第44話



 馬車では同じように仮眠をとっていた人たちもいるようで、どこかまだ眠たそうにしている。

 リアたちはお腹が空き始めたようだ。リアとアンナは自分でおにぎりを取り出して食べている。ナーフィは俺にものを要求してくる。たぶん、おにぎりじゃないだろうか?


 彼女のために召喚したものを渡すと、食べ始めた。


 俺も軽めにおにぎりを食べながら、出発の準備を手伝っていく。

 その間に、冒険者たちが俺たちのおにぎりを見て、気になったようでちょっと配ってやる。


「……こ、これもうまいな!?」

「まじで……シドーさん、料理の天才じゃねぇか……!」


 すまん。それに関しては完全にお店のものだ。全国のコンビニに感謝は伝えてくれ。


 すぐに出発の準備は整い、村へ向けて馬車が動き出す。

 出発自体は問題なく、こっちの馬車では朝食を食べ始めていく。


 さっき食べていた冒険者たちも、まだ食べたそうにこちらを見てくるので、再びおにぎりパーティー開催だ。


 まあ食べた分、たっぷり働いてもらおうじゃないか。


 ……それからしばらくしてゴブリンと遭遇して、戦闘が始まるのだが。


「ん?」

「いつもより、調子いいかもな」

「あっ、私も!」


 そんなこんなでゴブリンたち相手に圧倒していくこちらの馬車の人々。

 俺の方にいる冒険者たちのランクが高いのはそうなのだが……それ以上に皆の動きが機敏だ。


 そ、そういえば、このバフ効果もあったな。


「……やっぱり、シドー様の食事に効果あるみたいね」

「だな」


 俺にとってはあまり自覚なかったので、すっかり忘れていたぜ。

 冒険者の人たちが嬉しそうに食事をしているものだから、ついつい色々あげていたけど……あんまり気軽にあげるのもよくないのかもしれない。


 そんなことを考えていると、奥の方からゴブリンたちが盾を持って突っ込んでくる。

 盾、といっても木の盾だ。冒険者たちからいくつかの矢が飛ぶのだが、ゴブリンたちは盾で持って受け止めながら突っ込んでくる。


「あいつらは、あたしたちでやったほうがいいわね」


 リアがそう言って、即座にハンドガンを構える。

 アンナとナーフィも動きが早い。俺は出遅れてしまったので、ハンドガンを構えながら様子を見る。あくまで、出遅れたといった感じを出すのではなく、周囲の警戒をしているように振る舞い、誤魔化す。


 こちらを警戒して盾を構えていたゴブリンたちだが、俺たちの弾丸を止められるということはなく、あっさりと貫いた。

 少し軌道は変わったのかもしれないが、一撃だ。そうして、後続のゴブリンたちを倒していると、問題なく戦闘が終わった。


「やっぱ、援護すごいな……」

「盾ごと破壊って、威力やばいね……私の弓矢が悲しくなるよ……」


 冒険者たちから、尊敬の声が聞こえてくる。


「向こうの戦闘も終わったみたいだな」


 ストガイがちらとジェニスたちの方をみる。向こうの方がメンバーの平均能力が低いので苦労はしているだろう。

 ……今回は、食事効果もあったわけだしな。

 ジェニスが出発の準備の指示を出しながら、こちらにやってくる。


「キリがないね」

「そうだな。それに、ゴブリンたちの質も上がっているみたいだし……これが数の暴力で村を襲ってきたら面倒だぞ?」

「そうだね。ただ、村にも冒険者たちはいるからね。なんとかなるとは思うよ」


 そうなのかねぇ。

 まあ、とりあえず騎士団には早いところゴブリンの巣を破壊してほしいものだ。

 再び馬車が走り出したところで、俺たちは皿にしいたポテチをつつていく。


「……これ、めちゃくちゃ美味しいですね」

「ジャガイモを使って作ったお菓子なんだけど、ジャガイモって知ってるか?」

「え? ジャガイモがこれになるんですか!?」

「……まあな」


 ジャガイモはあるんだな。ということは作り方さえ教えればなんとかなるのかもしれないけど、油の問題があるか。

 まあ、あんまり詳しい作り方は説明しない方がいいな。


 お菓子を食べさせているのは、今後の戦闘でも働いてもらうからだ。

 ハンバーガーとかよりはバフ効果も弱いのかもしれないが、あったほうがいいだろう。


「……いやぁ、まさか旅をしながらこんなに美味しい食事に巡り会えるなんて」

「……羨ましいですね、リアさんたちが」


 パクパクとポテチをつまんでいく彼らを見ながら、俺は御者の人にも差し入れを入れておく。

 ここまでずっと働いてもらっているわけだからな。

 そんなこんなで皆で仲良くゴブリンを狩りながら進んでいくと、村が見えてきた。


 遠目ではあるが、村自体は問題なさそうだ。

 村の入り口には警戒した様子で騎士のような人の姿も見える。……騎士と比べると装備品が貧相だ。自警団、とかだろうか? まあ、鎧などなにもつけていない俺に貧相とは言われたくはないか。


 無事馬車が到着し、俺たちが村へと降りるとジェニスがすぐに話を始める。

 馬車に乗せていた救援物資も渡したところで、ジェニスがこちらを見てきた。


「村のギルドで、これからどうするかの打ち合わせをする。シドーもついてきてくれ」

「……了解。リアたちも連れて行っていいか?」

「ああ、大丈夫だ」


 なんだかんだ、サブリーダーの仕事多いな。

 とはいえ、基本的にはジェニスが対応してくれるので何もしてないと言えばそうなんだが。

 村のギルドを目指して、歩いていくのだが……やはり、村の状態はあまり良くないな。

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