67歳と51歳!

崔 梨遙(再)

1話完結:900字

 喫茶店の常連客、晴美さん婚活中72歳(当時67歳)は、しばらく来ない常連客の新太郎さん当時50歳のことが好きで好きでたまらなかった。新太郎さんが仕事に戻ろうとしても、外まで追いかけてノンストップ・マシンガントークを浴びせていたらしい。喫茶店のママさんが心配して、新太郎さんを仕事に行かせたこともあるらしい。基本的に、晴美さんの話はほとんどの人が聞いていない。晴美さんが一方的に喋るだけ。マシンガントークには、1時間半のショートコース、3時間のミドルコース、6時間のロングコースがある。ちなみに僕は6時間ロングコースで気を失いそうになったことがある。


 だが、新太郎さんは摩耶さん当時51歳と付き合うことになった。晴美さんは、駐車場で摩耶さんと、新太郎さんを盗った盗られたの大喧嘩をしたらしい。その時、晴美さんはこう言ったという。


「私の方が美人やし、新太郎ちゃんも私のことが好きやったはずや!」



 全部、常連さんに見られていた。



「晴美さんと新太郎さん、20歳近く歳が離れてますやん」

「大丈夫、私、22歳年下までOKやから」

「いやいや、あなたが良くても……」

「だって、40代の時に22歳年下の男の子に誘われたことがあるもん」

「どんなデートやったんですか?」

「男の子はずっと漫画読んでたけど」

「それ、デートとちゃいますやん。ちょっと遊びに行っただけでしょ?」

「いやいや、私、娘がいたから、娘に性的虐待をされたら困ると思って丁重にお断りしたわ」

「いやいやいやいや、プロポーズされてなかったんでしょ?」

「うん、プロポーズされる前に言わなアカンやろ?」

「なんか、話を聞いても納得出来ないんですけど」

「とにかく、私は22歳年下までいけるねん。だから、私は新太郎ちゃんのストライクゾーンに入ってたはずやねん」

「そもそも、最初の22歳年下に誘われたっていうのが間違いやったんとちゃいますか?」

「そんなことない、私、その22歳年下の彼の生き霊にキスされたもん」

「生き霊?」

「うん、生き霊。よっぽど私のことが好きやったんやろうなぁ」



 何を言ってるんだ、この人は?







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