老人の恋!

崔 梨遙(再)

1話完結:830字

 喫茶店の常連客、中川さん男性75歳。


 朝のメンバーだった。朝は鶴田さん男性78歳と仲が悪かったのだが、鶴田さんが長期に渡って来なかったので、朝の部で中川さんは我が世の春を謳歌していた。


 ところが、やがて鶴田さんが朝のメンバーとして復帰。中川さんは鶴田さんを避けるため、朝は来れなくなり、午後に来るようになった。


 1人で暇なので、午後の数人組の奥様方(ご高齢)に話しかける。


「どこの宗教に入ってるんですか?」

「その宗教って、どんな宗教なんですか?」

「なんで、その宗教に入ったんですか?」

「好きな政治家は誰ですか?」

「何党を支持してらっしゃるんですか?」

「支持している理由は何ですか?」


 こんな話題ばかりなので、奥様方は不快になり、ママさんにクレームとして伝えた。ママさんは、クレームになっては放ってはおけない。中川さんに、“中川さん、朝に来てください”と告げた。


「朝、鶴田さんがいるから来れません。午後もダメやったら、僕はいつ来たらいいんですか?」

「お友達と来てください。それなら、話相手がいるので他のお客様には話しかけないでしょう?」


 中川さんは、大声で散々言いたいことを言った後、カウンターの中にズカズカ踏み込み、自分のコーヒーチケットを破り捨てて去った。


 ああ、もう中川さんは来ないのか。誰しもが、そう思った。



 すると、翌週の午後に中川さんは現れた。


「うどん」


ママさんは、大声で怒鳴り散らされたことを許していない。


「中川さん、よく普通の顔して来れましたね?」


「じゃあ、コーヒー」

「いやいや、そんな問題じゃない!」



 その日、退散した中川さんだったが、

 スグに花束をママさんに贈った。

 ママさんは、丁重に受け取り拒否をした。

 女性には花を贈れば良いと思っているのだろうか?

 ママさんは、そんなものは求めていないのだ。

 結局、花屋さんが振り回されてしまったので気の毒だった。



 ちなみにママさんは50歳だ。旦那様もお嬢様もいる。中川さんも妻子がいる。さて、この恋の行方はどうなるのだろうか?







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

老人の恋! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る