エンターキーで戦うことになりました ~スキル「キーボード」で生き抜く異世界生活。体に生えたキーは女どもに押させます。って……そんなに強く押しちゃらめぇぇぇぇぇ!~

祝井愛出汰

第1話 キーボードクラッシャー

 俺の名前は平井善ひらいぜん

 ゲームが生きがいな十六歳だ。

 またの名を「キーボードクラッシャー」

 なんでそう呼ばれたかっていうと。


 ゲームやっていらつく

 ↓

 怒りのあまりキーボード破壊

 ↓

 その様子を動画に撮ってうp


 したから。

 後悔はしてない。


 みんなしたことある? ネットでゲーム。

 負けたらくっそムカつかん?

 あれの怒りのやり場ってなくない?

 俺はそれをキーボードに向けたってわけ。

 おかげでキーボードは粉々。

 ま、いっか、別に安もんだし。

 

 で、その結果、俺は「キーボードクラッシャー」の異名を無事ゲット。

 おかげでネット仲間からは「キーボードクラッシャーさん」なんて呼ばれるようになったぜ。

 胸もちょっとはスッとしたし、まぁオッケーよ。


 でも、その数日後。

 俺は事故って死んだ。

 あーめん。


 で、天界よ。

 神様が言うわけ。



「キーボードを粗末にする貴様にはこんなスキルで十分じゃ。異世界で徳を積み直してこい」



 ってね。

 いやいや、徳って。

 なんですか~?

 お釈迦様ですか~?

 仏教ですか~?

 八百万の神~!?

 付喪神つくもがみ~?

 もったいないおばけ~?

 ってか、お前めっちゃギリシャ神話的白髪ジジイ神じゃ~ん。


 なんて思ってたらピカって光って来たよね、異世界。

 光るのはゼウス的神のお前の頭だけで十分だろっていう。

 そんではい、例によって草原。

 めちゃヨーロッパ風。

 風がそよそよ~っつって。

 ほら、風の感触が違うの。

 ちょっと乾いた感じ?

 いや、別に日本から出たことないからわかないんだけどね。


「グギャ~! グギャギャギャギャ~!」


 そしたら聞こえてきました鳴き声 from ゴブリン。

 ワオ!

 普通に怖いし!

 前世(切り替え早っ!)で親戚の小学生にまとわりつかれたときだってしんどかったのに、こいつらめちゃめちゃ武器持ってますや~ん!

 殺る気まんまんですや~ん!

 今世もう終わっちゃいますや~ん!


 あ~、でもゼウス的神がなにか言ってた感。

 あ、そうそう、スキルだスキル。


 はい、ってことで「ステータスオープン!」


 名前:ゼン

 種族:人間

 職業:キーボードクラッシャー

 スキル:キーボード

 レベル:2

 体力:9

 魔力:9

 攻撃:2

 防御:2

 素早さ:2

 知力:1

 器用さ:2

 運:2

 カリスマ:1


 はい、クソ!

 ステータス2ばっかり!

 しかもなにげに知力とカリスマだけ1なのがムカつくんだけど!

 っていうか職業「キーボードクラッシャー」ってなんだよ!

 まぁとりあえず死にたくないのでとっとと発動じゃ~い。

 せ~の、いでよスキル……。


「キーボード!」


 キンピカリ~ン!


 ふふふ……見よっ!


 この燦然と輝く俺の左腕にくっついたクソデカエンターキー……。


 ってこんなもんで戦えるかぁ~~~~~~!


 うぉぉぉぉぉい! ゴブリンさんたちめっちゃ迫ってきてるんだけど、どうすんの!? どうすんのこれぇ~!?



 ────────────────


 【あとがき】


 このタイトルはDiscordのカクヨム鯖「#とりあえず雑談」スレから生まれました。

 気分転換に書き続けるかも。

 読んでくれたら嬉しい♡

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