漢方を飲む祖父は町内に鼻先であしらわれたが、無念なことには奴めの雑言たがわず、彼の心眼は狂ったところを見ていたようだ。狂うはずはないのに。町内の祭りでも、二人の若い美男美女がいかにも親しげに心の寄り添う様を見て、祖父は不服満々、「とんでもない。ああ、色道ほど怖しいものはないなあ。あの子らの歳でも、心眼も曇るどころか、視界が汚らしい。」まるでそれじゃあ、男女の奸計に乗せられるばかりである。まことに面目ない。漢方と男女のおそるべき心眼にただもう感服、ことごとく謹聴してわが心眼の曇りを浄めているのであった。

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