おっぱいで回復することは誰にも言わないでください

みそカツぱん

第1話



「ティ、ティルモ!?」

「先輩ごめんっ! 今の状況を打開するにはこうするしかないんだっ!」

「あんっ!!?」


僕はメルティ先輩のおっぱいを両手でわしづかみにした。




遡ってこの奇妙な状況の説明をしよう。


僕はティルモ。衛兵をしている。平民だがそれなりに裕福な方で勉強もできたおかげか衛兵という職に就くことができた。


衛兵は貴族と関わることもそれなりにあり、街の治安に関わる職だ。収入もそれなりにある。


とはいえこの国や世界は格差社会だ。貧しいものは搾取される。そして僕の仕事はその暴走を取り締まる側だ。


「おはよ。今日は平和だといいね」

「おはようございます。平和がいちばんです」


ミルティ先輩とはよくペアで行動する。ペアを組むのは不意打ちを防ぐためだ。


先輩は年上だが可愛らしい女性だ。そして彼女の正義感に大きな影響を受けた。すごく尊敬している。


衛兵としてビシッと服装を整えた姿はもちろん。仕事が終わり、髪を解いたときに見せる女性らしい姿や表情も素敵だ。ドキリとさせられる。


衛兵の間ではもちろん。街の人にも人気がある。


「それにしてもこんな小さなものが金貨で取引されるだなんて何度見ても信じられないよ」

「……それは無理もないですね。だけど『ニンニク』は命に関わるもの、高価なのは仕方がないですね」


衛兵の任務は街の巡回と重要施設の警備。今回は重要施設、『取引所』の警備だ。


特に高価な『ニンニク』は僕らが守らないといけない、国が管理する高級品。ひとかけらで金貨1枚の価値を持つ。


人間が生きるには『精力』が必要だ。若ければ『精力』は自然に回復するが、男性は30歳ほどを境に『精力』の回復力が追い付かず、体が弱る。40歳になると毎日ニンニクを摂らなければ確実に死ぬ。そんな生命維持に重要なものなのだ。


ゆえに国が管理する高級品というわけだ。


「この前は酷かったですね。強盗が9人、大捕り物だった」

「命が掛かってるとはいえ、わたしたちも生活が掛かってるもの見逃すことはできないしね」


衛兵の仕事は給料が良い分、被害が大きい時にはその現場にいた人間は減給をされる。そんな封建社会だ。


ちなみに強盗をする多くの人が女性だ。男性よりも女性の方が精力不足での体の影響が少ない。肉体の衰えを感じた本人よりもその家族が強盗をするパターンが多い。


とても嫌な社会だ。決して口にはできないが国や貴族が命に関わる『ニンニク』を管理し、縛り、強盗に走らせる。そんな事件が起きようとも価格は変わらず、ニンニクを自由に栽培することは認められないまま。


「貴族はそんな高級品のニンニクを使った料理を毎日食べていると聞きます。……やはりこの社会は腐っている」

「しっ! 今はわたしたちしかいないとはいえ、聞かれたら処分されるわ。気を付けなさい」

「すみません……。つい感情的になってしまいました」

「でもわたしも同じ気持ちよ」


メルティ先輩のその言葉にとても勇気づけられた。


警備をはじめて3時間ほどが経ち、陽がいちばん高いところに登ったころ。最悪なことが起こる。


「むっ!?」

「覆面……。どう見ても強盗ね」


僕たちは警棒を構える。現在この取引所に駐在している衛兵は僕らをあわせて4名。強盗は7名。


どうやらこちらの昼休憩で人数が減ったタイミングを狙ったようだ。こちらの方が人数で不利。手加減をしていてはこちらがやられてしまう。


「はぁっ!!」

「ふっ!!」


相手も棍棒で応戦。僕たちは訓練を積んでいる衛兵とはいえ、似たような武器同士、圧倒はできない。俺は男で力が強いから多分1,2分で相手を倒せるだろう。しかし男性は僕だけ、相手の方が2人多い、このままではニンニクを奪われるだろう。


「仕方がない『ブースト』を使います」

「頼んだっ!」


『ブースト』は男性だけが使える特技だ。精力を激しく消費する代わりに身体能力を一時的に上げることができる。


「ふんっ!」

「……っ!?」


僕は素早く相手の背後に回り、腕を取り関節を極め、手錠を掛け無力化する。しかし2人拘束したところでブーストが切れてしまった。


「くっ……。あとは頼みます……」

「任せて」


精力を消費し僕は蹲る。強盗たちはその間にニンニクを奪って逃げようとしている。衛兵の仲間たちは相対す強盗たちに手を取られている。


意識が朦朧とする中、僕はこのままじゃいけないと思った。


転がった商品のニンニクをひとかけら口にし、僕は目の前の強盗を制圧するのではなく、戦っているに抱きついた。


「ティ、ティルモ!?」

「先輩ごめんっ! 今の状況を打開するにはこうするしかないんだっ!」

「あんっ!!?」


僕はメルティ先輩のおっぱいを鷲掴みにし、揉みしだいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る