第14話 参拝?それともケ・ン・ガ・ク?

「ちょっと、亜希子さーん。ここらで休憩しましょうよ。私もう疲れちゃった」お嬢様コンビのうち匡子が音をあげて、かなり前を行く亜希子と郁子、織枝と絹子の4人に呼びかけた。こちらの匡子側は残りの5人である。「さっき金峯神社で休んだばかりでしょ。まだいくらもたってないじゃない。もうすぐ、そこよ。頑張って」としかし亜希子はつれない。「あ―ら、お弱いこと。匡子お嬢様、おぶってさしあげましょうか?」と加代が聞く。「イーだ。そう云うあなた方だって遅れがちじゃないの」「おかまいなく。あたしたちはわざと遅らしているんだから」の遣取に「先に行かせりゃいいのよ。亜希子のやつ、参拝だなんて云って。西行はただの和歌の名人。何とか教の教祖じゃないのよ。参拝じゃなくってケ・ン・ガ・クよ、見学」と梅子が自説を賜う。「そうですよね」加代が相槌を打って「それと梅子さん、もしさっきの爺と本当に歌合わせなんかやらされた時は、私と恵美に加勢お願いしますよ」と頼み込む。「まかせとけ。白河女子大歌道部をなめるな。亜希子のやつ、年配者がどうのなんて、いい子ぶってさ。今日日金で歌人面(づら)してるやつらばっかりで、スキルも中身もないのが殆どよ。どうせその口でしょ、あの爺さんも。あたしが化けの皮はがしてやるから、加代も恵美も安心してていいよ」力強く梅子が請け合った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る