第37話 ドラゴン


 新宿に入って道を探しながら原付で進む。

 良くも悪くも人の繋がりが希薄なのかな?

 さっきの場所から少し進むと普通に装備して歩いてる人なんかがいてビックリした。

 情報が大事だからネットとかにも書いてあるみたいなんだがな。


 車道に車を出して晩飯を食っているとそんな話になって、スマホで検索すると、『ヨウツベ』でも『ダンジョンに突撃してみた』とかやってるし、若い世代なら知ってても良さそうなのだがな?


「え?若作りしてるから知らなかったんじゃない?」

 と辛辣なチフユが言う。

 流石に若作りしてメイド喫茶にいるなんてことはない…よな?


 まぁ気にしないことにしてこれだけ拡散されてるんだからいいだろ。

 皇居のドラゴンについては何もネットには載ってない、そこら辺は情報規制されてるのかな?でもドラゴンが近くにいたらネットに上がっててもいいような気がするけどな。


 お湯を沸かしコーヒーを淹れて飲んでいると、また新しい珍客が訪れる。

「おい!道路の真ん中で何やってんだ!」

「あ?別に車なんか通れないんだからいいだろ?」

「ったく、若いもんはこれだからいかんのだ!ほら、茶くらいだせ!」

「ふざけんな!さっさと失せろ」

「な、なんだとこのやろう!やんのか!」

 ボクシングスタイルを取るが千鳥足だ、とりあえず酔っ払ってるらしい。

「はぁ、さっさと帰ればいいが、帰らないなら斬るぞ?」

「な、なんだと!く、くそ!さいきんのやつは!すぐに刃物出しやがって!おまわりさーんここに刃物持った奴がいますよー」

“ザン”

「いひゃあぁぁぁ」

「帰れと言ったのが聞こえないのか?」

「わ、わかった!わかったから話し合おう!な!」

「次は服だけじゃないがいいか?」

「た、たすけてぇー!」

 とやっと帰った。


「凄い酔っぱらいね?」

「だな、こんな時に外で酔えるのが信じられないな」

「あれじゃないか?中で飲んで気が大きくなったとか?」

「そうかもな、だが移動しようか?」

「えー、もう眠いのに?」

「またきたら寝れないぞ?」

「移動だ!チフユ、火消して」

「ブー」

 道路を歩いて行くとさっきのおっさんが寝ていた。

 まぁ、知らんぷりだが、よくそんだけ飲めるよな。

 あかりのついてないビルに入りモンスターを倒してから会議室のようなところに入って扉を閉める。窓を開けて換気をすると割と静かでいい感じだな。

 寝袋に入って寝るが、もう直ぐ決戦だと言うことでなかなか寝付けないな。

 どんなドラゴンかもわからないのでそれが不安を煽る。


 といつの間にか眠っていたようで朝靄の中目を覚まし、缶コーヒーを出して飲むと外を見る。何か喋ってる声がするので下を見るとあのおっさんが怒られていた。

 生きてて良かったな。


 とアキラと千冬も起きてきてコーヒーとミルクティーというので出してやる。

 3人で下で怒られてるおっさんを見て少し笑い、朝飯にする。


 もう新宿まで来たからそろそろ連絡をと隊長に電話をかける。

「あ、お疲れ様です」

『お疲れ様、いまどこだい?』

「今やっと新宿ですね」

『そうか、霞ヶ関まで来れるかい?』

「多分明日までには着きたいところですね」

『分かった、また連絡してくれ』

「はい!」

 と言って通話を切る。

 ネットで霞ヶ関までのルートを出すとまぁ、直ぐに着くだろう!


 意外と早く着くと、空を舞っている飛竜がいた。

 あれか?意外とちっさいなぁ。

「私でも倒せる?」

「かもな、レベル100も要らなかったんじゃないか?」

「ち、違うぞ!あいつだ!下を見ろ!」

「は?え?無理だって!」

 地竜の二倍はありそうなドラゴンが寝ていた。

「あれくらいならいけないかな?」

「いくらなんでも、あれはないだろ?他の飛竜の何倍だよ?」

 バスターソードを取り出す。

「嘘でしょ!ダメだって!」

「いや、あれならいける!直感だ!」

「く、くそ!俺らも続くぞ!」

「いー!くそっ!ばかー!」

 と瞬歩で目の前に来ると同時に、

「竜剣撃!!」

『グギャッ!!』

「もう一度竜剣撃!!!」

『ギャッ!!』

 と首が切断され消滅して行く翼竜に、こっちを攻撃しようとしていた飛竜が遅れながら突っ込んでくる。

「しゃー!親玉は消えるぞ!二重撃乱舞!」

“ドン”“ドン”とアキラがダガーを振るう度に重低音が鳴り飛竜が消滅して行く!

「もう!いやだー!」

 チフユは瞬歩で飛竜に飛び移りながら首を刺して行ってるな!

 結局10分もかからずに飛竜退治は終わった。

 残ったのは飛竜がいた場所だけ窪んでいる。

「ん?卵?」

「え?もしかして」

「竜の卵かよ!」

“パキッパキン”

「生まれるな」

「ギャウッ!」

「おおっ!生まれたみたいだな!」

 ピンクの飛竜はトコトコと俺のところに来て足に擦り付いてくる。

「く、か、可愛いじゃないか」

「きゃー!ママでちゅよー!」

「嘘つくなバカ!」

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