第37話 正一 過去~今へ 和也への思い


やってしまった。


横で芽瑠が満足した様に眠っている。


シーツには赤いシミがある。


最後の一線は今迄超えて無かったとはいえ、散々していた体は火がついたら凄かった。


芽瑠は『本当に愛してくれるの』『ちゃんと愛しているって言って』と繰り返し、言ってきたのでちゃんと答えてやった。


最初、芽瑠は少し強張っていたが最後は自分から喜んで俺を求めていた。


芽瑠には凄く罪悪感がある。


俺のせいで和也との婚約は確実に壊れる


だが『芽瑠ではなく他の女を愛する男との婚姻を潰してやったんだ』許して欲しい。


男と女の愛情は無いが、体を重ねていたから『家族』に近い愛情は芽瑠にもある。


幸せになって欲しい。


そして……俺や和也以外の芽瑠を本当に愛する男と幸せになって欲しい。


どうしても、俺がというなら……やっていた事の責任も取るつもりだ。


真理愛や恵子と約束した『芽瑠には手を出さない』という約束を破ったから、きっとこの歪な関係も終わるんだろうな。


後は、俺が芽瑠を寝取った事を、どう和也に伝えるかだ。


◆◆◆


俺は確かにボンクラだが、今迄、古馬本家にとってマイナスな事をした事が無い。


勿論、親父に逆らった事なんて無い。


和也……


お前は良く俺の我儘に付き合ってくれたよな。


古馬本家の御曹司……誰もが媚びへつらうなかお前だけは違った。


良く喧嘩もしたし良く遊んだよな。


山犬に追いかけられて俺を置いてけぼりにして皆が逃げた時お前だけは、棒を持って最後までいてくれて噛まれて泣いていたな。


『生意気』だと、他県からから来た高校生に絡まれた時もお前は……俺を助けて殴られていたな。


親父を怒らせて俺が怖いって泣いていたら、一緒に怒鳴られてくれたな。


お前だけが古馬正一でなく俺をただの友達の正一として見てくれた。


俺にはどうする事も出来なった。


あそこ迄家畜みたいになった女でも……


それでも、お前は美沙が好きなんだろう……


だったら、俺がお前にチャンスをやるよ。


『古馬本家の御曹司が、他人の婚約者に手を出す』


これは村の掟も絡み『姦淫』に近い大事になる。


被害者は和也……そして加害者は俺だ。


きっと村を巻き込んだ大きな話になる。


頭の良い、お前なら気がつくだろう。


『古馬本家が、その償いの為に和也の言う事を飲む必要がある』


和也が望むなら、あの牝豚だってきっと差し出す筈だ。


俺が出来るのは此処迄だ。


後は頑張れよ!親友。


上手くいく事を祈っているよ。



◆◆◆


俺はこの座敷牢から何時になったら出られるんだ?


ハァ~まさか三人全員に振られるなんて思わなかった。


恵子は兎も角、芽瑠か真理愛は残ると思っていたんだよな。


いや、かなりの大事になるとは思ったけど、此処迄になるなんて思わなかった……


どうするんだよこれ!







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