ブラックアウト

海翔

第1話

 桜が散って菜種梅雨の時期になった。午後から雨が降りだした。

ふっと、目についた喫茶店に飛び込んで雨宿りをしていたら、向かいの席に座っている女性がこちらに目を向けて

「目崎さんではありませんか?」そう言われ

そうですが、、貴女は?」

「井上たおです」

「高校の隣のクラスに居ました。目崎さん有名人でみんな知っていますよ」

「そう言えば目の大きな女性でしたね、、何となく思い出しました」

「今日はどうしてここに、、」

「仕事が一段落してこの店に来ました。そこに目崎さんが居たのでビックリでした」

「私も仕事が一段落して休憩でここに来ました」

「たおさんはもう結婚したんですか?」

「まだまだです。中々いい人見つからないですから、、それにまだ25歳ですからもっと遊びたいですよ」

「私もそうですねやっと、仕事もなれてきたので、30まではしない予定ですよ」

「もし、よかったらこの後に飲みに行きませんか?」

「いいですね」

たおさんは「このまま直帰で帰りますから」

「私の方は一度会社に戻り其からでいいですか?」そう言われ

たおさんは「構いませんよ私ここで待っていますから、、」

「では、ひとまず会社に戻りますね。何かあったら困るので電話番号教えておきますね」

「たおさんもお願いします」そうやって二人は電話番号の交換をした。

 目崎は会社に帰り、自分の机の周りを片付けて会社を退社して、たおのいる喫茶店に戻った。

 そこから渋谷に行き、タクシーで行きつけの店に向かった。

まだ時間が早かったこともあり、人がまばらで空いていた。

窓側のいい席に座りいつものワインとピザで高校時代の事を語り合った。

 たおさんは「目崎さんはあの当時はみんなの憧れで誰が彼女になるか注目していました」

「そうですか、、、でも、思うようには付き合うことはできませんでしたよ」

「運動部で忙しくて帰れば塾に行かなくてはならなくて、でも高校2年の夏に海に出かけたことはいい思い出でしたよ。あの時初めて経験しました」

「これはここだけの話でお願いしますが、同じクラスメートの前多さんと、、」

「そうだったんですか。前多さんは可愛く綺麗な女性ですから、、、」

「私は大学に入ってからです。好きと言うよりも何となくでした。早く大人になりたくて、、」

「そうでしたか」

「そして、25歳になり色々わかるようになりましたね。いくつもの恋愛を重ねたからかもしれません」

 色々話している内に大分飲みすぎてしまいそろそろ帰ろうかと言うことになり店を出たがたおさんが足元を取られ倒れそうになり、

手でカバーして倒れずにすんだ時にふっと、たおさんの唇が私の唇に、、、そして「そのまますぐには帰りたくないです、、、」そう言われ、

 目崎は道玄坂を上り身近なホテルに二人で入った。

部屋の中に入るなり、たおはいきなり口づけをしてきた。

二人で熱い抱擁をして、目崎は浴槽に湯を貯めた。

 その時少し湯の温度を少しぬるめにした。たおは酔っていることもあり、大胆に服を脱ぎ隠すこともなく全裸で浴槽に飛び込んだ。

 後から目崎が入ってもそれほど気にしないで「背中流してあげますね」と言って、浴槽から出て待っていてくれた。

 軽く浴槽に入って出るのを待ってたおはタオルに石鹸を塗って目崎の背中を流してくれた。

 そして、その後は目崎は自分で洗って石鹸を流して先に浴室を出た。たおはその後に体を流して浴室を出ると冷蔵庫から冷たい飲み物を口にした。

 その後に二人はベッドの部屋に行きバスタオルを取ってベッドに横になった。二人は口づけをして抱擁をした。

たおにとっては高校時代の憧れの人に抱かれる喜びに慕った。目崎に取っては一時の癒しに浸りたかった。

 ここ数日ストレスが溜まり、発散したいときにたおに出会いこのような結果になったが後悔はしていなかった。

 大きなバストが目崎の胸に触れなんとも柔らかい刺激は気持ちよかった。

目崎もたおの性感帯を刺激して徐々に悶えながら興奮をしていくのを確認していった。

たおは興奮するたびに大きな声を上げていった。

目崎はたおの中に、、、そして、ひとつになった。

たおはこのタイミングになお、大きな声をあげて一気に快感を得て逝った。

目崎もその後を追うように、、、二人は疲れはてたようにベッドに横になった。

 しばらくしてたおは「私、明日姉の家に行かなくてはならないので今日は帰ります」と言って浴室でシャワーを浴びて帰り支度をした。

目崎は慌てて自分も帰り支度をしてホテルを後にした。

そこからタクシーに乗ってたおさんを送り自分の家に帰った。


 翌日、昼休み中にたおさんから電話があり「昨日はどうもありがとう無事家に帰りました。私はずいぶんお酒を飲んだんですね。

目崎さんとお酒を飲んだのは分かっていたんですがその後がどうなったのか分からないままに自宅に帰っていました。

何か目崎さんに迷惑を掛けたのではと思い気になって電話を掛けた次第です」

 「そんなことはないですよ。たおさんも家に帰れたのですから、、、」(目崎はたおさんはお酒を飲むとブラックアウトになる人ではないかと感じた)

 目崎はそろそろ昼休みも終わるので「また、改めて時間が取れるときに飲みましょう」そういって、電話を切った。

 目崎はたおさんがホテルに行ったこと等さっぱり忘れて居ることにビックリした。

確かにそういう人がいることを聞いていたが、、、こんな身近にいたとは、、、


 あれから週末になり、たおさんから電話があり「合コンしませんか?」と言われ「場所は私の良く行く居酒屋さんで2対2でお願いします」

そう言われ、目崎は同僚の勝野さんを連れていくことにした。

 たおさんは友人のともみさんと一緒に居酒屋さんで待っていた。

予定の時間より10分早く目崎さん達が居酒屋に着いた。

 そして、男女となり会わせに座り、お互いの自己紹介をしながら話題を広げた。勝野さんはともみさんと良く喋り意気投合していった感じだった。

 2時間ほどこの店で時間を潰してここからお互いの好きなように過ごしましょうとたおさんから提案があり、

ともみさんもその提案を理解して店を出てから二つに別れて行動をすることにした。

 勝野さんをともみさんとタクシーに乗りどこかに向かった。

たおさんは目崎さんと少しムードのある店で飲み直した。

そこで今回合コンにしたわけを聞かされた。

ともみさんから「彼氏を紹介してもらいたいと言われ、合コンをした次第だ」と話してくれた。

 目崎さんは「あの二人うまくいってる感じですね」そう言いながらお酒を酌み交わした。

さすがに10時を過ぎた頃にはたおさんはブラックアウト状態になっていた。たおさんが倒れかけてきたのでそのままホテルに向かった。

 そこで浴槽の湯の温度を下げて酔いのためか無防備で全裸になってたおさんはそのまま浴槽に入って来た。

何か訳の分からないことをいいながらシャワーを浴びてボディーシャンプーで体を流して浴室を出た。

目崎も体を流してその後を追った。

 たおは居間でお酒を飲んでいたが少し休んでベッドに横になると二人は抱き合って口づけをした。

 バスタオルをどかして裸になり目崎は身体中を刺激していった。

たおさんはこの刺激に反応して切ない声をあげるばかりだった。特に胸を刺激してからはより大きな声をあげたので目崎は

早く一つになりたくてその行動に入った。

 一つになったらそのまま大きな声で逝ってしまった。目崎もその後を追うように、、、

そして、しばらくしたらたおは帰り支度をして「明日仕事があるので」と言うので目崎も帰り支度をした。

 部屋を出るときにたおは服のポケットから社員書と定期券を落としてしまったことは分からないままにホテルを後にした。

その事が後に大変なことになることをたおは知らなかった。

そして、タクシーで家の近くまで乗りそのまま部屋に帰った。

それを見届けて目崎も自宅に帰ることにした。

たおは部屋に帰り服を脱いでそのままベッドに横になると深い眠りに着いた。


 翌朝起きてシャワーを浴びて昨日と違う服を着て家を後にした。

改札口で定期券を探したがバックの中からは何処にもなく、見つからないので現金で切符を買って会社に向かった。

 会社に着いてから社員証を探したがそれも見つからず同僚のなおさんに電話を掛けて対応してもらい何とか中に入ることができた。

 仕事中はどこに落としたか色々考えたがさっぱりわからなくて居るとそんな昼頃に「井上さん電話ですよ」と同僚から言われ電話を受けると

「ホテル、ラ・メールと言いますが、昨日こちらのホテルに来てお帰りになった後に定期券と社員書が落ちていたので連絡した次第です」

たおは話を聞いて「ひとまず夕方にそちらに寄って行きますのでそれまで保管してください」と返事をして電話を切った。

 電話を切った後でどうして定期がそこに落ちていたか返答がつかなかった。

確かその時は目崎さんとお酒を飲んでいたので今日の夜にでも目崎さんに電話を掛けて聞いてみることにした。

 ひとまず仕事が終わり、そのままホテルラメールに向かった。

入り口を見たらラブホテルで自分がここにきた記憶がなくどうしてここにあるのかわからなかった。

 中に入り受付で「井上ですが定期券受け取りに来ました」そう言われ、受付では社員証の写真と本人を確認して従業員の男性から渡されて、

たおはお礼をいってホテルを後にした。

 家に帰り目崎さんに電話を掛けて今日の事を話したら、目崎さんは「たおさんに確認してあのホテルに入った」事を話した。

「居酒屋で飲みすぎて呂律が回らないほどの状態だったのでそのまま置いていくわけには行かずホテルで少し冷ましてから帰ることにしていいかと?」

たおさんに聞いたら「うんうん」と言ったのでホテルに入った。

 「ところが部屋に入ったらたおさんは着ているものをすべて脱いでお風呂に入り、シャワーを浴びてから居間でまた、ビールを飲み私が風呂から出たらバスタオルを巻いた状態で抱いてと言って抱きついてきたのでそのままSEXをしてしまった」

たおは自分から抱かれたことについて顔を真っ赤にしてしまった。

そして「目崎さん、その時避妊をしてくれましたか?」

「それはきちんとしました」

目崎は「たおさん、お酒を飲んだ時の記憶が失くなっているんですか?」そう言われ、

たおさんは「そうですね、その辺の記憶がさっぱりわからないんです」

目崎は「それはブラックアウトと言ってお酒を飲みすぎた時に記憶を失くしてる状態です。今後の事を考えて対応しなければ大変なことになりますよ」

たおは自分のおかしてしまったことで目崎さんとSEXをしたことを反省した。

 そして「もしかして私と初めて出会った時も関係したんですか?」そう言われ、目崎は何も言うことができなかった。

 たおは「それでは確信犯ではないですか。あまりにもひどすぎますよ。見損ないました」

目崎は「済まなかった。自分が調子に乗っていました。そのまま家に送ればよかったものをこんな事態にしてしまい済みませんでした」

たおはそれを聞いて一人さめざめと泣いた。

あまりにも自分のふがいなさを、、、そして「もういいです、これ以上会うことはないでしょう」そう言って電話を切った。

 たおは自分がそのような酒癖があるのを初めて知り、今後は酒を飲むことを止めることにした。

 しばらくしてともみさんのとこに電話を掛けて見たら「先日の合コンどうもありがとう。その後は勝野さんと飲み直して一夜を共にしました。

その日以来、勝野さんとはちょくちょく会っています。いい出会いありがとう」

「たおさんはどうでしたか?」

「私は目崎さんとは別れました。お互いの考え方が違いすぎていたのでこれ以上は無理だと思い別れを告げました。」

(たおに取ってはそう話すしかなく自然の別れにした)

ともみさんは「そうでしたか。近く気分を変えて飲みに生きませんか?」そう言われ、

たおさんは「私これを気にお酒を飲むのをやめることにしました」

「何かあったんですか?」

「何もありませんよ、そろそろ真面目に彼氏を探そうかと思い、、、」

「そうでしたか。わかりました」

「また何かあったら連絡しますね」そういって電話を切った。

 

 それから半年後にたおは実家で見合いをした。

会社には一身上の都合と言うことにして退社することにして、その後はたおは誰にも知らせないで結婚をした。

お酒についてはその後一度も口にすることはなかった。

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