第96節 夢中トレーニング (侵犯編4)

そして、夜が明けた。

 「ちょっ!何て格好を…!」

「何よ…。…ッ、確かにこんな格好じゃあ貴方がそういう反応になるのもしょうがないわね。」

この時初めて、火花の寝相が悪いことに気づいた。

 最も…それくらいじゃあ、俺は火花に対する想いは一切変わらないが。

 その後、俺達5人は一緒に朝食を食べた。

 「気を付けてね…」

「大丈夫だよ、俺は死なないからさ。」

「そう、だけど日が沈むまでにはここに戻って来なさい。」

「分かってるよ…。それじゃあ、行ってくるよ。」

俺達5人は緑地公園に向かった。

 公園に着くと一人の女性が大広場で俺達を待っていた。  

 「もしかして、あそこで待ってるのって…」

 「そう、千癒さんだよ。」

榴は、千癒さんに一目惚れしてしまったようだ。

 「おーい。…だめね、完全に惚けて私達に気づいていないわ。」

「仕方ない。まだ、不完全だが試してみよう。」

俺はこの前の珊瑚との戦闘と龍牙さんとの試合によって新たな能力の応用法を見出した。

 それは威力だけを衝撃波として飛ばすこと。

 それを弱く使った。

「…ありがとう、照。」

「気にするな、友達だろう?」

「そうだな、でも感謝は伝えたいんだ」

「そうか。それじゃあ、千癒さん。俺達が初めて顔を合わせた場所に移りましょう。」

「そうですね。確かにあそこなら、情報が漏れるリスクもここよりは低いでしょうからね。」

 ということで、俺達は千癒さんの案内で俺と千癒さんが初めて会った場所に移動した。

 「さてと…ここなら比較的安全だろう」

「それで…ここで何をするの?」

「先ずは、千癒さんに進捗を教えてもらう…その後は全員でトレーニングする」

そして、俺達は千癒さんの報告を聞いて驚きを飛び越えて、呆れていた。

 「えっ…と…本当ですか?」

「僕が恩人に嘘を吐くと思いますか?」

「そうは思いませんけど…」

「照は、貴女の報告を聞いて信じられないと思っている。だから、今貴方にもう一度聞いて確認をしようとしているのよ。」

「照様、僕の言ったことは本当です。」

「そうですか…じゃあ、間違いなさそうですね…」

何故、俺が確認を取っているのかと言うと千癒さんはお願いをしてから数ヶ月しか経っていないのに4桁に近い人数の仲間を集めたと言われたからだ。

 「じゃあ…千癒さんの報告も終わったので、皆んなでイメージトレーニングをしようか。」

「どうやって皆んなでイメージトレーニングをするの?」

「簡単に言えば、意識を同一化する。」

「どういうこと…?」

「家族と同じ夢を見たりすることはあるのか…?」

「ええ、稀にね。」

「それを俺達で意識する的に行うってこと。」

「成程、それは良いっ!」

「榴…どういうこと?」

 「僕達は精神トレーニングをすることで能力の理解を深めている。」

「そうね…」

「つまり…同時に集中力を高めて、同調することで全員が同じ空間に入ってトレーニングをするってことさ。」

「成程ね…」

「だが、俺は一緒にはやらないからな。」

「何故ですか?」



 



 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る