深川 我無さん、書籍化おめでとう! インタビュー

月森 乙@「弁当男子の白石くん」文芸社刊

第1話 我無ちゃんと「腹痛さん」、ちょっと語らせて

 この度、わたしの書き友さんである深川 我無さんの「邪祓師の腹痛さん」が富士見L文庫さんより書籍化する運びになりました。


 おめでとーーーー!


 せっかくなんでこの際、わたくし月森 乙、我無ちゃんと「腹痛さん」のことについて熱く語らせていただきたいと思います。


 わたしが最初にこの「邪祓師の腹痛さん」を読んだのは、カクヨムコン8の読者選考の最中だったんです。当時わたしは、自分の作品を読んでほしくて、とにかく手当たり次第にほかの人を読んでました。


 ミステリーは好きなんで、検索してたら割とランキングの上の方に出てきたと思います。ホラーか。怖いの好きだけど苦手なんだよなあ、と思いましたが、タイトルに惹かれて読んでみたわけです。


 もうね、すぐに「あー、これ、賞取るだろうな」って思いました。

 なんでかっていうと、まず、さっき言ったタイトルがいい。「邪祓師」ってなに?」とか「何、腹痛、って、あの腹痛?」わかりそうでわからない感じが興味を引く。あと、男女のバディもの。腹痛さん、すぐお腹が痛くなる残念イケメン(書いてなかったような気がするけど、そう思わせる)で実力者。助手のヒロインは元気でかわいい感じ。この時点ですでに読者獲得できるな、と。


 内容の方ですが……ちょっと私には怖すぎました。読みましたけどね。独特なの、表現が。それがもう、いつまでも頭の中に残ってるわけです。何度も夢に見て夜中に跳び起きました。


 何が怖いって、擬音を続けて書いてるところとか、行をずらしているところ。あのビジュアルと擬音の重ねがもう、怖くて気持ち悪くて、何度応援コメントに罵詈雑言を投げかけたことか!


 「ふざけんなテメー、怖すぎんだろ! どうにかしろ、オラ、しばくぞ!」


 みたいなの。おまけに、我無ちゃんの名前まで間違えて書いちゃってて。それでもご本人様はとっても寛容な方で「あれ? そうだっけ?」とか「無理して読まなくて大丈夫」とか言ってくださいました。



 ほんとにね、わたしのように怖いの苦手な人にはとっても怖いです。吐きそうでした。ほかの小説だとたくさん読むと忘れちゃうと思うんですけど、これは読み終わった後もビジュアルとして、いまだにはっきり覚えています。


 だから、賞をもらえなかったときは「なんで?」って思いました。「何でコメントだけなの?」って。それでも、「ああ、これは書籍化はするだろうな」ってピンと来てました。だよね、我無ちゃん。わたし、割と早い時期から「どーなの? ね、ほんとはどーなの? 書籍化するんじゃないの? ねえねえ」ってしつこく聞いてたよね?


 この「腹痛さん」、怖い怖いと言ってますが、怖いの初心者さんにも受け入れられやすい。というのも、最初の数話は、「突拍子もない」とか「そんなの読んだことない」という感じではないんです。むしろ、既視感がある。

 だけど、その、プレゼン力が違う。

 クライマックスが派手なの。


 例えば、「羊たちの沈黙」で言うと、アンソニー・ホプキンス扮するハンニバル・レクターが檻の中で蛾が羽を広げた形に似せて死んだように見せかけるシーンみたいに、「ジャ、ジャー――ン」ていう感じにビジュアルとして飛び込んでくるから、いつまでも脳裏に焼き付いて離れない。


「あー。こういう結末なんだろうなー。これぐらいの怖さなら余裕」って、ある程度、びっくりするハードルを下げたところからの、「バーン!」ってやつです。だからこそ、ホラー苦手な人もそうでない人も、読者が離れないと思うんですよ。 


 これ、作品を作るうえでも結構大事かも、って思います。


 もしかして、腹痛さんファンの方からは「違うぜ!」という熱い反論があるかもしれませんが、違う意見があって、熱く語りたくなっちゃうのもやはりこの本の魅力。


 では次は、インタビューに参りましょう。

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