第12話 出発


 とりあえず午前中には着いた。

 こいつらは見つけたから連れてきたと言ってそれなりに戦えるようだと言ったら喜んでくれた。

 で、男の子達に会いに行くと親御さんに会って学校の方に行かないですか?と聞いてみたら二つ返事で行くと言ってくれた。

 ここでは食料がなかなか手に入らないようなので移動しようと考えていたらしい。


「なら俺らが護衛でついて行きますよ」

 と歩いて学校に向かう。それなりに遠いがどうにか一夜を明かして学校に到着した。


 男の子達に女の子を紹介して、守ってやってくれと言うとヤル気になっていたし、女の子も負けていられないとみんなでチームを組んでダンジョンに行くそうだ。

 とここでアキラが思いついたように、

「あ、あれ食えねぇかな?」

「ん?もしかしてあれか?」

「何ですか?」

「まぁ、…調理して貰ってもいいですか?」

 とオーク肉をだす。

 男の子や女の子は知っているので何とも言えない顔だが、親達はおぉ!と嬉しそうな声を出す。

 とりあえず毒味で俺とアキラで食ってみると、

「…うめぇな」

「食えるぞこれ」

 と言うと恐る恐る男の子達が食べ、女の子も食べ始める。

「うめぇな!」

「これなら2階層にいるよ!」

 ダンジョンの低階層にいるのもいいところだな!

「おっし!これで食料も大丈夫だ!」

 と喜んでいる!

 親達も何とかなりそうでホッとしていた。

 今度親も連れて行くらしいから戦力も増えるだろう。


 そして女の子達を呼んで必要そうなものを取り出して行くと少し恥ずかしそうにしていたがありがとうと言って段ボールに入れて持って行く。

 よかった、早速役に立ったな!


 生産職の親父さんが来て要らない鉄の槍や鉄の剣を欲しがったので工房になってる技術室にそれを出してやる。

 一応聞いたが鍛治ができるようだ。

「おし、お前らはいい装備を持っとるからのう、わしらはわしらで何とかやってみるわい!」

 親父さんもあまり食べてないようなのでオーク肉を渡しておく。

 ありがたがっていたがオーク肉はこれから食えるのだ。


 学校にはそれなりに人がいるが怯えてる人が多く、ダンジョンに入ってたのはあのクソ大人達と女の子達だけだ。

 もっと勇気を出さないといけないと思うが無理強いは出来ない。

 ここの1番上は校長らしく、これもまた動かないらしいのでそのうち親父さんに喝を入れてもらわないとな。


 男の子達は原付なら乗れるらしいのでとりあえず3台置いて行く。

 また、何かあれば連絡してと言って学校を後にする。

 まぁ、学校はあの子達がいるから何とかなるだろう!


 市役所によってみたが、まぁ、大人がやりたい放題しているようだな。

 まぁ、ここの市役所に子供はあの男の子達だけのようだった。あとは爺さん婆さんが殆どであの大人達だ。みんないい大人なんだからそこら辺は俺らが何とかする義理はないが、オーク肉が食えることだけ言っておいた。


 と言うことでショッピングモールに戻り一泊する。もうモンスターもいないのでオーク肉を焼いて食って、ラジオがあったので合わせるがSOSを出してるところばかりだな。

「何でダンジョンに行かないんだ?」

「そりゃ、近づきたくはないだろ?」

「知らなきゃそうか…」

「そうだな、電話で連絡してみよう」

 と連絡をするとすぐに繋がり今までのことを伝える。荒唐無稽だが親身になって対応してくれるからこちらも話しやすいな!

『分かりました、こちらでもその方法を試してみて問題なさそうなら全国に伝えていきますので』

「はい、よろしくお願いします」



「よし!これで自衛隊や警察が動けば助かる人も増えるだろう!」

「やったな!」

「はぁ、ようやくホッとしたかな」

「だな、でもどうすんだ?これから」

「まぁ、旅じゃないけど回ってみるか?ここだけじゃないしな」

「そうだな、とりあえず日本が元に戻るまでは走ってみようぜ」


 俺たちは地図を広げとりあえず千葉から東京の方に行ってみることにした。


 べべべべべべ。


「これいいな!」

 トランシーバーから聞こえてくるアキラの声、

「まあな、そんじゃあまっすぐ行こう」

「了解!」


 俺らの旅が始まった。


 ショッピングモールから出て道を走って行くが、やはり道は悪いしあちこちで電線が切れてたり建物が傾くなどしているところが見受けられる。


 はぁ、全国こんな感じか?


「おっ、給油して行こうぜ!」

「あぁ、わかった」

 とガソスタで給油して、また発進する。

 

「この先に人が集まってるっぽいぞ?」

「おし、行ってみよう」

 行ってみると大型スーパーだった。

「おぉ、これなら食料はちゃんとありそうだな」

「バリケードしてあるし何とかなってそうだな」

 原付から降りて近くまで行くと、

「何だお前ら!ここはもういっぱいだぞ!よそに行け」

「は?俺らは情報を渡しに来ただけだぞ?」

「本当か?ならちょっとこっちに来い!」

「はぁ、こんな奴らに教えるのか?」

 とアキラは言うが、

「この中にもきつい思いしてる子がいるかもしれないだろ?」

「はぁ、そうだな」

「なにしゃべってんだ!くるなら早く来い!」

「うっさいな、行く行く」

「はぁ」

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