彼女の骨、灰の味

りんご飴

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 ボロボロで雑だが修繕の跡が目立つノートを丁寧に開いて、少年は昔を昨日の様に思い出す。

 

 彼女から読み書きを教えてもらえて良かったと、心底思えた。

 ──この街でも読み書きが出来た方が生きやすいと思うよ。

 僕の悪い頭ではいつか忘れてしまうかもしれない彼女の事をいつまでも忘れずにいられるから。そして他の誰かに伝える事も出来る。

 ──文字にしておけば、いつでも昔を思い出せるから楽しいよね。

 昔を思い出すのを楽しいと言える所は分からなかったけど、彼女をより鮮明に思い出せるのは嬉しかった。


 少年はノート読み進めながら、彼女の事を少しずつ、鮮明に思い出す。それはまるで哀悼の様であった。

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