SEX

エリー.ファー

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 ただ、君を愛してる。

 風に手を伸ばして。

 地味な君の顔にキスをした。

 挨拶が好きです。

 あなたのために考えたすべてがあるからです。

 お願いします。

 真っ白にして下さい。

 お願いします。

 汚さないで下さい。

 この体は私のものです。

 あなたに触れられても。

 この体があなたのものになることはありません。

 溶けあっているような気がするだけです。

 溶けあってません。

 だって。

 この気持ち良さをデザインしなきゃいけないから。

 分かってないでしょ。

 ぜんぜん気持ち良くないこと。

 知らないでしょ。

 興味もないでしょ。

 分かろうともしないでしょ。

 そういうところが大嫌い。

 本当に死ねばいいと思ってるよ。

 そう思いながら。

 踊ってるよ。

 愛があると思ってるでしょ。

 ないよ。

 あなただけだよ。

 この時間に愛があると本気で思ってるのは。

 あなただけなんだよ。

 残念でした。

 もしかして何かがここにあると思ってた。

 この白いのに意味があると思ってたの。

 さっきの声に意味が込められてると思ってたの。

 仰け反った時。

 荒く息を吐いた時。

 シーツを掴んだ時。

 何かがそこにあると思ってたの。

 ないよ。

 本当に何もないよ。

 愛していないわけではないけれど。

 あなたと付き合いたかったわけでも。

 あなたと結婚したかったわけでも。

 これから。

 あなたと添い遂げたい気持ちもないよ。

 本当だよ。

 きっと信じてもらえないと思うけど。

 本当に。

 心から本当に。

 あなたが思うような愛なんてここにないよ。

 これからも生まれないし。

 それがずっと続くだけだよ。

 別に残念に思わなくて大丈夫だよ。

 大丈夫。

 どうでもいい時間が。

 あと一生分。

 続くだけだから。

 夢を見てそうな気がするんだよなぁ。

 あなたって。

 そういうタイプだもんね。

 残念でした。

 特にあなたに何かをされたわけではないけれど。

 特にあなたに何かをしてあげたいとも思えないの。

 分かるでしょ。

 この感じがずっと続いてるの。

 だから。

 だからお願い。

 お楽しみはあっても。

 楽しくはない。

 そういう時間が欲しくてたまらないの。

 思い出はあるよ。

 いくらでもある。

 でも。

 あなたにとって思い出でも。

 わたしにとっては記憶だから。

 思い出には色が付いてるでしょう。

 記憶は情報の羅列。

 分からないだろうな。

 こう表現したところで。

 あなたが理解できるとは思えないな。

 だって今日も何も知らずに寝ていたでしょう。

 何も知らずに起きたでしょう。

 で。

 どうせ。

 また何も知らずに寝るんでしょう。

 さようなら。

 おやすみなさい。

 もしも。

 愛が大事だと思っているなら。

 大きな間違いです。

 本当に大事なものは愛ではないです。

 本当に大事なものは。

 愛がないと気付くことです。

 どこを探しても見つけられない。

 みんなが思い思いに語っているけど。

 中身は全くない。

 愛のようなものはあるけれど。

 確かめようがない。

 仮に確かめることができたとしても。

 愛ではない証明がなされてしまうだけ。

 でも。

 安心する瞬間もある。

 やっぱり愛なんてなかったんだ。

 自分の知っている世界が過去にも現在にも未来にもあるという嬉しさ。

 喜び。

 自分の中にあった価値観に何も影響を与えないという平穏。

 そのうち。

 果てて。

 手も繋がずに眠って。

 手を繋いだとて。

 たったそれだけのことでしかなく。

 朝が来る。

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