第11話 「混沌の魔女」またの名を.......





前回兄上と姉上が学園から帰ってきて和やかに過ごすつもりが、

父上が突如として、混沌の魔女のことについて語り始めようとし、俺たちは驚愕の一種を浮かべていた














「父上」


先程まで驚いていた様子だった兄上が冷静を取り戻し、父上に声をかけている


「ん?なんだいアルマン?」


「正気ですか?混沌の魔女ていうのはあの、人類が生んだ最悪の化け物のことですよね?」


「うん、その魔女で合ってるよ」


「......」


兄上が難しい表情を浮かべている。それもそうだろう聞いたら命が奪われるとも噂されるほどの人物の話をされるのだ。無理もない。



混沌の魔女

先程、兄上が述べた通り人類が生んだ最悪の化け物と呼ばれ、それは聞いただけで魔女に命を奪われてしまうと噂されるほどだ

原作では魔王が消滅したあと、光でもない闇でもないそれらが混じり合う世界「混沌」を生み出そうとして、それを防ごうとしたアレスたちの前に敵として立ち塞がる正真正銘、最後の敵だ。


その多彩稀なるは一つ一つの魔法の威力が他の魔法使いよりも圧倒的に高く、そして同時に全てを操る様はまさに化け物と言って過言ではないだろう。


普通の魔法使いは7種類のどれかの魔法を使うのだが、混沌の魔女はさも当たり前のように12種類使ってくる。きっとこういうところも化け物と呼ばれた所以でもあるだろう


アレスたちは一度似たような相手と戦ったからまだまともに戦えてはいたが、その強さは魔王を遥かに凌駕するとアレス達が断言するほどだ。


そんな混沌の魔女だが、もまたこの世界で悲惨な目にあってしまった被害者だ。


....これについてはまた説明しよう。いまはそんなことより――――



「父上、混沌の魔女とは僕たち人類が生んだまさに人外です。その話を聞いただけで呪いのように死んでしまうほど。そんな話をなぜ?」


俺は父上にそんなことを聞く

当たり前だ。噂は出鱈目だが、その話を聞くのは俺一人で十分、他の家族にこんな話聞く必要はない。それに父上自らそんなこと話さなくても......


「アクセルは知っているのだろう?」


「っ!?」


「なんのためになのか、そこまでは分からないけど、それでも君は動揺しなかった

。この世界では恐怖のの象徴って言われるほどなのに...つまりそういうことだと考えているってことじゃないかな?」


.....相変わらずの洞察力で俺は少し呆れてしまう。


「父上達が納得しているのなら僕は構いません」


目的までは流石に勘づかれることはなかったが、他のみんなには結構衝撃的な内容なのかもしれないことはどうやらバレてるらしい。


「いい息子がいてくれて父さんは誇らしいよ」


「そのお気持ちは嬉しいですが、みんなを置いてけぼりにするのは良くないと思いますよ?」


「おや?それもそうだね。この話はみんなにとても重要だから話についてこられないのは少し困るよ。」


父上は難しい表情をした兄上や、まだ頭の処理が追いついてない姉上とソフィアの方を向いて話始めた。


「そうだね....なんでこの話が重要なのかは彼女の名前を知れば納得してくれると思うよ?」


「ど、どういうことですか父様?名前を知れば納得できるとは...?」


やっと少し冷静になれた姉上が疑問に思う

混沌の魔女のことについて冷静でいられるのはそこらの貴族ではできないことだ。

流石はマリア姉上ということだ。


そして父上はそのとんでもない名前を僕らの前で告白した。






















「彼女は通称、混沌の魔女と呼ばれている。そしてまたの名を.....


「あ、アンドレ?」


「それって....」


「僕たちと同じ、家名......」


ソフィア、マリア姉上、アンドレ兄上がそれぞれ呟き、先程以上の驚きと衝撃でついには固まってしまった。


そう混沌の魔女ことローレンスはアンドレの名を持つ僕たちと血が繋がっている。

つまり、であったのだ。


「これは....少し待ったほうがよろしいですよ父上?」


「あはは...まだみんなには早すぎたかな?」


「あなた...だからもう少し遅くでもいいと言ったのに。」


俺、父上、母上はそれぞれ反応をみた感想をいい、兄上たちが正気を取り戻すまで、僕たちは少し待つのだった。













「と、父様!どういうことですか!?混沌の魔女が私たちと同じ家名を持っているのは!?それはつまり...わ、私達と混沌の魔女は血縁関係であるということですよ!」


マリア姉上は声を荒げながら父上にそんなことを聞いてくる


「.....」


「ソフィア?もし頭が追いつかないなら少し休んでていいよ?」


さっきの発言で予想以上のことでついに追いつかなくなってしまったように見えるソフィアに俺はそう促す。だが....


「...ありがとうございます。アクセルお兄様。ですが、この内容は最後まで聞かなければいけない気がします。なので聞かせてください。」


「そっか、分かったソフィアがそれでいいならなにも言わないよ」


「はい、ありがとうございます」


この子は本当に強い子だ。兄である俺が霞んでしまうほどだな。


「...もしかしたらお兄様に近づく女狐の可能性もありますし」


.....うん、この子はある意味ほんとにぶれないね。

混沌の魔女に対しても負けないんじゃないか?


「...衝撃的にはなるけど、なるほど。もしそうなら納得いくところではあるね」


アルマン兄上も驚いていた固まってしいたが、そう考えれば納得いくできるという顔をしていた。

流石は神童と呼ばれた男だ。


と、そんな反応を見た父上は言いと思ったのか再び語り始めた


「みんなは不思議に思ったことはない?どうして私達の家名は他の貴族たちとは違うのだろうと」


「そ、それは確かに...で、ですがなんの関係が?」


そうこの家名は特殊だ。

普通の貴族や高貴な貴族であっても、その名前は名前+家名だ

少し例を言うとジークリンデ・オルバドス

団長も結構偉い高貴な貴族ではあったが、この名前+家名だ


だが、俺たちの名前は名前+アンドレ+家名だ

これには意味がありそれは.......


「...私達の名前にある『アンドレ』これは、国王や皇帝などの偉人の者、もしくは

魔王や魔女のような怪物と呼ばれるような者につけられる.....私達の場合は後者だね」


「そ、そんな話...聞いたことが」


「それはそうだろうね。多分国のトップでも知っている人と知らない人がいるんじゃないかな?」


何度も衝撃的なことだが、実際全て事実だ。

そう、この名前と家名の間の名前は偉人もしくは怪物のような奴らに名付けられるものだ。


その名を持つ代表4人を挙げると


この国「イメドリア王国」

国王「オルデリング・ネファース・ミレイス」

イメドリア王国の隣にある帝国「ランディール帝国」

皇帝「ロネル・リンネル・メルトリア」

南西諸国にある魔族の領地「ウルクライト」

魔王「ナグロライト・シビル・イージスト」

そして混沌の魔女と呼ばれる災厄「ローレンス・アンドレ・ライファス」


それぞれの名を持つ者たちである。


「お、お待ちくださいお父様!ラ、ライファスって確か....」


「うん ソフィアは気付いたようだね....アクセルは相変わらずか」


そりゃあ前世で知ってますとは言えず、俺は意味深の笑みで父上に返す

父上は「我が子ながら恐ろしい」と思っているのか、少し顔が引き攣っている。

姉上と兄上も気付いたようで


「「ま、まさか....!」」


驚きも隠せないだろうなぜならその名前は―――――



















―――――大昔に滅んだかつての聖王国の名前であるのだから。


聖王国「ライファス聖王国」


つまり僕たちの正体とは.....


「....聖王国の王族の血を引く末裔、とでも言うのか....!」


兄上がまとめるように、結論を出した。


今回、何度目の衝撃の事実であるが、王族の血を引くという事実はあまりにも非現実的で今度こそ3人は固まってしまった。


「父上、もう一度聞きますがどうしてその事実をみんなに?兄上や姉上はともかくソフィアに関してはまだ8歳です。少し早すぎる気が....」


「少しでも早く知ってほしかったって思いもあるし、今日アクセルが聞いてきたからかな?理由を述べるならね」

そんな理由でいいのか、と顔に出ていたのか父上は苦笑しながら語った


「少しでも知ってほしかったんだよ。私達が王族の血を引いてるということ、もしかしたら危険なことに巻き込まれるかも知れないこと、そしてその末裔として先々代、そしてローレンス様に恥じないように誇りをもって生きていくということを。まだソフィアは幼いかもしれないが、だからこそ知っておくべきだと思うんだ。...この子たちには少し辛い思いをさせるかも知れないけどね。」


「....ライファスの血を引く者は母上なんですよね?」

俺がそう言うと、やっぱりかって言いそうな顔をしている父上とそれに驚いている母上が俺の方をみた。


「...そこまで知ってたのね」


「ほら、言っただろうリアーヌ?アクセルは全部知ってるんだよ」


まるで勝負に勝った子供のように父上は言った。

だが、それも一瞬で、俺の方を向いたときには本来の領主として、そしてなにかを悟ったようなそんな顔をしていた。



「さてアクセル、君が混沌の魔女...いやローレンス様について知りたかったのは一体どんな目的があるからだい?」


俺は待ってましたとばかりに父上に返事をした。


「.....この屋敷にある『禁句の魔導書』をお借りしたいのです」


俺はどんな敵を前にしても助けると誓ったのだ




























―――――――――






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