第1章:絶滅の文字が出る…….2

前回のあらすじ

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西暦2054年、日本をはじめとする各国から脚本家が消滅する。


しかし、エンターテイメントの供給を止めることができないので、脚本家をAIにさせることを考え、その案を実行させようとする。


しかし、脚本家AIを開発するに当たっての壁や課題に直面し、撤退する企業なども多々あったが、その課題などにも立ち向かい、国産脚本家AIを実現しようとした人たちの歩み。


本編

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2030年頃から脚本家が姿を消し始めて、2040年頃に世界中のエンターテイメント業界で危機感が走る、しかし危機感を持つべき時期はとっくの前に過ぎ去ってきたのであった。


そしてエンターテイメント業界は会社・企業の枠を超えて脚本家AIの開発に乗り出した。


しかし、脚本家AIを開発するに当たっては「脚本家AIの管理指針」や「脚本家AIにどんな脚本を学習させるか」、「学習させる脚本の著作権の問題」と言った問題がこれ以外にもあり、それらの問題が脚本家AIを開発する企業や団体に容赦なく襲いかかった。


そしてその問題を受けて「撤退する企業」もあれば、「ある程度までは問題と戦うが、戦えなくなってきたら撤退する」という企業や団体が数多く見られた。


そして2040年代後半には脚本家AIを開発しようとする企業や団体は全盛期の5%程度まで落ち込んでいた。


その理由としては、「企業・団体としての利益や収益が出ない」「開発するにも人員が足りない」「脚本家AIを開発する意味がなくなった」「多大なお金と時間、労力をかけてまで脚本家AIを開発したという名誉は欲しくない」と言った理由が多く、脚本家AIを開発する側にも危機感が出始めていた。


しかし、その逆風にも真正面から向き合い、最高品質の日本産脚本家AIを開発しようとしている日本企業があった。


その企業名は、「ITOHAI」(イトハイ)という企業だった。


その企業は脚本家が居なくなり始める数年前から、脚本家AIを開発しようという考えから起ち上げられた企業だが、いまとなっては日本国内だけでなく世界中で脚本家AIを開発しようとする数少ない企業の一つだ。


その企業の代表取締役社長の伊藤悠は、かつての脚本家だ。


伊藤は2054年のある日、大阪の路地裏にある古びたカフェ「ネオ・ペン」で脚本家AIを開発しようとする会社の仲間や研究者、そしてかつての脚本家の仲間で集まってかつての時代を懐かしんだり、今の時代についてを積極的に話し合っていた。


このカフェに集まった人の中からは、「今の御時世は危機感がない」や「脚本家のありがたみを今の人は分かっていない」、「脚本家の仕事は楽しかった、AIなんかに仕事を奪われたくなかった」という声が数々出てくる中、伊藤はこう言葉を発した。


『皆、今年に入って正式に脚本家という職業は無くなってしまったけど、そんな中でもエンターテイメントの業界は歩みを止められない。だから、俺達かつての脚本家や研究者で日本産脚本家AIを開発しないか?俺達の培ってきた貴重な技術と経験を今、世界の見せてみないか。賛同してくれる人は居ないか?』


そう言葉を発すると、カフェの店内は静粛が襲った。


伊藤の発した「脚本家という職業が無くなった」という言葉にショックを感じてしまう人も居たが、ここである人が声を挙げ、沈黙を破る。


「あの、私は2年前まで脚本家をしていました。AIに仕事を奪われて悔しかったです……しかし、私たちのけんけんや技術を活かせるなら、伊藤さんに協力したいです……いや、させて下さい。お願いします」


そう発言し、沈黙を破ったのは「貴島沙優」(きじま・さゆ)と言う女性の「元」脚本家だ。


彼女はもともと腕の良い脚本家で、仕事も何件も入ってくるような人気の脚本家だったが、2040年代に入って仕事の数がどんどん減っていき、2052年に彼女は脚本家を引退して脚本家AIを開発するためにAIのことを学べる大学に入学し、AIや機械工学について学び直しているところだった。


カフェの沈黙を破った彼女は、伊藤の言葉に賛同して伊藤と手を組んでAIの開発に挑んでいくのであったが、その彼女に続いて数名の元脚本家やAIの研究者や科学者も彼女に続いて伊藤の後に続いていくのであった……

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脚本家がいない世界、それを乗り切ろうとした人たちの世界線 dotrain @seramikkus

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