第24話 別れ


 地下駐車場で朝目が覚めると、また子供達が降りてきていた。

 しょうがないので冷蔵庫にあったものとオーク肉でカレーを作る。ルーもあるし、野菜は少なめだがカップ麺よりはいいだろう。

「おぉ、作れるんですね?!」

「手伝えよ!」

「はいはい」

「アキラ頑張れよ!」

 ここは電気は通ってるようなので無洗米で米を炊く。

 一回じゃ足りないから何回も炊いてタライに移す。

 皿は十分あるからいいとしてカレーがどれだけいるかわからないので鍋に三杯作った。

「ちゃんと並んでねー」

 と女の子が列を作ってくれる。

「おじさんありがとうございます」

「しゃーないだろ?またカップ麺も味気ないからな」

「それでもありがとうございます」

 地下駐車場はカレーの匂いでいっぱいだ。

「ほらよ」

「ありがとー」

 とご飯をそろりそろりと持って行く子供達、地べたに座って食べている。

 子供服もあったから置いていこう。

 

 で、まぁ、朝から食べる食べる!

 ご飯が足りなくなってレトルトご飯を湯煎であっためてカレーをかけて食べる。

 そう言えば中学生とかはよく食ってたな。

 カレーもなくなりレトルトカレーを出せば食べるし、今日は朝から凄いな。

「だ、大丈夫ですか?」

「ん?まぁ、また取りに行けばいいからな」

「みんなぁ、そろそろご馳走様だよ!」

「「「「はーい」」」」

 ふぅ、と一息つくとハルは嬉しそうな顔をしながら、

「ちゃんと大人してましたね」

「あ?大人だからな」

「でも他の大人にはできてないことですよ」

「みんな自分に余裕がないだけだろ」

「そうですね、私も余裕なかったですもん」

「だな」



 ビルの上に入れさせてもらい、子供服を置いて行く。そして別の場所にお菓子と歯ブラシと歯磨き粉、その他の生活必需品を置いて行く。

「こ、こんなにいいんですか?」

「あ?子供が遠慮するな」

「は、はい」

 と泣いている。

 苦しかったよな。


 と、それはそれだ!レベル上げだな。

 昨日の5人に防具と武器を渡す。

 で昨日のダンジョンに行く。

「怪我したら言えよ」

「はい!」

「おし!じゃあいくぞ!」


 夕方までみっちり3階層まで行ったからみんなへとへとだな。だけどおかげでレベルも上がってオークなら簡単に倒せるくらいになったようだ。


 ビルに帰る。

 なんとか子供だけで暮らせそうだな。



「私残りますよ」

 と後ろにいたハルが声をかけてくる。

「ん?ハルが?」

「ハハッ、せっかく仲間にしてもらったのに…でも子供達を見捨てるわけにも行きませんし」

「…そうか」

 このまま子供達だけ残すのもどうかと考えていたところだった。


「まぁ、十分やっていけると思うが、何かいるものあるか?」


「あ、原付は置いていってくださいね?」

「あぁ、お前のもんだしな」

「ハハッ、私の愛車です」

「ったく、もうちょっとレベル上げしてやれば良かったな」

「十分強くなったと思ってますよ?」

「守ってやれよ!」

「はい!」


 とここでハルとはお別れだな。

 

「じゃーな!」

「はい!お元気で!」

 と言って別れる。


「短いけどあのおっさんと別れるのが辛くなるなんてな」

「なーに、あいつなら心配ないだろ」

 原付は今日も絶好調だ。


 途中のガソスタに寄って、それから飯の調達もしないとな。結構置いてきたからな。


 ナビで検索するとスーパーが結構あるが、まだ残ってるか?

 原付を走らせるとゴブリンに占拠されてるスーパーを見つけると中に入って倒して行く。

 まぁ、荒らされているがレトルトなんかは使えるな。

 缶詰や缶やペットボトルのジュース、あとは無事なカップ麺など色々と食料を調達できた。


 まだあるかなと奥に行くと人の死体置き場になっていたので流石に耐えきれなかったのですぐに出る。



 何軒か周り無事なものを収納して行く。

 耐震なんかしてるビルはある程度残っているがやはりヒビが入っていたりするし、潰れているところもあるので地震がすごかったんだな。


 建物が近くにない方がいいので道路に車を出して寝る準備だ、レトルトをあっためていると、

「なんかきたぞ?」

 とアキラが言うとゴブリンに追われてる女がこっちに向かってきている。

「キャァァアァァ」

「ファイヤーボール!」

 女の後ろのゴブリンに当てると踊るようにして消滅した。

「はぁ、はぁ、はぁ、」

 レトルトをご飯にかけると中華丼の出来上がりだ。

「ちょっと!大丈夫とか無いわけ?」

「大丈夫だろ?あむ」

「だな」

 モンスターは倒したんだし大丈夫だろ。

「わ、私にも食べさせてよ?って明らかに嫌そうな顔するな!」

 嫌だから顔に出したんだが、


「はぁ、自分の飯くらい自分でなんとかしろよ」

「それができてたら苦労しないわよ!」

「あ、漬物出して」

「ほい」

「だーかーらー!無視すんなって!」

「うっさいなぁ、元気みたいだからいいだろ?」

「…はぁ、疲れた」

 と座り込んでしまった。

 俺たちはポリポリと漬物を食って、

「食べるの?」

「食べる」

 と女は言う。

「はぁ」

 レトルトを入れてあっためる。

「あとは自分でやれよ?」

「うん」

 

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