第36話 正一過去 芽瑠も俺の物
『おい牝豚、なんでお前和也と逃げなかったんだよ!』
流石の俺も面と向かって牝豚と呼んだことは無い。
だが、和也の手を振り払った此奴がどうしても許せなかった。
『私は……』
泣きそうな顔をしているが、お前に泣く権利なんてない。
『馬鹿な奴だ、和也が自分の全てをかけて連れ出そうとしたのに!何故逃げなかった!』
『そんな逃げるなんて……私には出来ません......』
本当にうっとうしい。
人生をかけてまで救おうとした和也。
才能ある彼奴がこの牝豚の為に全てかけたのに、此奴は自分から手を放しやがった。
『あの才能のある和也が、お前の為に中卒になった。お前の事を好きになった為にな……そんな彼奴の気持ちを踏みにじりやがって……この牝豚が!』
バキッ
思わず手が出た。
『痛い、違う……私は……』
『牝豚が家畜の分際で口きくんじゃねーよ』
ドカッバキッ
呻きながら蹲っている牝豚に腹が立って蹴りを入れた。
『……どうせ何を言っても無駄なんでしょう……私だって、私だって行きたかった……だけど、だけど……うえぁぁぁぁぁーー行けるわけないじゃない。殴れば……蹴ればいいじゃないーーっ……もう嫌だよ、こんなのもう嫌だーーっ! 殺してーーいっそ殺してよーー』
『お前なんて殺す価値ねーよ……死ぬなら勝手に死ねよ』
『ううっううっ……グスっ』
『お前は根っからの家畜だ。俺はもうお前を人だなんて思わない……運命を切り開いてくれようとした人間の手を払う奴なんて誰も救うわけない……一生家畜として過ごすんだな……薄汚い牝豚が』
『わわたしは……』
『お前は牝豚……じゃなければ薄汚い便所女だよ! 根っこからのゴミ女だ』
後ろで泣いているが知るかよ。
俺にはブーブーとしか聞こえねーよ。
◆◆◆
高校を卒業して俺は大学に進学した。
だが、寮暮らしだが、旧家の辛い所で休みの度に実家に戻らなくちゃならない。
相変わらず、真理愛、恵子、芽瑠との関係は続いている。
最初は高校卒業で終わり、解散するつもりだったが、だらだらとお互いに関係を続けていた。
だが、それもそろそろ終わる。
年齢的に将来の婚約者が決まる時期だ。
◆◆◆
久しぶりに4人で会う事になり、恵子の持っている別荘に集まった。
『久しぶりだな、皆元気にしてたか?』
『まぁ僕は相変わらずだよ』
『まぁ、それなりにね』
『私の方は、ゴメン一番乗りみたい、このメンバーから外れるの』
『芽瑠が……もしかして婚約が決まったのか?』
『うん、まぁね……私どうやら正一さんの親戚になるみたい』
『俺の親戚?』
『うん、今泉和也さんとお見合いしたんだ。お父さんとお母さんも気にいっていてね、凄く乗り気なの。 私も良い人だと思うよ。 正一さんの古馬本家の分家なんでしょう? もうこの関係は終わりだけど、これから先は親戚として宜しくね』
『そうか、和也と一緒になるのか?』
『うん……そうだけど?どうかしたの』
和也はようやく、あの牝豚の呪いから解放されたのか……
これで彼奴も、ようやく元の和也に戻るな。
良かった。
久々に四人で快楽を楽しんだ。
これからは、この関係も3人になる。
芽瑠は元々、俺が好きなタイプじゃない。
確かに可愛いが、顔立ちが幼くて大人っぽい顔立ちやスタイルが好きな俺からしたら好みから外れる。
とはいえ、三人しか居ない幼馴染の女だ。
仲間外れになんて出来ないから仲間に入れた。
『爛れた関係だが』俺はそれなりに3人を気に入っている。
だが、和也が望むなら、あの牝豚を諦める条件なら俺は芽瑠じゃなく、恵子でも、一番のお気に入りの真理愛でも差し出すつもりだった。
芽瑠と和也が結ばれるなら……芽瑠で済むならそんな嬉しいことは無い。
気持ち的には芽瑠、グッジョブだ。
『和也はすげーいい奴だから大切にしてやってくれ』
『何言っているのかな? 私が女なんだから幸せにして貰う方じゃないかな?』
『確かにそうだ』
その日は、久々の再会に、燃えるように盛ったが、この関係ももうすぐ終わる。
少なくとも和也と芽瑠がつき合う以上は芽瑠とは今回で終わりだ。
◆◆◆
婚約迄したんだ、親友として古馬本家の嫡男として何か送るべきだ。
だが、頭の中に嫌な考えがよぎる。
本当にあの牝豚と切れたのか?
どうしても、それが確かめたい。
そう思った俺は和也の様子を見に行った。
相変わらず、彼奴は忙しそうに働いている。
だが……なんだあれは!
見た目には普通に見える。
だが、あれは本来の和也じゃない。
多分、この違和感は普通の人間には解らない。
無理やり取り作った笑顔……
本当は笑っていない。
暫く様子を見ていた。
また、あの牝豚がエサを貰いに来ていた。
あの目『優しそうな目』絶対に吹っ切れてない。
どうして良いか解らず……戸惑っているな彼奴。
未練たらたらじゃないか。
多分、彼奴は芽瑠の事なんて好きじゃない。
ただ、自分なりにけじめをつける為……婚約をしたんだな。
前に進む為にか.....
『そんなにその牝豚が好きなのかよ』
だが芽瑠じゃきっと今の和也の胸の穴を埋める事はきっと無理だ。
クソッ。
俺は古馬の御曹司だ。
この村の中なら王子みたいな物だ。
だが、所詮は王子。
王様には勝てない。
お前が欲しいのがなんでその『牝豚』なんだよ。
他の女なら、幾らでも良い縁談を持ってきてやる。
金や土地が欲しいなら融通をきかせてやる。
だが……その『牝豚』だけはどうする事も出来ない。
クソッ……
◆◆◆
それからも、俺達4人の関係を続いた。
そして……
『ハァハァ、ねぇ正一、僕たち付き合い長いじゃんか……最後の一線越えちゃおうか?』
真理愛がそんな事を言い出した。
『問題になるんじゃないか?』
『僕の場合は大丈夫だと思う。次女だしうちは水産業だからか結構緩そうだよ。お父さんも昔は自由奔放に生きて来たから、大きな問題にならないと思うよ』
『そうか……』
『だから正一がどうしたいかだよ! 古馬本家は、僕の家と違って大変なんだろう?』
親父だってかなり好き勝手している。
案外、その辺は甘いのかも知れない。
村の掟には、多分触れない。
『そうだな、俺は真理愛の事好きだし……問題ないか』
『正一は僕の事好きなんだよね?』
『好きだよ……』
こうして俺は今迄のルールを曲げてついに真理愛と一線を越えてしまった。
もう二人とも成人だし問題無いよな。
◆◆◆
『ハァハァ凄かったね……やっぱり全然ちがうね』
『口や手とは全然違う、凄かった』
「うん……最初の1回だから生でしちゃったけど、避妊は必要だよね。僕、こんなの持っているから……」
避妊具か。
『何処で買ったんだよ』
『よく考えたら地元が無理なら、学校の近くで買えば良いんだよ。大学の近くのドラッグストアで買っちゃった』
家からは通えなくて俺や真理愛も寮暮らし。
確かにそこなら村人も居ない。
よく考えれば、こうしてホテルにも入っているんだから、必要なら買えば良かったんだ。
万が一が怖くてラブホじゃなくて普通のビジネスホテルだけどな。
『確かに避妊はそれで問題は無いけど、処女の方はどうなんだよ! バレたら数馬さん怒らないか』
『多分、お父さんなら大丈夫、権蔵さん程じゃないけど結構昔遊んでいたらしいから……文句は言えないよ』
『なら安心だ』
『うん、それに権蔵さんだって、あんな女飼っているんだから和也に文句なんて言えないでしょう……』
『確かにそうだね……』
今迄、最後の一線を越えなかったせいか一度火がついたら止まらなくなった。
ただの穴、そう思っていたが全然違う。
気がつくと夜までやり続け今は二人してベッドに横たわっている。
『ねぇ正一……恵子は兎も角、芽瑠には手をしちゃ駄目だからね』
『芽瑠は確かに……そうだな』
和也と婚約しているんだ.......確かに手を出しちゃ不味い相手だ。
『婚約者が出来たんだから問題になるし、あの子お子様だから絶対にダメだよ……恐らく大事になるから』
『解っている。大丈夫だから』
そう真理愛に答えたが……俺の気持ちは決まっている。
俺は……
◆◆◆
お金はあるから、ヤリ目的で都合の良い場所に部屋を借りた。
成人しているのだから、俺名義で借りて真理愛が保証人になれば簡単だ。
やがて、俺達がそういう関係にあるのを知って恵子もこのヤリ部屋に遊びに来た。
結局、恵子とも一線は越えたが、真理愛と違いドライで、体に溺れる程の関係にはならなかった。
◆◆◆
そして、俺は……芽瑠にも手を出す事にした。
冬休み、真理愛が大学の友達と旅行にいった1週間。
此処がチャンスだ。
芽瑠も真理愛も恵子も割と近い場所の大学に通っている。
だから、このヤリ部屋は芽瑠にとっても遠い場所じゃない。
久しぶりに話がしたいと芽瑠を呼び出した。
『久しぶり、正一さん』
最後の一線を越えてないとはいえ、あそこ迄の関係なのだから警戒心は無く、芽瑠は簡単にこの部屋に上がってきた。
缶コーラを2本取り出し芽瑠の前に置く。
『それでどうよ! 和也とはうまくいっているか?』
『うまくいっていると思うよ。お父さんもお母さんも和也さん真面目だから凄く気にいっていて、最近では仕事の話も良くしているからね……』
家族間という事ならそうだろう……だが、俺が聞いているのはそれじゃない。
『なんかあるのか?』
『和也さんは真面目だし、凄く良い人だけど、凄い奥手なんだよね!……もう婚約もしているし家族付き合いもしているから、そういう関係になっても誰も文句を言わないのに……まだキスもしてこないんだよ』
やはりな。
彼奴の好きなのは、牝豚だ芽瑠じゃない。
『それじゃ芽瑠、欲求不満が溜まっているだろう? 前の条件で解消してやろうか?』
『大丈夫かな?』
『大丈夫だって、最後の一線を越えなければバレないだろう』
『そうだね、お願いしようかな』
かかったな。
俺は今日、一線を越え最後までヤルつもりだ。
最後の一線を越えて無いとは言え、散々ヤリまくった体だ。
何処を触り、何処をいじれば喜ぶか知っている。
俺は芽瑠がいきそうになると止める、寸止めを繰り返した。
『正一、なんで止めるの私……切なくて、おかしくなりそうだよ』
『俺はお前を和也に渡すのが惜しくなったんだ。芽瑠、愛している。好きなんだ。だから俺の物になってくれ』
『駄目だよ私には和也さんが......』
『芽瑠......愛しているよ』
此処迄来ればもう拒めないだろう。
芽瑠は甘い言葉に弱い。
息はハァハァしてるし、目だってトロンとしている。
頭のなかで抵抗しているが体は正直だ。
『……解った。わたし正一のものになるよ……だからお願い』
これで芽瑠も俺の物だ。
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