第6話 初めての死者退治


俺たちはとあるアパートにやって来た

このアパートが今回の死者退治の現場だ。

灯は説明する


「ここのアパートの一室で一家心中があったんだ。」


一家心中、うちはテレビを見ないからニュースに詳しくないが

そんな事があったのか。


「それで父親と、母親の死体は回収されたんだけど。

 小学生6年生だった娘の死体は回収されてなくてね」


「その6年生の娘が死者になったつぅ訳か、

 初任務から子供の死者とは」


「気が重い。」


「お、怖気ついたのか中学3年生?帰ってもいいんだぜ。」


「帰らない、しっかり仕事は果たす。

 俺は十文字家の跡取りだからな。」


ここで帰ったら、十文字家の名を汚す

それに子供にして死者になったからこそ

ちゃんと成仏させてやらなきゃいけない、って考えもあるはずだ。




俺達はアパートの、一家心中があった問題の部屋の前にやって来る

るあが先頭に立って言った


「先頭に立つのは俺しかいねぇぜ、女子供しか居ないからな。」


「誰が子供だ。」


「とにかく俺に任せな、俺が先陣を切るぜ」


そう言うとるあは扉を開けた

中を見ると、廊下がある。

手前に襖(ふすま)が2つ、奥に襖が1つ見える


廊下には扉が2つある

俺は予想した


「扉2つはトイレと風呂だろうな。」


「そうだね、襖3つが部屋だろうね」


奥の襖から水が流れる音がした


「い、今音がしたよ!!」


「…水が流れる音だ、死者は水でも飲んでるのか?」


「いや、水が流れる音がしたらおかしいんだって。

 ここもう、水道止まっているから」


水道が止まって居る?

なのに水が出るのはおかしい、水系の超能力持ちなのか?


「水を流して居所を知らせるなんて、バカじゃねぇか。

 俺が片付けてやるぜ」


るあは奥の襖を開けた

そして中に入る。


「1人で突出するな!!」


俺は叫ぶが手遅れであった。

手前の右側の部屋から、少女が現れた。


緑髪セミロングヘアーの小学生ぐらいの女の子で

ボロい白Tシャツを着て、ボロい黒短パンを履いている。


女の子が手をかざすと

廊下にあった安物っぽい壺が動いて、るあの頭に当たった


「ぐはっ!!」


るあは倒れた。

おびき寄せられて背後を突かれたのか!!

子供のなのに頭がまわる死者だ。


俺はとりあえず死者を背後から片付けようと近づく。

だが…


死者はこちらを向いた、さすがに俺たちが居るって事ぐらいは分かって居るか。

俺は急いで死者を片付けようと踏みだした、瞬間

廊下の床が伸びて俺と灯を拘束した


「ろ、廊下が伸びた!!」


「な、なんなのさ!!これ…」


少女は言う


「私はまだ死にたくない」


少女は睨みつける


「私は貧乏な家に生まれ、貧乏に育ち

 心中に巻き込まれた。」


俺たちは黙って少女の話を聞く


「「………」」


少女は泣いては居ないが、心の涙が聞こえるように言った


「それなのに、もう1回死ねって言うの?そんなの嫌だ。

 私は生きたい、例え死者となっても」


少女の心の叫びが痛いほど伝わった

俺はこの少女を生かしてもいいかな、と思い始めていた

だってあまりにもかわいそすぎ…


「だからこの家に入って来る奴はみんな殺す」


え?


床が尖って針のようになり、るあの心臓をぶち抜いた。


「がはっ!!うそ、だろ…」


「「る、るあぁああああああ!!」」


るあはがっくりとうなだれ、動かなくなった

確かに、確かに嫌な奴だった。

だけど死ぬことはなかったはずだ。


「こ、殺す事はないだろ。」


俺は少女に抗議した


「うるさい!!この家に入って来る奴は、私を殺しに来てるんだ

 そんな奴は、皆殺しにする。」


俺は甘い考えを振り払った

この少女を生かしてもいい?冗談じゃない

死者は危険だ、殺さなくてはならない。




「お前らも殺してやる、私は殺されない

 殺す側なんだから。」


そう言うと、俺たちを拘束していた廊下がドンドンとがって来る


「きゃっ!!痛い、痛い。」


「ぐっ!!」


まずい、このままじゃ俺たちもるあのように。

何か、何か手は。

そうだ!!


俺は手に霊力を一点集中させた。


「なに、手が光って…」


「るどりゃぁああああああ!!」


そして俺を拘束する廊下の床を。

霊力を集中させた手で破くように破壊した。

俺の拘束が解けた。


「こ、拘束が破かれた!!」


少女は動揺している

俺は少女が動揺している隙をついて。


「ぬぉおおおおおおお!!」


少女の胸に殴りかかった


「きゃっ!!」


俺のパンチが少女の胸に当たる、膨らみかけのマシュマロのような胸が

引っ込んだ感触がする


「そんな、そんな、私まだ生きたいよ。

 なのに死ぬ、なんて…ガクッ」


少女は仰向けに倒れ、死んだ。


やがて灯の拘束が解ける。

灯は急いでるあに近づく


「るあ、るあ!!大丈夫?大丈夫?」


「…もう、死んでるよ。

 残念だけど」


「うっ…」


るあ、ナンパ野郎だったが死ぬことはなかったのに。

ムカつくところもあったが、それでもるあは

自分から先陣を切ってくれたり、悪い奴ではなかった。


とりあえず俺は死者の死体に近づいた


「どうする気?”それ”…」


「こいつもかわいそうには違いない、だから布団に寝かせてあげるつもりだ。

 死者でも死んだら仏様だと思うからな。」


「手伝わないから。」「あぁ、俺1人でやる。」


俺は死者を布団に寝かせてあげた。

こんなのなんの意味があるか分からないが、せめてもの弔いだ


るあの方は、やがてちゃんとした遺族が弔うだろう

俺たちもその葬式に参加する事だろう。


こうして仲間を1人失うと言う激的な形で、俺たちの初めての死者退治は終わった。

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