【完結済】命を助けたはずの女の子に罵倒され断罪された僕は人生に絶望する でもそんな僕の善行をちゃんと評価してくれた人に救われました その人と付き合えて今は幸せです 一方僕を絶望に突き落とした彼女は…
僕はいきなり目の前で倒れた女の子の命を助ける ※修正あり
【完結済】命を助けたはずの女の子に罵倒され断罪された僕は人生に絶望する でもそんな僕の善行をちゃんと評価してくれた人に救われました その人と付き合えて今は幸せです 一方僕を絶望に突き落とした彼女は…
栗坊
僕はいきなり目の前で倒れた女の子の命を助ける ※修正あり
僕の名前は
何故僕が隣町の高校に進学したのかというと…実家から比較的近いし、自分の学力に合っていたからだ。それに何人か同じ中学の友達もその高校に進学するみたいなので少々コミュ障気味の僕でも友達作りに困らないだろうと判断しての事である。
そして今日は記念すべき入学式の日。僕は新しい学校生活が始まるのが嬉しくて意気揚々と家を出た。 新品の制服、おニューの鞄、真新しい教科書、最新のスマホ、全てが新しい物に包まれて晴れ晴れとした気分だ。
高校へはまず僕の住んでいる町の駅から10分ほど電車に乗り、隣町の駅で降りる。そこから北に徒歩で10分ほど進むとそこに僕が通う高校がある。
僕は電車を降りて駅員さんに買ったばかりの定期券を見せると改札を出た。駅から出た僕はスマホを取り出して地図アプリを起動し、高校への道を確認する。
高校には受験の時と合格発表の時の計2回ほど行った経験があるのだが、そのどちらともお母さんに車で送迎して貰ったので駅からの詳しい道のりまでは覚えていなかった。
でも大丈夫、1度高校にたどり着きさえすれば道なんて覚えるだろう。僕は地図アプリで目的地を設定すると音声に従って歩き始めた。
○○〇
「あれぇ~おかしいなぁ?」
アプリに従い高校への道を突き進んでいたはずなのだが…一向に高校にはたどり着かず、僕は周りを企業の倉庫に囲まれた人気のない小道のような所に出ていた。
アプリによると僕が今いるこの道を右に曲がると高校前に出ると書いてある。しかしこの小道には右に曲がる道など存在していなかった。まっすぐな一本道である。
どこかで道を間違えたのだろうか? それともアプリが間違っているのか?
仕方ない、一旦来た道を戻ってもう一度確認してみよう。…もしもの時のために入学式まで余裕のある時間帯に登校していてよかった。
そう思った僕は一度来た道を戻ろうと踵を返した。スマホから顔を上げ、前を見る。すると目の前に僕と同じ高校の制服を着た女の子が歩いているのが見えた。
しめた。同じ学校の生徒だ!
制服についているリボンの色から察するに、おそらく彼女も僕と同じ新・1年生で今から入学式に向かう所なのだろう。彼女に着いて行けば高校にたどり着くはず…。
僕は彼女の後に着いて行く事にした。彼女の後姿を見失わないように数メートル後ろをピタリと着いて行く。
ところが僕は目の前を歩いている女の子の様子がおかしい事に気が付いた。
何やらフラフラと足元がおぼつかない。体調でも悪いのだろうか?
僕がそう思っていた矢先、目の前を歩いていた女の子は地面にバタリとうつ伏せに倒れ込んだ。驚いた僕は急いで彼女の元に駆け寄り声をかける。
「大丈夫ですか?」
彼女の肩を揺らして確認する。返事がない。これは由々しき事態だ。僕はポケットから急いでスマホを取り出すと119番に電話を掛けた。電話はすぐに繋がった。
『はい、119番消防です。火事ですか? 救急ですか?』
「救急車お願いします!」
『場所はどこですか?』
「え~と…○○市の○○高校前の小道です。細かい住所は分かりません」
『近くに目印になるようなものはありますか?』
そう言われてもなぁ。何か目印になる物…周りには倉庫の様な建物しかない。
…あっ!
僕は倉庫に書かれてある企業名を見た。
「山田建設という会社の倉庫に囲まれている小道です」
『確認します…。はい、住所が確認できました。救急車はすでに向かっています。どなたがどうされたのですか?』
「名前は分かりません。 目の前を歩いていた女の子が急に倒れたんです! 年は高校生ぐらいです」
『詳しい症状を教えてください。意識はありますか?』
「ありません!」
『呼吸はありますか?』
僕は女の子を仰向けにして呼吸しているかどうかを確認した。
…不味い。この娘呼吸をしていないじゃないか。念のため彼女の腕の制服をまくり上げ、脈を確認する。残念ながら脈拍も感じられなかった。
彼女は心肺が停止しているとみて間違いないだろう。僕の背中に冷や汗が流れる。
「呼吸をしていませんし、心臓も動いていないみたいです!」
『分かりました。では応急処置として心肺蘇生法を行います。近くにAEDはありますか? 近くに人がいるならAEDを手配して貰ってください』
僕はオペレーターの人にそう言われて周りを確認する。AEDの様な物は見当たらなかった。ついでに言うと人もいない。
「誰かー! いませんかー? 人が倒れたんです! 助けて下さい!」
念のため大声を出して確認するが誰も来なかった。
「AEDは見当たりませんし、近くに人もいないです!」
『分かりました。ではこちらの指示に従って心臓マッサージと人口呼吸を行ってください』
「ええっ!?」
僕はオペレーターにそう言われて動揺した。
僕が彼女に…? 僕にできるのだろうか。もし失敗すれば彼女が死ぬ。責任重大だ。
人は心肺が停止してから時間が経てば経つほど生存率が低くなるという。もし生存しても脳に障害が残る可能性もあるとか。彼女が倒れてからすでに2分ほどが経過している。これ以上悩んでいると命に係わるだろう。
…ええい、人助けのためだ。悩んでいる時間が惜しい。僕は覚悟を決めた。
僕はオペレーターの指示に従い、彼女の胸の中央部に両手を当て心臓マッサージを開始した。そして気道を確保し人口呼吸をする。その女の子を助けようと僕は必死に行動した。
ピーポーピーポー。
僕が夢中で救命処置をしていると救急車のサイレンの音が聞こえてきた。ハンズフリーモードにしていたスマホからオペレーターの声が聞こえて来る。
『救急車が近くまで到着したようです。救急隊員が到着するまで救命処置は止めないで下さい。あとあなたの名前と電話番号を教えてください』
「わかりました。名前は本山生人、電話番号は○○〇-△△△です」
僕は救急隊員がその場に到着すると、後の事は彼らに任せて自分は入学式に向かう事にした。学校への道は1度来た道を戻って駅前にあるコンビニの店員に聞いた。
◇◇◇
※6/21日に内容を修正しました。
※当作品は「お試し連載」となります。1週間ほど連載して評判が良いようなら本格連載に入ります。
※投稿予定
6/1(土)~6/7(金)。本日のみ1話と2話を7時に同時投稿。
明日から7時と19時に1話ずつ投稿していきます。
面白そう、続きが読みたいと思って下さった方は作品のフォローと☆での評価をお願いします。
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