第14話 大工の死者
俺たちはいつもの公園に集まった。
いつも通り灯が、今日の退治対象について話してくれる
「今日退治するのは、七死者と言われる
7体の人間社会に溶け込んでいるベテラン死者だよ」
ベテラン死者…今まで相手して来たのは新人死者だったな。
「ベテランって事は、いっぱい殺しをして来てる死者よね?
許せないわ。」
「うん。確かに許せないね。
それで今日退治するのは七死者の1人なんだ。」
七死者の1人か、さすがに全員いっぺんに退治、とか無茶振りではないんだな
「工事現場に紛れ込んでいる、遠藤 大工(えんどう だいく)と言う死者を殺すよ
金髪ショートヘアーで男装しているらしい。」
男装している死者か、親近感が湧くな。
殺す対象だけど
「と言う事で、工事現場に行こうか。」
俺たちは工事現場に向かった
俺たちは工事現場の中に入る
すると作業員が来た
「ダメだよ、部外者が勝手に入っちゃ。」
俺は死者退治人の手帳を出した
「俺たちはこう言うものだ、死者を退治しに来た」
「へ?死者を退治って、ここには男しか居な…」
「遠藤大工が男装している死者なんだ、遠藤大工のところに案内…」
目の前に居た作業員の首に、木の板が刺さった
「がっ!!」
「「「!!!!」」」
俺たちは構える
「正体を知られたからには、殺さなきゃな。」
現れたのは金髪ショートヘアーの、作業着を着た美男子(正体は女だろうが、美男子に見える)だ。
特徴に一致する
「お前らも殺してやるよ、俺の正体を知る者は皆殺しだ」
「…工事仲間だったんだろ?よくそんなに簡単に殺せるな。」
「…あん?殺せるに決まってるだろ、俺は死者だぜ。
人間の仲間なんて道具でしかない」
こいつは、人間に仲間意識を持ったりしないタイプか。
なるほど
「ありがたいぜ、人間の情がなくて。
殺しやすくなった」
「死ぬのはお前らだぜ」
灯と強子がかかって行こうとする
だが俺はそれを止めた
「ここは俺にやらせてくれ、こいつは俺がやる。」
「…私もやりたいのだけれど?」
「今度譲る、だからここは譲ってくれ」
「仕方ないわね…今度絶対に譲りなさいよ?」「あぁ。」
大工は怒る
「1人で来る気か?舐められたものだぜ!!」
大工の筋肉が肥大化していく。
大工の作業着が筋肉で破裂し
大工の服装は黒のトランクスとサラシだけになった。
そしてサラシから確かに胸が出ていることが確認できる、並乳ぐらいの。
「ぶっ殺してやる!!」
大工は俺にかかって来る。
俺はかわそうとした、だが大工は急に細くなった。
え?
そして大工の腕だけが太くなる、そして俺の顔面にパンチが当たる
「ぐはっ!!」
俺は吹っ飛ぶ
「「十兵衛!!」」
仲間2人は叫んだ
「どうした?もう死んじまったか?」
俺はフラフラになりながら立ち上がる
「まだ、行けるぜ」
「そう来なくちゃなぁ、そうじゃなきゃ張り合いがねぇ。」
急に細くなったり、腕だけ太くしたりした。
おそらく一瞬で筋肉を操作してあれをしているのだろう。
筋肉を細くし早くし、筋力の一部を太くし威力を上げる。
それがあいつの戦い方
俺は素早く、大工にかかって行く
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
そして霊力を込めた拳でパンチをしまくる
「やったか?」
大工は笑顔で笑った
「ノーダメージだ。」
そして大工は膝蹴りをぶちかましてくる
膝の筋肉を太くした状態で
「がはっ!!」
「「十兵衛!!」」
また仲間2人が叫んだ
大工は笑顔で言う
「このままぶち殺し確定だ」
大工は腕の筋肉を太くし、俺に連続パンチを仕掛けて来る
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
「がはっ!!ぐはっ!!ぎゃっ!!」
「「十兵衛!!」」
2人は叫んだ
「もう見てられないわ、私が加勢…」
「て、手を出すな、こいつは俺が片付ける。」
大工は笑顔で言う
「手を出すなって、満身創痍じゃねぇか。
俺にダメージを与えられず、自分はダメージを受けている
そんなんでよく強がれるな、仲間を頼ったらどうだ?」
「…頼らないし、強がりでもない。
なぜなら俺には勝機があるからだ。」
「勝機?笑わせる、そんなものどこに…」
俺は右拳に全霊力を纏う。
そして踏み込み、大工の胸をパンチした
「胸狙いか?無駄だ、胸に筋肉を集中させればいい。」
大工は胸に筋肉を集中させる
「はぁ!!」
俺は気合を入れて霊力を込めた
「ひゃっ!!」
俺は笑顔で言う
「俺の霊力が勝つか、お前の胸の筋肉が勝つか。
勝負だ。」
「の、望むところだぜ。」
「ど、どうなるのかしら?」
「勝つよ、十兵衛なら。」
「ぬぉおおおおおおおお!!」
俺は全霊力を拳に込めた
「ぬぉおおおおおおお!!」
大工は全筋力を胸に込めた。
やがて爆発した
「ば、爆発したわよ!!」
「け、結果は?結果はどうなったのかしら?」
大工のサラシは破けていた、胸が丸出しだ。
胸に込めていた筋力はなくなっている
俺は笑顔で言った
「俺の勝ちだな。」
大工は悔しそうに言った
「こんなガキの、女に負けるなんて悔しい。」
大工は少し離れた位置に居る、灯や強子には聞こえない声量で言った。
こいつ!!俺の性別を見切って居たのか
「くそ…ガクッ」
大工は死んだ。
あの連続パンチの時、胸にも当たっていたから
見切られたのかな?
灯が話しかけて来る
「大丈夫だった?」
「あぁ、だが今回もギリギリのバトルだった。
たまには余裕ぶっこいてバトルを終えたいもんだ」
「私もそうしたいけど、死者はそう甘くないから仕方ないよ。」
確かに、死者は甘くない。
「胸丸出しの女が倒れてるぞ」
「大工、女だったのかよ」
男どもが大工の胸を見ている
強子はブルーシートを大工にかけてあげた
「男どもは見ちゃダメ!!死者でも死体でもレディなんだから。」
死者でも死体でもレディ。
「…お前もだいぶ死者に対して人情的になったな。」
「だ、誰かさんの影響よ!!」
俺の影響か。
与えた影響がいい影響だといいんだがな
死者への情が死者への攻撃を遠慮する事に、繋がらないといいが。
まぁその心配はないか、強子は死者に恨みを持って居るようだしな。
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