時計仕掛けの「さようなら」

1日1日は

確実に目の前を過ぎて行って

どれだけその刹那を手に掬い取ろうとしても

差し出された指の間を

ほんのひととき止まってたとしても

またもとの流れに戻って行ってしまう


置いていかれているような

気付いたら流されて来てしまったような

そんな距離を

キミの背中を

今はもう

こんなに遠くに感じる


あの時なりたかった何かにはなれなくて

じゃあ

今ここにいる自分が何になったのかも分からない

そもそも

なにものでもないのか


ただひとつ

今の自分なら

遠い彼方に置いてきた自分の肩を

悩んだり

苦しんだり

悔しかったり

辛い気持ちに震える肩を

そっと優しく叩いてあげれるくらいには

なれたんじゃないかと

そう

足元に積もってゆく砂を

一掬いして思うんだ


足元に降り積もった

数え切れない

「さようなら」を

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ノートの隅、 夏音 @natuno_oto

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