第四話
「なによ...あれ、、、」
私は教室へ向かっていく彼の背中を見て佇んでしまう。
怖かった。本当に怖かった。
気づけば私は体が震えていた。
それほどまでに怖かったのだ。
嘲笑うかのような冷徹な目、
何もかも押し潰してしまうかのような声、
その全てが怖かった。
とてもGランクが発せる代物ではない。
それにしても不思議だ。何もかもが不思議だ。
なぜ私の攻撃を避けれたのか。
あいつは一体何者なのか。
どうしてGランクなんかに居るのか。
知れば知りたいと思うほど
「「これ以上踏み込むのは危険だ。」」
と、本能があいつを危険視する。
でも、知りたい。それでも知りたい。
『多々良ハク』は一体何者なのかを。
ああ、胸が高鳴ってきた。とてもワクワクする。
そして私は、あいつの背中が見えなくなったのを確認して呟く。
「私を失望させないでね、多々良ハクくん。」
◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、俺は席に着く。
なんとかギリギリ間に合った。
まったく、朝は大変な目にあったものだ。
後ろから急に攻撃されるわ、そのせいで周囲から注目を集めるわで本当に嫌になってしまう。
「はぁ...」とため息一つつくと、
「朝からため息とか、幸せが逃げていきますよ?」
隣の席の人から声を掛けられた。
振り向くと、凛とした可愛らしい女の子がいた。
俺は
「こんなんで逃げていく幸せとかこっちから願い下げだ。」
と適当に返しておく。
すると
「は、はぁ...
あ、自己紹介が遅れました、
私の名前は『
気軽に『シオン』とお呼び下さい。
よければ貴方の名前を教えて頂けませんか?」
と、少し呆れ交じりに自己紹介された。
なんというか、礼儀正しい奴である。
(2回目の自己紹介って地味に面倒臭いな...)
と思いつつ、俺も自己紹介をする。
「見ての通り隣の席の『多々良ハク』だ。
そうだな...『ハク様』とでも呼んでくれ。」
と、初日だから場を和ますため冗談を入れる。
が、どうやら通じなかったみたいで
「なに言ってるんですか。
ハクさんですね、よろしくお願いします。」
とジト目で返された。ぴえん。
少し落ち込んでいるとシオンから、
「なーんでそんなんで落ち込んでるんですか。
ハクさんは私の『パートナー』なんですから
シャキッとして下さいよ。」
と、慰められた。なんだか自分が情けなくなる。
それはそうとして、『パートナー』って何だ?
俺は、あまり学校の事について把握していない。
俺はポカーンとしていると、シオンが呆れたかの様に言う。
「もしかして『パートナー』をご存じないですか?」
俺は黙って縦に首を振る。
それにシオンは、俺とは違うため息を溢して告げる。
その、内容を。
「ハクさんはこれから私と一緒に暮らしてもらいます。そして、私達に出る『任務』を共にクリアするんです!」
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