第5話 そして私は、親友の淫靡な罠に絡め取られた

【幡ヶ谷のマクドナルド】

五月「錦野さん!兄は、、、兄は!?」

「、、、大丈夫、お兄さんは生きてる、、、」

あたし、割りとボロボロになっている自覚はあるのだけど、、、さすが小学六年生だ。

五月ちゃんには、目の前のあたしがお兄さんに、さっきまで犯されまくっていたとは「お」の字も想像出来なかったようだ。

純粋にお兄さんを心配している。

うん!それで良い!

絶対だ、、今は絶対にあの場所へこの子を行かせる訳にはいかないんだ。

「五月ちゃん、良く聞いて。今日はあなたは帰って!お兄さんはあたしが絶対何とかするから。そして、、そして必ず明日会いにきて。約束よ!?」

五月「錦野さんは、、どうするの?」

「今から、戻って、、、ご飯作る!!」

ーー

ー(その少し前)ー

「う、、、ん、、、」

三月「あ、、、あ、、、」

私が気絶から覚めると同時に先輩も目を覚ましたようだった。幽霊を見ているような目で怯えている。


「(五月ちゃんのところに、、、行かなくっちゃ、、)」

気がついたあたしの頭に最初に浮かんだのは、、、マクドナルドであたしを待っている五月ちゃんのこと。

三月「ま、、って、、、」

待たない。今は出来る範囲で身なりを整え、私は五月ちゃんの待つマクドナルドに向かったんだ。

ーー

ーー

ーー

ーー

三月「、、、、、」

「、、、、、、、」

スーパーで整えた材料で、私はカレーを作っていた。

先輩はリビングの隅でうずくまって動かない。

多分、数日の間、何も食べていないであろう先輩には、このカレーは食べられないだろう。

でも、このひととき、この強烈な匂いが、、、先輩の理性を呼び覚ましてくれるようにと祈りながら、あたしは無言で調理を続けた。

ーー

ーー

三月「ごめん、、、」

出来たてのカレーの匂いの中、白米のお粥を何度もむせながら食べていた先輩が呟いた。

三月「ゆうこちゃん、ごめん、、、ごめんよ、、、俺、、最低だ、、、」

消え入りそうな声でむせび泣く先輩、、、ああ、、やっと先輩に、なってくれた、、、一緒に劉ちゃんを待って、、、一緒に泣いて笑って、、、ここ一年、誰よりも私のそばにいた、、、やっと、、やっと戻ってきた先輩は、本当に今にもいなくなってしまいそうで。

もう、、仕方がないなあ、、、あたし、、この人に恋愛感情なんか全然ないんだけどなあ、、でも、、この人は、劉ちゃんの横にいて何らおかしくない人だとは思ってる。認めてる!!

、、、だからね?

「今だけ、、、私が、劉ちゃんのかわりになります、、、背丈も容姿も足りてませんけど」

三月「どうして、、どうして!!」

「どうしてでしょうね?」

三月「、、、、」

「夢枕に立ったんですよ、劉ちゃんが」

三月「え、、、」

「必死に頼んできたんです。劉ちゃんが、、。『先輩を、、、助けて!』って」

三月「あ、、あああ~~~」

「、、、、」

今だけ、、、私は、劉ちゃんの身代わりになるっ!!

ーー

、、、と、その時は思っていたのだけれど(汗)

その日、一晩中、私は先輩からの愛情を身体の隅々にまで受けて、、、先ほどとは打って変わったその行為は、、、この世のものとは思えないほど甘美で、、、蕩けるほど気持ち良く、、、何度も、、数え切れないほど何度もおかしくなって、、、私は親友(バカヤロー)の淫靡で周到な罠に絡め取られたことを否応なく、身体に刻み込まれたのだった。

ーーー

ーー

ー(夢枕)ー

劉「へっへ~ん!良かったでしょ!?」

「、、、、、」

劉「あれ?気持ち良すぎて言葉も出ないかな?」

「、、、、、」

劉「ゆうこと先輩、絶対身体の相性が良いと思ってたんだ(笑)」

「、、、、、」

劉「これで先輩はゆうこに依存してる間に立ち直れそうだし」

「、、、この!」

劉「ゆうこも毎回失神するくらい気持ち良いはずだから文句なし、、、、あれ?」

「、、、この、、、大バカヤローが!!」


その夜、あまりの快感の連続に気絶してしまったあたしのところに、三たび劉ちゃんが降ってきた。

「ねえ、、、劉ちゃん、、、」

劉「なに?」

「もうさすがの先輩も寝てるでしょ?」

劉「うん」

「立ってあげたら?夢枕」

劉「やだ!!」

「なんで!!」

劉「だって先輩、ゆうこ抱いたんだよ?あたし死んだばっかなのに。許せないじゃん!」

「、、、どの口が、、、誰のせいだと、、、」

劉「あははっ!でも、ごめん、試練は続くんだ」

「、、、は?」

劉「実は、この後、最大級の修羅場がやって来たりして」

「、、、待って待って待って!!」

劉「でも、ゆうこなら大丈夫!じゃ~ね~」

「待てバカ、ふざけんな!ちゃんと教えていけ~」

ーーー

ーー

ー(翌朝)ー

「あ、、、あ、、、」

三月「目が覚めた?」

「せ、、ん、、ぱい?」

三月「良く眠れた?」

「、、、、うん」

三月「俺もだ、、ずっと、、眠れなかったんだ、、こんなに眠れたの、、、いつ以来だろう、、ありがとう、ゆうこちゃん」

あたしもだ。あたしこそ久しぶりだ。

ねえ?先輩と一緒なら、劉ちゃんがいなくなっても、こんな朝が迎えられるのかな、、、

「せ、先輩、、、」

三月「ん?どうしたの?(笑)」

「あ、、あたって、、、」

三月「だって、、、ゆうこちゃん、朝から色っぽくて、、それに、、濡れ濡れ」

「あ!、、や!、、は、、いって、、、」

三月「、、、ゆうこ」

「あ、、あ!み、つき、さ、、、」

(ピンポ~ン、ピンポ~ン)

「ん、、、ん?」

三月「、、、なんだ、、、誰?」

(ガチャ)

五月「お兄ちゃん、、、お兄ちゃん!大丈夫!?」

三月「あ、、、」

「あ、、、」

五月「、、、へ?、、、錦野さん?、、、なんで、、裸、、、」


そして、、最大級の修羅場は、、、目の前に、、、!


【第一部 終わり】

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