第8話 気に入られてしまった


 寝室に移動した私達。

 何故か梓にひたすら匂いを嗅がれていた。よっぽど私の匂いが気に入られてしまったみたいだ。


 くんくん。くんくん……。


「いろはちゃん、やばいよ!」

「何がですか?」

「いろはちゃん、好きすぎてやばい。もしかして、いろはちゃんって石鹸?」


 良い匂いを石鹸と表現するのか、この人は。

 それともまだ酔っているのかもしれない。


「酔いはもう冷めたはずですが」

「いろはちゃん、好き。結婚しよ?」

「結婚はまだ早いです」

「じゃあ、もう少しだけ匂い、嗅がせて」


 お互いが睡魔に負けるまで、ずっと梓に匂いを嗅がれていた私。


 先に睡魔に負けたのは梓のほうだった――


 寝ている間に変なことされるのかな……? と不安がっていた私だけど。


 ――変なことしてたのは私だった。


 梓の大きな双丘に寝惚けて手を伸ばしていた。




*お知らせ

2月から始まる百合コンテストに私は参加予定です。※予定は変更される場合があります。



 

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