第26話 権蔵SIDE あとが無い
結局、3人の相手のうち2人から正式に断られてしまった。
これはある意味予想外だ。
此方が謝罪する立場だとはいえ、今迄は相手を選ぶ立場だった。
だが、残るは南条家の真理愛さん1人になってしまった。
ハァ~彼奴は何しているんだか……
少し正一と話すしかないか。
「正一、恵子さんにとってお前は遊びだったそうだぞ! 『楽しい思い出をありがとう』だそうだ」
「それ、本当の事か親父」
「ああっ、遊びだから慰謝料も要らないそうだ」
「そうか……俺の為に身を引いてくれたのか……」
わざわざ真実をいう事はない。
「そう言う事だ、わざわざ身を引いてくれたのだから、付き纏ったりするなよ」
「解っているさ」
正一は解っておらぬ。
もう残りは南条家の真理愛さん一人。
古馬本家という以前に正一と年齢が釣り合う女性が近隣にはもう彼女しか居ないという事になった。
真理愛さんを娶れば、正一は古馬本家に残れて次期当主になれるのか……
今泉は、儂の後妻の美沙とお金と紺野邸
北条家は、まぁ先方から遊びという事で終わった。
残りは南条家だ。
これが終われば、今回の騒動は全部終わった事になる。
問題は、正一の妻として真理愛さんを娶れるかどうかだ。
もし、娶れなければ……古馬本家は大きな恥をかく事になる。
「それで、正一、真理愛さんは大丈夫なのか?」
「大丈夫とは?どう言う意味だ」
「いや、今現在お前は 芽瑠さん、恵子さんと結ばれる事は出来なかった。古馬本家の跡取り以前に、もし断れたら、もう近い歳の女はこの近辺に居ない。最悪、歳の離れた嫁か、よそ者から娶るしかない……古馬本家に残りたいなら『よそ者』は無いからな。真理愛さんと結ばれなかったら……年の離れた嫁を貰うしかない。真理愛さんが娶れるかどうかが体裁を整える事ができるかどうかだ……今度は大丈夫なんだろうな?」
良く考えたら、三股をかけていた状態じゃないか?
芽瑠さんは誠実に最初から1人だけに絞っていれば嫁に出来た筈だ。
だが、他の二人に手を出していたから……先方に不誠実と思われ引かれてしまった。
真理愛さんにも同じ事があっても可笑しくない。
此奴、まさか真理愛さんを怒らせる様な事はしてないだろうな。
「自分では行けると思うんだが……芽瑠の件があるから自信が無くなって来たよ……どうだろうか?」
「おいおい、心配になって来たぞ……本当に大丈夫か」
「多分……いけると思う。 だが親父だって後妻はよそ者で娘みたな歳だったじゃないか?」
「お前、知っているだろう? あれは後添いとは形ばかりで妾以下だ。16歳の女を自分の物にする為に婚姻という形を取らなくてはならんかっただけだ。実際に美沙を物にした為に周りから白い目で見られていたのはお前も知っているだろうが」
「そうだな……まぁ見ていたから知っている」
「だから、お前が真理愛さんを口説け無ければ、歳の離れた嫁を探して貰うしかなくなる、その場合は、年上になるから覚悟しておけ」
「と、年上はキツイ」
「お前、今泉の事を馬鹿にしていたけど、素性は別として美沙より年上の嫁の可能性すらあり得るからな……本家に残りたいならそうなるぞ」
「大丈夫だ、真理愛はきっと……」
最早不安しかないな。
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