ダンジョン原付旅

第27話 シキ

「ほらほら頑張れよ！」

「もう！あんなにシキさんが意識するとは思わなかったんだって！」

　あれからシキには避けられてる気がする。

　それもこれもこいつがアホなこと言うからだ。

「まぁまぁ、どうせまた旅に出るんだし」

「まぁそうだけどな」

「ちょっ！手伝ってよ！」

「大丈夫だ！頑張れ！」

　とアキラが言う。

「鬼！悪魔！ぺんぺん草！」

「あいつ二十歳か？」

「さぁ？虚偽申告？」

「は、二十歳だぁー！」

　と今日も五層まで行って帰ってきた。

　チフユも40を超えてきたのでそろそろ旅に出てもいいかもな。

　その前にと、

「ショッピングモールですか？確かにありますけど…モンスターが」

「そうか、なら場所を教えてくれ」

「分かりました」

　ショッピングモールはオークの巣になっている様だった！

「オラ行くぞ！」

「くっそ！いくしかないのね！」

「そうそう、楽しんでな！」

「服が欲しい！化粧品も！」

「おっし！行くか！」

「「おう！」」

　と言って3人でオークを駆逐して行く。

俺が中に入っていき外を左右からアキラとチフユが回ってくる。

　と、早かったな！

　オークキングがいた。

「趣味悪すぎだろ！お前は！」

　人間で椅子を作ってやがる！

「瞬歩」

　で近づくと超怪力で投げ飛ばす。

『プギャア』

「オラァ！」

　首を斬り落とすと消滅して行く。

「くっそ気味の悪いもの作りやがって！」

　収納できるか試したらできたので外に持っていって大地魔法で地面を抉りそこに出して火をつける。

「くそ！生きてる人間なんかいないじゃないか！モンスターは何がしたいんだ！」

　火炎魔法を使っているので灰になるまで燃やしてから中に入って行くとアキラが合流する。

「よぉ、もしかしてまたか？」

「もう燃やしたよ」

「そうか、あとは中を探索かな？」

　とそこにチフユと合流し、中をみんなで探索して行く。

　俺は食料品で米やレトルトなんかを収納して行く。チフユは2階、アキラは3階からいるものをマジックバッグに入れていき入らなくなったら俺に持ってくる。食料品を入れて行くのに時間がかかるからな。

　チフユが走ってきて、

「あ、あの、人が、だけど、」

「わかった、どこだ？」

「2階の…こっち！」

　と言って走るので俺も走るとチフユが立ち止まる。俺は歩いて行くと女が磔になった場所があり子供を産まされていた様だ。

「こ…殺して」

　と女が言う。

「分かってる」

　首を落として収納してやる。

「ひっ！あの…人たちは？」

「殺した」

「…わ、分かった」

「またいれば呼べ！血迷っても自分で対処するなよ？」

「はい」

　と言ってまだ外の穴に入れて火炎魔法で燃やし尽くす。もしあるなら天国に行ってくれと願って。

　大量に食材は集まった。バックヤードにも大量にあったのでそれはよかったが生鮮食品が腐って異様な匂いだった。

　2階では服なんかをチフユが一箇所に集めていたので収納しやすかったな。

　3階には子供用品やフードコートもあったが、フードコートも湯煎すれば食える様なものがあるのでそれも忘れずに収納して行く。

　その他雑多な物をようやく収納にいれると、ここともお別れだな。

　そうやって集めたものを教会に持っていき自分たちのいるもの以外を出して行く。

「こ、こんなにですか」

「必要だろう？俺らは必要なものをもう取ったから問題ない」

「は、はい、ありがとうございます」

　と頭を下げる。

「あ、あの！」

「なんだ？」

「わ、私！」

「シキさん、俺は旅をしないといけないのでここで頑張ってくださいね」

「…は、はい！」

「それじゃあ」

「また会えますよね？」

「必ずね」

　さて出発するか、原付を出して乗り込むと、

「いいの？シキさん？」

「は？お前聞いてたのか？」

「ち、違う！聞こえたから！聞こえただけ！」

「はぁ、そう言うことは言わない方がいいぞ？」

「デリカシーなさすぎて草」

　とアキラに言われて顔を真っ赤にしている。

「っとに、行くぞ？」

「おう！」

「…はい」

　ということでまた原付を走らせる。

　足立区に入った。

　本当は東京の方に行こうとしたが道が寸断されていて回り道だな。

　今日はパチンコ屋の駐車場で一泊する。

「ここなら誰も来ないだろ」

「だね、モンスターもいないみたいだし」

「んー、モンスターはいるにはいるんだけどここには近寄んないのか？」

「みたいだな、まぁ、休めればそれでいいがな」

　とラジオを聞きながら晩飯を食べてるとようやく情報を伝え出した様だ。

　これをどれだけの人が聞いてるかだな。

　自衛隊や警察もこれで動ける様になるだろうしな！

　寝袋に入って寝ようとすると、

「ごめんね、変なこと言って」

「はぁ、気にしてないからお前も気にするな」

「はーい！」

「いやいや、お前は気にしろ！」

　とアキラに言われて、みんなで笑う。

　電線が切れてるのか電気がついてない東京は星が見えるんだな。

　もうすぐ秋になる。まだ過ごしやすい季節だが、冬になる前になんとかなればいいんだがな。

　東京にいけば何かわからないかな？