第9話 遊びと強子の理由


俺は灯と強子を連れて、遊びに行く事にした

任務の合間の休息と思いでづくりは大事だ。

いつ死ぬか分からない業界だからこそ。


ゲーセンはこの前行ったばかりだし、俺たちはカラオケに向かう


「♪♪」


灯は流行りの曲を熱唱している、なかなか綺麗な歌声だ


「うまいじゃないか」「うまいわね」


「えへへ、ありがとう。」


俺はマイクを取った


「次は俺が歌おう。」


俺は歌を歌う


「♪♪」


前世で聞いたアニソンだ


「少し古い曲だね、それと、その、言いにくいんだけど…」


「アンタ下手ね、全然うまく歌えてないわよ。」


「ガーン!!俺下手なのか。」


俺はショックを受けた、自分でもうまいと思ってなかったが

下手なんて。


「それとアンタ声が高いわね、女の子の声みたい」


ギクッ


「本当に声高いよね、まぁそう言う男の子も居るだろうけど。」


「そうだよ、そう言う男の子も居るんだよ。

 それより強子だ、俺を下手って言ったんだから

 うまく歌えるんだろうな?」


強子はマイクを持ちながら言った


「任せておきなさい、私は歌の強子と言われるほどの

 歌上手なんだからね、華麗に歌って見せるわ。」


強子はアニソンを歌った


「♪♪」


歌ったのだが、微妙な歌の腕前だった


「俺よりはうまいんだろうが、灯と比べると全然だな。」


「なんて言うか、下手の方が反応しやすい。

 反応に困るうまさ?」


「…せめて下手って言って欲しかったわ、

 そう言う反応されると逆に気まずい」


…歌の腕前が微妙で気まずい。

カラオケあるあるだよな。


俺たちは下手、微妙、うまいそれぞれ個性があったが

とりあえずこの後もカラオケで歌い続けた




夕方までカラオケで歌い続けた後

俺たちはカラオケの次にファミレスにやって来た。

俺たちはファミレスでそれぞれ料理を頼む


俺はハンバーグセット、灯と強子はチョコパフェだ


「夜ご飯だぞ、パフェでいいのか?」


「知らないの?パフェはご飯なんだよ。ねぇ強子。」


「えぇ、そうよ灯」


パフェはご飯とか初めて聞いたぞ。

女の子はスイーツが好きだとは聞いていたが

そこまでとは。




やがて注文した商品がやって来て

俺はハンバーグセットを食べる


「うん、やっぱりハンバーグはうまい。」


灯と強子はうっとりした目をしながら

パフェを食べている


「やっぱりチョコパフェはおいしいよね」


「えぇ、日本の国宝でだわ」


国宝、そこまで言うかよ。

とりあえず俺たちは夢中で食事を食べ終えた。




強子が真剣な目をしながら言った


「貴方達に話しておきたいことがあるの」


「…話しておきたいこと、なんだ?」


「この前無謀な突撃をしてしまった理由よ」


理由、なんかあると思ってはいたが

やっぱりなんかあるのか


「私は、両親を死者に殺されているわ。」


「「!!!!」」


「それで死者が憎くて、憎くて仕方ない。

 だから頑張って修行して死者退治人になった。」


「死者を両親に殺された、それがお前が突出した理由か?」


「えぇ、だけど間違っていたわ。

 死者相手に突撃しても死ぬだけ。」


確かに、死者は超能力を持って居る。

それに突撃しても、超能力に引っかかるだけだな。


「今度からはきちんと考えて、死者と向き合い、殺す。

 だから、私に対してあきれたりしないでね。

 これから頑張るから。」


俺は笑顔で言う


「もちろんだ、あきれたりしないさ。

 俺たちはもう仲間だしな。」


灯も笑顔で言う


「こんな危険な業界にお互い、若くして入っちゃった身だけど。

 頑張ろう、頭を使って。きちんと死者退治しよう。」


強子は笑顔で返事した


「えぇ!!」


きっと自分の死者退治人になった理由を、理解してくれたのがうれしいんだろう


この後俺達は解散して、それぞれの自宅に帰った




俺はお父様と話をする


「祝うのが少し遅くなったが、二度目の死者退治成功

 よくやった。」


「ありがたいお言葉です。」


「して、二度目の死者退治を成功させて。

 死者退治についてはどう思った?」


「機転が求められる仕事かと。

 相手は超能力を使う、それを攻略できなきゃ死につながるので。

 超能力を見切って、攻略する事が肝要かと。」


「ふむ、お前のいう通りだ。

 そして超能力に勝てないと思ったら、逃げることも選択肢に入って来る」


逃げることも?


「例えば仲間を2人失ってお前だけになる、そう言う状況もあり得る

 そう言う状況で戦い続けるのは勇気とは呼べない」


戦い続けることが、勇気とは呼べない


「俺のような上位の死者退治人に、少しでも死者の情報を持ち帰るんだ。

 そうすればその死者を攻略できるかも知れない。

 だから時には逃げて報告する事も大事だ、と言う訳だ」


すごく目からうろこな話だ


「まぁ逃げるのは最終手段でもあるから、

 逃げると言う発想は頭の隅に置いておくぐらいにしなさい

 仲間を失わず勝つに越したことはないんだからな。」


確かに、仲間を失わずに勝つ。

それが1番だ。


「今日はためになるお話をありがとうございました」


俺はお父様に礼をした


「ふむ…」


俺はお父様の部屋から去って行った

逃げるか、確かにそれも死者退治人に必要な戦術なのかもしれないな。

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