私（わたくし）はティアナ・ラピズリーと言うわ。私は貴族と言われる身分の者で、世間からは令嬢と言われているのだけれど、そんな私も最近、庶民の間で流行しているとある物語にハマっているのよ。その物語では、一度亡くなった方が別の存在となり、生まれ変わることを“転生”と呼んでいるわ。そして主人公もその転生者に当てはまるのだけれど、前世では周りの人から愛されず孤独な人生を送っていたそうよ。でも、とある令嬢として新たな生を授けられ、本当の愛を知っていくの。どう？素敵なお話でしょう？私もそんな素敵な恋をしてみたいわ。･･･でも、私には夢があるんだもの。「最強の魔獣使いになる」という･･･。普通、最強の魔獣使いという称号は男性が与えられるもの。女性でその称号を与えられた者は今まで誰一人もいないのよ。なぜなら、魔獣使いは死亡するリスクが高いし、魔術も完璧に暗唱できるようにならなければいけないから。でも、私はこの夢を叶えるために今までしてきた努力は決して無駄ではないと思うわ。だって、一つの夢に向かって突き進むなんて、かっこいいじゃない！だから、私は後悔なんてしていないのよ。

そうあれこれと考えていると、誰かが私の部屋のドアをノックする。

「ティアナ、ルミカだ。」

聞こえてきたのは、大好きな師匠の声。

彼はウルフ族で魔獣使いをしている。そして私の魔獣使い修行を仕事の合間に見てくれているのだ。

「師匠！！どうしたのですか？」