イケメン王子に転生したけど、常時発動スキル【おじさん構文】でヒロイン全員リバースしたZO☆ でも悪い気を取り除くだけだから安心だね❤

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

第一章 イケメンにリバースしたけど、言動がおじさん構文だからかメイドさんがリバースしたZO

第1話 オレを転生《リバース》させた女神様が、リバースしちゃったYO☆

 推しが結婚したショックで、オレは死んだ。


「目覚めなさい、斐川ひかわ 樹来じゅらいよ」

 

 オレの前に、推しそっくりの女性が立っている。


「おお、憧れの声優ちゃんが目の前に!」


「違います。斐川ひかわ 樹来じゅらいよ。わたしは女神です。あなたを転生させてあげますよ」


 どうもこの人は、女神様らしい。

 ちなみに女神様の姿や声は、オレが望んだからこの形になったんだとか。


 ナイスだね。これだけでオレっち、ゴハン三杯は食べられるよ。

 

「ぐえ……わ、わたしは、あなたに転生のチャンスを与えに来ました」


 なんでも女神様は、オレが推しの結婚でショック死すると思っていなかったという。

 不憫に思った天界及び女神様は、オレを生まれ変わらせてくれるそうだ。


「お、マジ? オレっち、ラッキープリティーじゃん」 


「ウッ! プ! ゥヴホ!」


 女神が、なぜか口を抑えている。

 なんだろう、つわりかな? キミを孕ませた覚えなはないZO。

 

「違います。妊娠ではありません」


 心を読まれた!?


「転生先は、いわゆる異世界というやつですね」


 

 でも、どうしてオレなんだろうねぇ?

 推しが結婚してショック死した人物は、オレだけではなかろう。

 

 それだけ、あの声優さんは人気だった。おっぱいも、ドーンと大きかったし。第一子妊娠中って言っていたから、大きかったのかな? できれば、タッチしてみたかったものだ(コラ。センシティブだぞ。


「ところで、オレは異世界でなにをすればいいのやら? なにもしなくていいなら、適当にハーレムでも作っちゃうZO」


「お、え」


 さらに女神が青ざめて、口を抑えた。


 女神が話を続けた。

 

「とある貴族が出産予定なのですが、危機的状況にあります。あなたの霊が宿ることで、その子は無事に生まれることでしょう」


「その子どもが、その世界においてキーパーソンになるから、ちゃんと生まれてくれってことかい?」


「察しが良くて、助かります。ジュライ」


「カンのよさに定評のある、オジサマァ、ですっ」


 オレは「だっちゅーの」ポーズを取る。


「ゲェ……ッホ!」


 女神が吐きそうになって、うなった。


 言葉だけで、妊娠させちゃったっ❤


「ですから、違います。あなたにそんな神通力はありません。しかし、あなたが恐るべき力を秘めているのは確かです」


「というと?」


「言霊です」


 KO☆TO☆DA☆MA? それってマ?


「さっきからあなたが使用している、いわゆる【おじさん構文】です」


 ああ、ダイレクトメールの文章ね。

 友だちにも、「きめえ」って返されたよ。


 普通にしゃべるときは普通なんだけど、メールになるとどうしてもおじさん構文になっちゃうんだよね。そのせいで、仕事にも支障をきたしちゃったゼ!


 直接あったら普通の人ってわかってもらえたから、営業は基本会うかテレワークかになっちゃった。テヘ☆

 

「あなたのメールは、女性を不快にするといった強烈なデメリットを所有しています。しかし同時に、不快要素さえ凌駕する凄まじい力を秘めています。どうか、その力を世界平和に役立ててください」


「具体的に、どうやって?」


「行けばわかるかと」


 いいねえ。手探り要素を、設けてくれているのか。

 最初からなんでもかんでも知っていたら、ズルだもんね。攻略法が全部わかっているゲームなんて、退屈なものさ。


「念の為に言っておきますが、一度転生すると、常時スキル【おじさん構文】が発動し続けます。魔力や生命力など、なんの資源リソースもなしに」


 なるほど。オレのスキルはパッシブ、つまり、常時発動するタイプってわけだね。


「あなたの一挙手一投足、すべての言動が【おじさん構文】的になります」

 

 それは、すごいや。


 あっちの世界は、どうせ中世ヨーロッパタッチだろうからね。メールなんてないし。どんと来い、ってやつだよ。


「ただ、あなたには前世で得られなかった、超絶的な美貌をプレゼントします。黙っていれば、イケメンのままです」


 ちょうどいい、塩梅だと思う。

「花は多くを語らない」ってわけだね。


「おっえ……でで、では、いってらっしゃいませ。よい転生ライフを」


 足元の雲に、穴が空いた。


 魂状態のオレは、雲の上から地上へと落ちていく。なにかに引っ張られるように。


「サンキューベリーマッチョ! 愛してるよ! もう一回死んだら、今度こそ一つになろうね!」


「ゲエエエエ! オロロ! オロロロロロロロロロロロロロロロロ!」


 オレが遠ざかっていくと、女神は虹色の何かを口から吐き出した。今度こそ、ガマンできなくなっちゃったんだね。




 オレ、爆誕!

 

 ベイビーでも、イケメンに生まれ変わったってわかるZO。

肌がツヤツヤ、ってレベルじゃねえもん。

 


「我が子よ。よく無事で生まれてくれた」

  

「アナタに似て、美しい顔立ちに生まれたわ」

 

 両親らしき二人が、オレの顔を覗き込む。


 おお、母ちゃん。

 オレが学生時代に推していた声優ちゃんと、そっくりじゃないか。

 あちらも、三児のママなんだよなあ。

 結婚妊娠発覚のときは、ショックで眠れなかったっけ。


 そんな声優さんのそっくりさんの子として生まれ変われるなんて、感無量。


 できればオレが孕ませたかったけど(コラ。


 まだ産めるし(コラコラ。

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