投擲スキルMAXの錬金術師は全てを放り投げてでも白米が食べたい 〜なのに女の子になってしまい「ふっ、面白え女」みたいな面倒臭い奴らに絡まれているんだが?〜
第9話 転生者は『ハーレムルート』をぶん投げた
第9話 転生者は『ハーレムルート』をぶん投げた
ケイ先輩にありとあらゆる手段(倫理的協議が必要な内容を含む)で魔法を調べられそうになったところを、予想外にカイ先輩が止めてくれた。
「落ち着くんだケイ!! これを使おう!!」
カイ先輩が取り出したのは虫眼鏡。魔道具らしい。
「これは魔通しの眼鏡!! 魔法を解析する魔道具さ!!」
「すごい、なにこれ!! ハクにかかっている魔法、執念の籠った呪いだわ!! もはや芸術ね!!」
わあ兄弟。でも可愛いから。先輩は可愛いから、全てに勝り正義なんだよ。って言い聞かせなきゃいけない時点でもうあれではあるが、気にしないことにしよう。
「私も呪いを解くのに協力するわ!」
ビシッと指差す先輩はやっぱり可愛い。うるせえ可愛いんだよ。
そんなこんなで錬金術部に入部となった。
そして入部届に正式にサインをしたところで、アミルにひそりと手招きされ、部室の隅で声をかけられる。
「……ハク、ちょっと彼女にデレデレしすぎじゃないかな?」
釘を刺された。
ひょっとして、ケイ先輩には何か裏がある?
「罠でも良い」
「何が!?」
だが罠でも良い。例えケイ先輩の優しさや可愛さがなんらかの罠だったとしても、俺はその罠にハマりたい。
「そうじゃなくて、そうじゃなくてさあ」
ふいとそっぽを向かれてしまった。なんなんだ。
「……同郷でルームメイトの僕とより仲良くなってない?」
あ、そういう?
なんだこの突然のモテ期? 罠か? 神様、女神様、俺転生して良かったよ。
なんて感動していると、いつの間にやら背後でふむと腕組みをしながら頷くマルス。
「俺も少し寂しい」
やめろ素直かよ馬鹿剣士。お前までフラグを立てるな。やめて。追放されて弱ってたころを助けられた恩人ではあるから、男親友、男相棒ルートはTS娘モノに十分あり得るからマジでやめて。
なんて剣士ルートに怯えていると、背後から乱入してきたバリカ。
「ケヒャア! ちょっと待てぇハク! ラブコメするなら誰よりもてめえと熱い戦いをした俺を忘れてもらっちゃ困るぜぇ!」
お前もかよケヒャ野郎。なんでだよ。もう逆にちょっとお前ルート選んでみたさあるよ。
なんてケヒャリストルートに衝撃を受けていると、背後からカイ先輩が。
「あ、じゃあ!! 俺も!?!?」
ノリで便乗すんな。
「ケヒャア! こうなったらしょうがねえ! ヤバーツョ学園のしきたりに則ってぇ、勝負あるのみぃ!」
【マンダー•ラサ】
バリカの杖から爆炎が広がる。
「そういうかんじか」
【クレ・ナヨツ】
マルスの動きが素早くなり、それを避ける。
「そういう戦いなら僕だって!」
【ル・ミケカ・オ・ズ】
アミルの水が炎を掻き消す。
ははっ、蛮族。
「ちょっと、さっきからあなた達なにを争って……!」
ほら、部室で騒ぐからケイ先輩怒っちゃうだろ。
「……って、すごい魔法!! 私も混ぜて!!」
【ハリ•ネード•ルトケーン】
え、あ、あなたも蛮族……?
「あ」
攻撃が逸れて俺に巨大な竜巻が迫り来る。
「あ、あ……」
とほほ、転生なんてこりごりだ。
***
目が覚めると、目の前で誰かが大きな鍋をかき混ぜていた。
「ぐっつぐつーっと」
何やら独り言を呟いている。今世は平和かな。
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