第2話 『大魔術師は庶民の味方ですⅡ』本編第15話の続き
フィンは、ミュリエルの顔を、自分のほうに向かせて、唇を唇で塞いだ。
フィンの手がミュリエルの胸を包み込み、ツンと突き出した突起を、指で弄ぶ。
ミュリエルの息遣いが荒くなり、フィンは硬くなった自分の一部を、ミュリエルの腰に押し付けた。
口の中を舐め回すフィンの舌が熱く、ミュリエルの身体は歓喜に震えた。
腹の奥底に感じる、あの熱が、ジリジリと迫ってくる快感に、恥ずかしくなり、ミュリエルは頬を赤く染めた。
「こっちを向いて」フィンは自分の体を浴槽に沈み込ませ、ミュリエルを自分の体に跨らせて向き合った。
フィンの硬く起立したそれが、ミュリエルの足の間を擦り、湯で濡れているのか、自分自身が濡れているのか分からなかった。
毎晩少しずつ広げられ、快感を覚えこまされたミュリエルの体は、物足りないと言っていた。
「フィン……」
切ない声で名を呼ばれ、フィンの理性が粉々に吹き飛んだ。
疲れた体に無理をさせまいと、早く動かしたい衝動を押さえこんで、ミュリエルの腰をゆっくりと動かしていたが、ミュリエルの体に入りたいと言っている男の欲望が、フィンの体内で荒れ狂った。全て包み込んで欲しいという欲求に耐え続けたフィンは、もう限界だった。
「ミュリエルが欲しい……」フィンはミュリエルの胸に顔を埋めた。「早く結婚したい……」——そうすれば、君の中に全てを与えられるのに——という言葉は飲み込んだ。
「……フィンが欲しい」
恥じらいながら、小さな震える声で発せられたその言葉を、フィンは信じられないといった顔で、ミュリエルを見つめた。
「ミュリエルも意地悪だな。俺に試練を与えようというのか?そんな嬉しいこと言われたら、君を今すぐベッドに運び、繋がりたくなってしまうじゃないか」嬉しいという言葉とは裏腹に、フィンは苦しそうな表情で言った。
焦ったいほど、ゆっくりと快感を与えられたミュリエルの瞳は、しっとりと濡れていて、フィンを誘惑しているように見えた。
言いたいけど、どう言っていいのか分からず、ミュリエルはもじもじと体を動かした。
「……結婚は許可されました」
「ああ……もう、ミュリエル。君はへとへとに疲れてるから、俺は我慢してたのに、煽る君が悪いんだ。どうなっても知らないからな」フィンはミュリエルを抱えあげて、ベッドへ運んだ。
フィンはミュリエルの濡れた体を丁寧に愛撫した。胸を口に含み舌先で刺激する。熱を帯びて、しっとりと濡れている足の間に、指でそっと触れ、感じやすい部分を擦り、導かれるように侵入させる。何度も体を重ねて、ミュリエルの弱いところは、全て把握している。
あっという間にミュリエルは頂点に登り詰め、快感の波を、体を弓なりにそらせて受け止めた。
フィンはそっとミュリエルの唇にキスをした。「可愛い、俺のミュリエル。永遠に愛してる」
フィンは怖いほどに膨張した自身を、ゆっくりとミュリエルの中に突き入れた。
鋭い痛みを感じたミュリエルが、身を竦める。
「大丈夫、力を抜いて」ミュリエルの頭を優しく撫で、涙が流れたミュリエルの目に唇をつけた。
魔法で痛みを感じなくさせることはできる、でも、ミュリエルはそうしなかった。痛いのに、心は幸せで満たされていたからだ。
ミュリエルは浅く荒い呼吸を、ゆっくりと息を吸い、吐いて落ち着かせる。ミュリエルの体が、呼吸とともに少しづつほぐれる。繋がった部分が緩むと、フィンは更に奥へと自らを差し入れた。
じっくり時間をかけて、最後まで押し込んだフィンは、息を弾ませ、動かしたい欲求に耐えた。
「ミュリエル、馴染むまで少しこのまま、動かないで我慢して」
ミュリエルはコクリと頷いた。
恥ずかしいのか、顔を真っ赤に染めて震えているミュリエルが愛おしくて、力いっぱい抱きしめた。
本当に、これは試されているのかもしれないとフィンは思った。ここで荒々しく動けば、きっとミュリエルは、これから先、こういうことが苦手になってしまうだろう。そうならないために、初めては完璧にしなければならないのだ。
それが、相手の男に課される、最大の試練だともいえる。
「ミュリエル、ゆっくり動くよ」ミュリエルの体を抱きしめたまま、フィンは腰をゆっくりと動かした。
柔らかな内壁を、何度も押し広げられる違和感に、怖くなったミュリエルは、フィンの背中に回した腕を強めた。
フィンはミュリエルを落ち着かせるよに、唇を何度も吸った。
引き裂かれる鋭い痛みが、重い鈍痛に変わっていく。
腰がずっしりと重く、ベッドに沈み込んでしまったように感じた。
その刹那、奥深くを突かれたときに、腰から背へと駆け上がる快感を感じた。
フィンを誘うように響く切ない吐息が、一際大きく発せられた。はしたないと分かっていても、口から漏れる喘ぎを、止めることはできなかった。
「ここが好き?突くたびに中が締まるね」
深い口づけに心は蕩け、胸の膨らみを刺激される快感に、痛みが遠のいていく。痛みは確かにそこにあるはずなのに、ミュリエルの体は、ただ快楽だけを追い求めた。
「ごめん、ミュリエル。もう限界だ。少しだけ早く動くよ」
それまでよりも、一層激しく突き立てられる衝撃に、ミュリエルの口から小さな悲鳴があふれる。
フィンは口づけを深めて悲鳴を飲み込み、自身をミュリエルの中に解き放った。
覆い被さる体が力を失い、ぐったりとミュリエルの体に倒れてしまいそうになったフィンは、ミュリエルを押し潰してしまわないように注意しながら、自分の体をしっかりと支えた。
荒くなった呼吸を鎮めて、ミュリエルの中から抜き出た。
ミュリエルはこれ以上目を開けていられなくなり、明かりを瞳から追い出すように瞼を閉じた。
フィンは眠ってしまいそうになる自分に、立ち上がれと強く命令して、バスルームまで歩いていき、タオルを濡らして戻ってきた。
ミュリエルの汗に濡れた体を、タオルで丁寧に拭いて、自分の体もさっと拭った。
メイドのアデリーナは、ミュリエルとフィンが、すぐに眠るだろうと予想して、気を利かせてくれたようだ。部屋の窓には、重たいカーテンが下ろされていて、柔らかな明かりが室内に差し込んでいた。そろそろ陽が傾き始める頃だ。
フィンはすやすやと眠るミュリエルの額に、ちゅっと口づけ、隣に体を横たえて深い眠りへと落ちていった。
※本編第16話へ続く……
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