ではこれまで以上に細心の注意を払って、できる限り同じ人間として溶け込めるようにしてくれ。」
「はい。」
「それと…、俺のことは学校の奴等には一言でも喋ったか?」
「いえ、何も言っておりません。」
「そうか。因みに俺も人間として溶け込めるようにトレーニングしているが、かなり苦労している。その点、お前は先頭向きの能力ではなく、支援向きの能力だから俺よりは難易度が低くなるかも知れんがお互い頑張ろうぜ。」
「はい、照様。歩いている今のうちにお伝えしておきたいことがありまして…」
「なんだ?言ってみろ。」
「その…私が籍を置いているクラスの一員に可能性を感じる者がおりまして…その者を照様に鍛えていただけないか…と。」
「ふむ、成程。お前が可能性を感じると表するからには実力があるのだろう。しかし、その前にそいつのテストをして俺の目から見ても可能性があると判断したのなら鍛えてやろう。」
「承知致しました。」
因みに俺と彩羅が通っている高校はかなり歴史が浅く、建てられてからまだ10年程しか経っていないらしい。
そして、学校に着き俺と彩羅は別れ、其々の教室に向かった。
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