第二話



「おいおい、なんだこれ。デカすぎだろ。」



俺は思わず本音を漏らしてしまう。

無事に学園に辿り着いた訳だが、

もはや城とも呼べる立派な外観に驚愕していた。

その時、直接脳に語り掛けてくる一つの声が響いた。


「新入生諸君、広場の中央にある掲示板を確認して

 教室へ入りたまえ。」


学園長であろうか。

それにしても直接脳に情報を入れてくるタイプの能力か...

こりゃあ中々に面倒くさい。

人間の脳は、一定の速度で情報を整理している。

それ以上のスピードで情報を入れてしまうと

パンクを起こしてしまって行動不可能になる。

この能力を使われると強制的にそれを引き起こしてしまう。

厄介極まりない。

まぁ、今は敵意は無い感じだしスルーするか。

そして俺は広場の中央にある掲示板を確認するため歩き出した。


掲示板までそれほど遠くなかった為、すぐに到着した。

そこで自分の教室を確認してみると、やはりというべきだろうか。

『Gクラス』の所に『多々良ハク』の名前があった。

俺はそれに対して別に何も思わない。

思った所で何も変わらない。

俺は掲示板から離れ、Gクラスの教室へ歩を進める。


その刹那、


「ビュンッ」

と風を切って俺の横スレスレを紅く黒い何かが通り過ぎた。


そして、近くの壁を破壊する。

辺りには物凄い音が轟き、周りの生徒達がザワつき始めた。


俺は後ろをゆっくりと振り返る。

そこには1人の女性が佇んでいた。

彼女は俺を睨みつけている。

きっと当たらなかった事が悔しかったのだろう。


しばらくして彼女から一言、

  

「あなたは本当にGランクの人間なのかしら?」


手荒い歓迎に対し俺は、胸が高鳴って口角をニィっと上げながら応える。


「もし『そうじゃない』って答えたら

              どうするんだ?」
















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