第4話 叡智の書

「ねぇ、ラット……

この世界、異世界の事について教えてよ!」


「異世界……? この世界……?

知らんわ! そんなもん!!!

オレは、このダンジョン産まれダンジョン育ち! このダンジョンのモンスターは大体ともだちー!!! だから、外の世界の事なんて、何も知らんわ。」


「……考えてみれば、確かに

そしたら、どうやって! この世界の事を調べよう。」


「何のヒントも無いんか?

絵とか文字とか歌とか……」


「絵とか文字とか歌か……。

もっと、前世で異世界について勉強しとけば良かったな……漫画とかで!」


「何や! その漫画言うの持っとらんのか!?」


「いや、ある訳無いよ……」


『前世の検索スキル! スマートフォンを使い漫画を複製致しますか?』


「えっ!? 出来るの?」


『可能です』


「なら、お願いするよ! 出来るだけ異世界に関係する作品を沢山出して。」


『承知しました。

漫画作成につき……大量の魔力を消費します!』


「これで、異世界について沢山勉強出来るね。

ラッ……ト………………」


『スリープモードに移行します!』



「…………はぁ………また、寝ていたのか!?」


『おはようございます! マスター。

魔力量が一定値回復した為、続きの漫画を作成します。』


「……ちょ……まっ…………てぇ………………」


『スリープモードに移行します!』



『おはようございます! マスター。

続きの漫画を作成します。』


「……………ちょ…………話…………………」


『スリープモードに移行します。』



『おはようございます! マスター。

漫画を』


「ちょっと、待ってーーー!!!」


『如何なさいましたか?』


「いや、待ってよ! 僕、ずっと眠ってるだけになってるよ。」


『しかし、情報収集の為に大量の漫画が必要かと……』


「いや、読まなきゃ知識にならないから!」


『それでは、一度! 漫画の作成を停止します。』


「良かった〜……」


「おおー! やっと起きたんか!? 

ラク……この漫画言うのオモロイな!!!

お前も読め読め!」


「やぁ〜……ラット、久しぶりだね。

なんか僕、疲れたからお風呂に入りたいんだけど……

そう言う時はどうしたら良いの?」


「何や! 知らんのか!?

漫画にかいてあるぞ! ほら、見てみー!」


……なになに…………水魔法と炎魔法を組み合わせて、お湯を作る。


「なるほど……勉強になる!

試してみるよ。」


そうして、洞窟内の窪みにお湯を貯めると……


「出来た! 手作り温泉の完成!!!」


「凄いやないか! ラク。

さすが漫画やな……これぞ叡智の書!!!」


そして、僕とラットは温泉に入り汗を流すと……


「ア"ァー〜! やっぱ、お風呂は良い!

生き返る。」


「確かに、これはええな!!!」


「これで、お風呂上がりに牛乳でも有れば最高なんだけど……」


「今は、我慢せい。

それよか! 叡智の書漫画から、もっと未知の知識を取り入れる方が先や!」


「それも、そうだね。

お風呂から出たら早速! 僕も漫画を読んでみるよ。」


それから、僕とラットは漫画異世界の知識を頭に叩き込んだ。



それから、10数年……


僕達は、ダンジョンに引き篭もった。


そのかいあって、ダンジョンのボス部屋には

僕の創造のスキルにより。

現代日本における最高水準の娯楽、電子機器達が勢揃いした。


「おい! ラク……

今日は、何のゲームをやるんだ!?

オレは、モ○ハンかス○ブラの気分なんだが……」


「そうだね。

今日の気分は……

てか、もう10年以上経ってしまったけど……

僕達、本当に!

こんな事をしていて良いのか?」


「別に、楽しいし。

良いんじゃねぇーのか! 

たまに街に買い物には行くってるから引き篭もりって訳では無いし。

これこそが、お前の夢である猫みたいな生活そのものじゃねーのか。」


「確かに、楽しいし。

不満は無いんだけど……異世界に来て10年以上何もしない転生者なんて漫画に居なかったから。」


そんな真面目な話をしているのに、ラットはお菓子を食べながら話していた。


「まぁ……

オレは、あと数年もしたら消えるから。

その時にでも、やりたい事を見つければ良いんじゃねぇか。」


「……ちょっと、待てよ!

ラット、君……あと数年で消えるの?

何で!?」


「いや、当たり前だろ!

ダンジョンとは、本来! 訪れた人間達から魔力……生命エネルギーとかを吸収して、成長して行く!

このダンジョンは、人間達からダンジョンとも認識されていないから来客など全くない。

すると、必然的にエネルギーが枯渇したダンジョンは消滅するのさ。」


「いや、消滅するのさ。

じゃねーよ! 

このダンジョンが消えたらダンジョンボスである。

ラットも消えるって事は、分かったけど……

何で、もっと早く言わないんだ!!!」


「言ったところで、人が来ない事には仕方ないだろ!!!」


「バッカやろー〜ー!!!」


バゴーーン!


僕は、ラットを殴り飛ばした!


「……何するんや。ラクはん……」


ラットは、口から流れた血を拳で拭うと……


「何、勝手に1人で諦めてるんだよ。

僕が君の事を見捨てるはずがないじゃないか!!!」


「そうだったな……ラク!

オレが間違っていたみたいだ。

オレ達は、めっぽう諦めの悪い男達だったな……」


「そう、思い出してくれ! ラット……

残りライフが1になった。

あの時だって……(スマブラにて)

ビクロイ間近……ストームの渦のなか……」


「ああ……そうだったな!

スプラで小学生にボコられた時も

隅々まで塗る事で、勝利を勝ち取ってあおりまくった。あの日々……」


「諦めの悪い僕達だから出来る事が、まだあると思うんだ!」


「ああ、オレも最後の最後まで足掻いてみる事にするよ!!!」


「それが良い! 

でも、大変じゃない程度で頑張ろうね。」


「そうだな。

まだ、1年以上はあると思うし……

今日は、ゲームをして明日から頑張ろう。」


「じゃーね〜……

今日は、エペにしようよかな!」


「エペね。 ええやん! ええやん!」


それから……僕達は、72時間ほど

ゲーム実況の生配信を行った。


「どぉもー。異世界ユーチューバーのネズミ先生と!」「ラクさんでぇーす!」


「今日は、2人で不眠不休耐久レース!

どっちか倒れるまでゲームをやめません!

で、やって行こうと思いまーす。」


「ゔわ〜! また来たよ。

この企画……

前回は、ネズミ先生が勝ったから罰ゲームは僕だったけど!

今回の罰ゲームは、何なの? ネズミさん」


「ネズミ先生です!

今回の罰ゲームは、街へ1週間分の買い出しに行って貰います。」


「うわー! 最悪じゃないですかー!!!

街に買い物に行くだけでも面倒くさいのに、1週間の買い出しは拷問ですよ! 拷問!」


「それが狙いです!

負けた者には、労働を……

飼い猫生活を目指す我々には、もっもと過酷な罰ゲームにしました。

では、早速! やって行きま……


「「ショータイム!!!」」

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