昔から人の成功に対して素直に喜べない。俺は所詮名誉が欲しかっただけのことで、そういう自分の卑しさを嘆いた。俺は一向希望が見えたものではなく、俺の憧れは自由になる為の「俺から世を捨てる」という形態の上にあったので、そして内心は世を捨てることが不安であり、正しい希望を抛棄している自覚と不安、悔恨と絶望を既に感じ続けていた。まだ足りない。何もかも、すべてを捨てる。そうしたら、どうにかなるのではないか。俺はキチガイじみたヤケクソの気持で、捨てる、捨てる、捨てる、何でも構わず、ただひたすらに捨てることを急ごうとしている自分を見つめていた。自殺が生きたい手段の一つであると同様に、捨てるというヤケクソの志向が実は生き甲斐であったり、青春のひとつにすぎないことを、やっぱり感じつづけていた。俺は昔から楽観的に行きたかった。だけれどその才能がないと思いこんでいたので、そういう正しい希望への諦めが、底に働いていたこともあったと思う。

 小学生時代の変に充ち足りた六年間というものは、俺の人生の中で、俺自身でないような、思いだすたびに嘘のような変に白々しい気持がしてきて。

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卑猥目合痛い位に愛撫を @yamamoto1

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