第39話 カロナイラ家


王都ラスティアに着いた俺たちは、ナーシャの執事であろう人にカロナイラ家を案内されていた。歩いている間、街を一通り見てみたのだが、やはり国の中心ということもあって、その光景は凄いものだった。


売っている品物もどこか他の国の名産物だろう、そんなものがここにわんさか集まっており、人口もレステンクール領と比べても計り知れないほどに多い。

また、領には見かけなかった鍛冶屋や防具やなど様々なものが売っており、俺がここに夢中になるのも時間の問題なのだろう。


「いかがですかアクセル様?この国、イメドリアの中心王都ラスティアは?」


すると俺の様子が気になったのか、ナーシャは口元を緩ませながらそんなことを聞いてくる。


「凄いですね、ここまで活気があふれる所とは思わず...圧巻されます」


「ふふっ貴族様なのにそんなことを言うのですね?不思議な人ですわ」


俺の回答がおかしかったのか、ナーシャはくすくすと笑いながら少し楽しそうにしている。何かおかしなことを言っただろうか?


「さぁアクセル様、まもなく我が屋敷に着きますわ。行きましょう」


すると俺の手を強引に取って前にいる父上達の後を追う。

そうやら俺が街に圧巻されてる間に置いてかれたらしい。

手を引かれながらもカロナイラ家の屋敷に向かったのだった





「....」

王都の存在感....および都会の凄さ流されそうになりながらも、なんとか屋敷に着いたのだが....これまた圧倒されてしまった。

一言で言うとでかい。これまたでかいのだ。

うちの屋敷も中々な大きさだが、それを軽々と超えてしまう程の大きい屋敷がいま目の前にある。


周りを見てみると....なんで皆普通そうなの?

最年少のはずのソフィアもそんなの当たり前だと思ってるのか、屋敷についてもうんともすんとも言わない。どうやらこれが彼ら彼女らにとってこれが普通らしい。

そんなことを思っていると、ジーク率いる騎士達が俺の近くに寄ってきた。


「ではアクセル様、我々はこの近くにある建物に行きますので何か用があれば赴きください」

近くにある建物.....今見たが、その近くにある大きい建物か?

...どうやらカロナイラ家は相当権力のあるお家らしい。


いやそりゃあそうか、だって王族と深い関わりのある貴族だもんな。

と、そう考えながらも、ジークに返事にする。


「分かりました、では訓練する時は赴きます」


「はい、ぜひそうしてください.....モルク?あなたはどこに行こうとしてるのかしら?」


ジークの目線の先には今にもどこかに行きそうなモルクの姿が見えた。

こいつまさか....


「へ、へへ..ちょっとトイレに....」


モルクは逃げようとしたが、彼が着ている甲冑をレイスが逃さないようにガッチリと掴む。


「なっ!おいレイス離せ!おまえ俺を裏切るつもりか!?」


「裏切るもなにもお前またナンパする気だろ?今回ばかりは付き合ってもらうぞ」


そんな会話をしてレイスはモルクを掴みながら俺に頭を下げる。


「ではアクセル様、失礼します。あと団長だけではなく、俺とも戦ってくださいよ?」

そして、彼らは去っていった。去り際にげぜぬ....という声が聞こえたがまあ気にしなくていいだろう。


「あの二人、実は少し仲がいいの?」


「えぇ、たまにですが、模擬戦をしているようで、それがきっかけなのでしょう。

レイスがよく絡むようなっていってるんです」


「へぇ...なんか意外な組み合わせだな」

ジークと彼らについて少し話した後、今度こそ去っていった。


「さて...行きますか」

今も圧倒されるその城の方を向いて今度こそ、中に入るのだった。



カロナイラ家

原作ヴァニティフィロスにはあまり登場しないが、それによるとどうやらさっき言った通り、王家ミレイス家との関係が深いらしく、公爵家のほうが身分が高いにも関わらす、この国の貴族のリーダーを務めてるという侯爵家の中でも異例の中の異例の貴族でもある。

そんな威厳ある侯爵家なのだが....今はとても和気あいあいと話している。


「いやぁ、マエル殿のご子息、ご令嬢は皆立派に育てられますな!

アルマン殿やマリア殿の噂もここまで聞こえてきますが、この子たちもきっとそれに負けないくらいの優秀な貴族にご成長なさるでしょうな」


「いえいえそんな、バレロナ殿のナーシャ様も見ない間にとてもご立派なご令嬢になられ、驚きました。将来が楽しみであります」


「いやいやそう言われると我がカロナイラの冥利に掛けますなぁ、ハッハッハ!」


今、父上と愉快に話されてる人物はナーシャの父、バレロナ・カロナイラ

特徴的なのは何と言ってもその頭だ。

その金ピカに反射する光はなにものをも寄せ付けない力を持ってる。

おそらくうちの父はこうはならないだろう特徴的な髪型をしていた。

....まぁ簡単に言うと、髪がないだけなんだが。


「リア―ヌさん、これ貰っていただきませんか?」


「あらこれは?とても甘い香りがいたしますね」


「最近発見された原料を加工して作った新しい香水よ。気に入ってくれたらいいのだけど」


「まぁそれは!ありがとうございます。今度赴いたときにはお礼をさせていただきますね、シレイさん」


一方、母とお話される人物はシレイ・カロナイラ

ナーシャに似た淡い青色の髪をしている特徴的な人物で

きっと若い頃は言い寄られたのだろう。それほどの不思議な魅力を出している。

母のマリアと並んでもその魅力を醸し出せる時点で只者ではないと言える


父母同士の会話を呆然と眺めてるとさっきまで話していた、隣にいるソフィアとナーシャが俺に話しかけてきた。


「お兄様、どう思います?」


「えっ?どうっていうのは...」


「さっきまでソフィアちゃんと話していたんですけど、そこで少し気が合わないことがありまして....」


するとナーシャは立ち上がり、どこかへ向かって行き、しばらくすると、手から二つほどお菓子っぽいものを出して見せてくる。


「これは?」


「最近流行りだしているお菓子ですわ。市民にも人気な食べ物でもあります。

ただ、二種類あるのでどちらが美味しいのかという論争が今巷で起きてますの。

私はこちらのカカオという甘いものがたくさん入ってるほうが好きですね」


...よく見てみるとなぜだか、前世にあったきのこの山みたいなお菓子だな。

そういえばあの作者名前はしっかりと言及はしなかったが、現実のお菓子をよく出してたな。

きのこの里のような菓子をまじまじと見てみると、ソフィアが語りだす。


「ソフィアはこのサクサクとした食感が多く入ってるこちらをおすすめします。

お兄様、一緒にいただきましょう?きっとお兄様ならこの美味しさを分かちあえるはずです」


ナーシャからたけのこの里のようなお菓子を取って俺に食べさせようとしている。


「むっ、ソフィアちゃん、アクセル様ならきっとこちらのお菓子を好むはずです。

さあアクセル様!私と共にこのお菓子の良さを語り合いましょう」


ナーシャもソフィアに負けないように俺にきのこの山のようなお菓子を食べさせるために向けてくる


「「さあ、お兄様(アクセル様)!!」」


こちらもこちらで賑やかなようだ....正直俺、どっちも好きじゃないんだよな.....

そう考えたが、流石に無碍には出来ず、どちらのお菓子も食べたのだった。





しばらくして、バレロナ様からゆっくり休んでださいと言われた俺たち一同は用意してくれただろう部屋でそれぞれ過ごしていた。


流石に疲れたので少しだけ寝ようかなと考えた時、正面からいきなり二つの魔法陣が現れ、あまりの眩しさから目を手で覆い、光が収まると、目の前にローレンスとユニーレが立っていた。

いつも余裕な雰囲気の出してる二人だが、今は少し俺に険しい表情を向けている。


「どうしたんだ二人とも?そんな様子で?」

俺の問いに最初に答えたのはローレンスだった。


「...アクセル、お主あの家のこと、どこまで知ってるのだ?」

あの家とはペレク家のことだろう。


「...ある程度はな」

次に声を発したのはユニーレだ


「人間がここまでしているなんてね....しかもあなたの家の人間も...ね」

ユニーレは怒気を孕みながら、溢れんばかりの魔素や魔力が漏れ出してる。


「落ち着けユニーレ、お前らしくないぞ」


「こんなの怒りを押し込めっていうのが無理って話よ」

なんとか怒りを鎮めるように言ったんだが、どうやらだめらしい。

だが、ユニーレの気持ちも分かる。大事な人物に....裏切り者がそばにいると考えただけでもきっと怒り心頭にもなる。それも...




「....まさか、この時代にと手を組んでいる輩がいるとはな」

結論づけるようにローレンスは言い放った。


...そろそろ彼女らにも話さないとな。

俺はそう覚悟を決めて、ローレンス達と向き合ったのであった。






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