チャールズ・ロビンソンの航海日誌

@saikinote

聖歴1558年 5/2 快晴

聖歴1558年 5/2 快晴


今日は朝から波が穏やかで気持ちよく晴れていた。まさに絶好の船出日和で、船長も船のみんなも俺達は神に祝福されていると喜んでいた。


船上でビスケットが詰まった樽を運んでいる時に誰かが置いていたロープにつまづいて、危うく中身をぶちまけるところだった。最初からこんな調子じゃこの先が思いやられる。


ベッドに入る時に、僕の上の段のビルが「マスかく時はここでやんなよ」って、笑いながら言ってきた。心配しなくてもやらねえよ。前にやっちゃった奴がいて、匂いがこもって大変だったんだって。


港で、目にいっぱい涙をためて、最後まで手を振ってくれていた幼馴染みのアンナの顔が忘れられない。


それに、最後まで心配そうな顔をしていた母さんも父さんも。


まだ小さい妹は、よく理解できてなさそうだったけど。


でも僕は振り返らない。


なぜなら、これからこの船と共に歴史に残る偉業を成すんだから。


人類史上初の、世界一周という偉業を。


(『チャールズ・ロビンソンの航海日誌』から抜粋)

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