最恐の暗殺者は異世界でも余裕!?

@m1-t0b0-ru

第1話・異世界?

 2xxx年…廃れた東京に“死神”と呼ばれ恐れられる少年が居た。その少年の名はツギキ。ツギキは見た目が女の子様で身長も160少しくらいしかなくとても華奢な見た目をしている。

しかしそんな見た目とは裏腹に身体能力は凄まじく一撃でで大型トラックを破壊したり木造住宅の屋根を蹴り一つで破壊したり銃撃されても銃弾が皮膚を貫通できず下に落ちるなどと数々の伝説を残している。

しかし特に凄いのはその圧倒的なスピードで全速力で相手にぶつかればそれだけで致命傷になるほどのスピードだ。

さらに両手には仕込み刀がありその刃先にはかすっただけでも五分足らずで死に至るほどの猛毒が染み込んでいる。ツギキ自身は毒と炎に耐性がある体をしているため毒の影響は受けない。

 そんな無敵の暗殺者ツギキだったがある日の任務の途中、敵の一人に研究段階の生物兵器“超菌”を浴びせられ治療の甲斐も無く衰弱してしまった。

仲間たちに見守られる中、親友であるミチトに自らの死期を悟ったツギキは

「…ミチト君……来世でも…必ず君を見つけるから…」

と言い遺し静かに息を引き取った。

(あぁ……呆気なかったなぁ俺の人生…人の命奪ったから地獄に行くんだろう…でも報いを受ける準備はできてる……)

そう思うツギキ。しかしすぐに違和感に気づく。

(あれ?死んだはずなのに……感覚がある?)

恐る恐る目を開けるとそこには見たことのない世界が広がっていた。

「えっ……?」

状況がわからないツギキ。とにかくここがどこかを調べようと周辺を探してみる事にした。

 しばらく歩いていると見慣れない服装をした少年がガタイの良い男達に取り囲まれていた。

「うっ……この杖だけは……」

そう呟く少年に男達はしつこく杖を渡すように要求する。

「いいから渡せって言ってんだ!でないとぶっ殺すぞ!!」

怒鳴られて目に涙を浮かべる少年。

(あ…この人たち盗賊か…可哀想だけど俺には関係ないし……)

そう思いながらも何故か無視できなかったツギキは男達に声を掛ける。

「君たち…盗賊でしょ?襲うんならもっと金持ってそうなの襲ったら?」

「あ゙ぁ゙?誰だテメェ…おっ!珍しい服着てんじゃねぇか!」

そう言いながらツギキにナイフを向ける男。

「それよこせば命だけは見逃してやるよ!」

そう言われツギキはクスクスと笑い始める。

「何笑ってやがる!!」

「えっ?いや…俺に勝つつもりなんだって……笑わせないでよ…」

頭に血が上った男達はツギキに襲いかかる。しかしツギキが少し構えたとき…かつてこの世界を支配しようと現れた大魔王を上回るほどの殺気と魔力が周辺を覆い尽くす。男達は恐怖のあまり身動きすら取れなくなった。

「ねっ?わかったでしょ?お金に困ってるならこれあげるからさ…もうこういう事はやめなよ」

そう言いながらツギキは男達に持っていた腕時計を渡す。それを見て度肝を抜かれる男達。

「なっ!?これ前の転生者が持ってたって言うウデドケイってやつじゃあねぇか!!」

男達は大喜びしながら何処かへ去っていった。 

 ツギキもその場を去ろうとすると襲われていた少年に話しかけられた。

「あっ…あの!さっきはありがとうございます!」

「ん〜?別に良いよ、気まぐれだから…それよりさここってどこなの?」

そう聞かれ返答に困る少年。ツギキはとにかく少年の名を尋ねた。

「君名前は?」

「僕はシエルです!まだ見習いですが一応魔法使いです!」

「へぇ〜…だから変な杖持ってるんだ…って魔法使い!?」

シエルの口から出た言葉に衝撃を受けるツギキ。ツギキは思い切ってここまでの経緯を話してみた。

「…って事はツギキ様は転生者ってことですか!?」

「…?転生者……?……なら結局俺は死んだって事かぁ…」

少しショックを受けつつもツギキはこの異世界に興味を持ち始めていた。

「ねぇ、ここらへん案内してよ!」

そう言われ頼みを快く了承するシエル。

 こうして二人は近くの王国の商店街を目指して歩き始めた。

「ねぇ、王国にはどれくらいで着く?」

「えっと……安全な道なら一週間で魔物の居る森なら危険ですが三日ですね…」

「じゃあ森にしよう!」

「えっ……まぁ…はい」

少々不安ではあるが最短ルートで行くために魔物の潜む森を渡ることにした。森に入ると異世界の植物が生い茂っておりツギキは見たことのない植物に目を取られていた。

「ここってさぁ変な植物ばっかりだね」

そうシエルに聞くも応答がない。

「……シエル?」

振り返るとシエルはツタの様な植物に縛り付けられていた。

「シエル!?大丈夫!?」

(ツギキ様…来ちゃ駄目だ!このツタは魔法で防御力を0にしないと切れない!それどころか…ツギキ様まで餌食に…)

そう伝えたくてもツタに覆われ喋ることすらままならないシエル。

(意識が……もう…)

そう諦めかけたときツギキに手を引っ張られ意識がハッキリした。

「シエル!……無事かぁ………良かったぁ…」

そう言いながらツタから出た汁を払うツギキ。シエルがあたりを見回すとバラバラになったツタが散らばっていた。

「ツギキ様…これをどうやって…」

「?普通に無理やり千切ったけど」

それを聞き信じきれないシエル。疑ってるのを察したツギキは残っていたツタに手をかけた。

「見ててよ……」

「ツギキ様!?駄目ですって!!」

シエルが止めるより先にツギキはツタを簡単に引き千切った。

「なっ……ええええええ!?」

現実を受け止められないシエル。シエルのオーバー過ぎるリアクションを見てツギキは少し笑った。

「君は……純粋っていうか……なんか良い子だね!好きだよ裏がなくて」

そう言ってからシエルの手を引き王国へと急ぐツギキ。シエルはその背中を見て憧れていた勇者とツギキを重ねるのだった。




 

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