第8話 熱い夜
シャーシャー
ハァ~どうしよう?
和也くんのお嫁さんになると言う事は『そういう事よね』
私の事をあんなに好きだったんだから、経験自体してない。
ううん、多分してないよね。
そんな和也くんの相手をこの体でしないといけないのか。
体中痣だらけだし、手だって農作業ばかりさせられていたからゴツゴツしているし……本当によいのかな。
歳だって5つも年上なんだから……
和也くんと結ばれるのは私の夢だった。
だけど、それは叶わない筈の夢。
望んでも決して叶わない夢。
それが、今叶おうとしている。
だけど……肝心の私が『綺麗』じゃない。
こんな私が相手で和也くん後悔しないかな。
凄いよ……まさか本当に今迄愛してくれていたなんて……
『嬉しかった』
昔のまま優しくて、まるで宝物を見るような目で見て来る和也くん。
こんな扱い私はされた事がない。
お金の力で後妻にした権蔵さんは私を愛していなかった。
無理やり後妻にしたくせに、愛などなくただ私を『使った』だけだ。
嫌いな人間ではあったけど愛そうと努力はしたわ。
だけど、どんな尽くそうが、私には何も返してくれない。
殆ど何も買って貰えなかったし、食事さえ一緒に食べさせて貰えず、一人で余りものを台所で食べていたわ。
そんな人間、愛せる訳がない。
だけど、この村は男尊女卑が強いから、村の女なんてこんな物、そう思っていたのよ。
確かに小さい頃から和也くんは「好き」「結婚したい」なんて言っていたけど…本気だと思わないじゃない?
だって和也くんがそう言っていたのって12歳なんだから。
しかもこっちはもう17歳だったし。
子供って身近なお姉さんに憧れるから、それだと思っていたわ。
多分、そのうち同い年の子を好きになり忘れちゃうわ。
本当にそう思っていたのよ。
だけど、本当に真剣な目でいうから
『和也くんが大きくなったらね』
そう答えたのよね。
だけど、今思えば和也くんって本当に一途だったわ。
良く川魚を焼いた串焼きをくれたし、川で綺麗な石を見つけたと言ってくれたし、よく私の後をくっついて来ていたわね。
『ませているな』そう思っていたけど…
全部本気だったんだ。
今思えば、本当に子供だったけど、誰よりも優しかったわ。
それに、私の初恋は今思えば『和也くん』だったのかも知れない。
私の事を家族以外で唯一愛してくれた男の子。
権蔵さんに抱かれていた時や辛い時はいつも和也くんの事を頭に浮かべていた。
ううん、知れないじゃなく、間違いなく『和也くん』だった。
というか、私を愛してくれた人なんて和也くんしかいない。
逆に私が好きになった人は和也くんしかいない。
これって相思相愛だよね。
待たせるのは悪いし、受け入れてあげたい。
だけど、ずっとして無かったから手入れしてないわね。
好きでも無い人の為に綺麗でいる必要は無いもの。
私が、何も反応しなかったら詰らなくなったのか手を出さなくなったのよね、もう何年も触れられもしてないわ。
最後は、もう前過ぎて解らないわ。
弱ったわ、和也くんとこんな事になるなら手入れ位はしておくべきだったわ。
伸びきった毛は切ったけど、流石に体型は少し崩れた気がするわ。
この体で和也くん大丈夫かな。
がっかりしないかな?
本当に良いのかな?
だけど…和也くんなら大丈夫だよね。
きっと……
これ以上待たすのも悪いわ。
覚悟を決めるしかないわね。
「いいお湯だった、気持よいいね。和也くんもお風呂入ってきたら」
「あっ……」
「ショックだったかな? だけど和也くんにはちゃんと見せた方が良いと思って……ゴメンね」
「ただの痣でしょう? 俺もおちょこちょいだから、良くぶつけて作るから気にならないよ」
「よかった」
「それじゃ、俺もお風呂に入ってくるね」
「うん……」
痣だらけの体なのに、受け入れて貰えた。
もう後戻りは出来ないわ。
◆◆◆
お布団を敷いて、この村の風習になぞって白い長襦袢に着替えた。
そう言えば、権蔵さんの時には着なかったわね。
懐刀を枕元に置いて、これで準備は大丈夫。
多分、和也くんは初めてよね…良い思い出になると良いんだけどな。
お風呂から和也くんが出て来るのを三つ指をついて待っていた。
「私を貰ってくれるんでしょう……」
ドキドキしながら和也くんの反応を待った。
和也くんが少し驚いている気がする。
和也くんの言葉待てなくなった私は
「和也くん…来て」
自分の方から和也くんを求めた。
和也くんは優しく私を抱きしめてきた。
「あの、和也くん、私久しぶりだから…優しくしてね? やり方は解る?」
私は……嫌な話、経験はあるけど、最初位は和也くんからして貰いたい。
こう言う行為に楽しい思い出は何もないから……
和也くんに塗り替えて欲しい……
頷きながら和也くんはキスをしてきた。
「うん、うんうぐっうんうん」
いきなり舌を入れてきた……同じような行為。
だけど、相手が和也くんだと全然嫌じゃない。
寧ろ、嬉しい。
「ハァハァ和也くん…随分手慣れているわね」
「ハァハァ手慣れてなんてないよ…大好きな美沙姉にしたい事しているだけだよ」
「ハァハァそう…嘘、そこは、そこは汚いわ、そんな事しなくて良いから、恥ずかしい、本当に、あああー-っ」
私はそれをするのが凄く苦痛だった。
するのが、本当に嫌だった。
自分では、無理やりやらせる癖に……されたことは無い。
体は色々触られたけど手で乱暴に触られて、痛いだけだった。
そんな所触られた事ないわ…そんな汚い所にキスしたり舐めたりなんてなんで出来るのよ。
「ハァハァ…なんでそんなことが出来るのよ…そんな事ハァハァ和也くんしたく無いでしょう」
「大好きな美沙姉に汚い所なんてないよ…」
恥ずかしいけど…凄く気持ち良い。
好きな人が相手だとこんなにも違うのね。
と言うより…和也くんが凄く気持ち良い…これが本当の営みだというなら、今迄のは違う。
一生懸命、私を求めてくれる。
愛されているのが解る。
自分の体が火照りだし、女として和也くんが欲しくて、欲しくて溜まらなくなっていた。
気がつくと私は和也くんを受け入れようとしていた。
『痛いっ』
今迄の人生でこんなに私に夢中になってくれた人は居ないわ。
よくもまぁ、こんな汚れた私を…そう考えるのは和也くんに失礼よね。
和也くんって凄いわね…こんな私を何年も好きでいてくれたんだから。
此処迄してくれるなら、私だって答えるべきだわ。
「和也くん、今度は私がしてあげる」
私は和也くんを自分から受け入れ腰を振り続けた。
「美沙姉……その」
「大丈夫だから気にしないで……今は、続けて」
「解ったけど、痛かったら言って……」
「うん」
私はこう言う行為が嫌いだった。
権蔵さんに抱かれた時に良く『つまらない女』と言われたわ。
だけど違う、それは嫌いだったから。
愛そうとしない相手を愛する事なんて出来ない。
嫌いな相手を受け入れるなんて出来ない。
女って好きな相手になら何処までも淫らになれる。
その証拠に…和也くん相手なら此処迄、私は淫らになる。
きっと、権蔵さんがつまらない男だったから私も『つまらない女』だっただけだ。
気持ち良くて頭がぼうっとしてきた。
幸せ過ぎて怖い位…
「あれっ、和也くん、私…」
激しく求めあったからか、気を失っていたみたい。
和也くんが私に腕枕をしてくれている。
「もしかして、私気を失っていたの?」
「そうみたい…気を失ってそのまま寝ちゃたのかな」
「それで和也くんは、どうしていたの?」
「美沙姉が可愛らしかったから、そのまま寝顔をつい見続けちゃった」
「まさか寝ないで、見ていたの? 恥ずかしいわ」
窓の明かりを見るともうお昼位になっていた。
朝どころかもうお昼か…本当に凄いわ。
私が起きようとすると、和也くんに手を掴まれた。
「もしかして、まだしたいの?」
和也くんはニコリと笑い無言で私を引き寄せコクリと頷いた。
女として求められていると解ると嬉しくて仕方なくなる。
私はきっともう…和也くん無しでは生きていけない。
和也くんに本当の女の喜びを教えられちゃったから。
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