敢えてやってみる人称混在 ―小説技法研究― 

はくすや

はじめに

 令和四年の秋だったと思うが、他サイトで人称について考える企画があった。

 同じ場面を一人称小説と三人称小説で書く、という課題に始まり、最後は一人称表現と三人称表現を混在させる小説を書いて、なぜそれが不自然でタブーとされるのかを考える、というものだった。


 筆者はそれに対して三作投稿し、不自然となる理由について筆者なりの結論を得た――つもりだ(笑)

 しかし、それがかえってタブーに挑戦したい気持ちを起こさせた。


 実際、一人称と三人称を混合させた小説はすでに存在する。投稿サイトのみならず書籍化された小説もある。


 その小説に対しては通販サイトの評価欄で予想通り批判的なコメントがあった。

――一人称と三人称が混合していて、それが気になって小説に集中できない

――そもそも日本語としてどうなのか? これを出版した出版社の意識も問いたい

などなど、なるほどと思わせるコメントが多数みられた。


 しかし、筆者もはじめは変だなと思い、何度か読み返したりして、この小説ではこれが当たり前なのだと思うと、それほど気にならなくなり、シリーズものとして三作くらい読んでしまった。


 ライトノベルなら許されるだろう。ストーリーがお気に入りなら問題ない。


 いや、むしろなかなか面白い試みなのではないか?


 小説は常に進化している。退化していると考える人もいるかもしれないが。

 その進化はラノベから始まっているのではないか。


 今後、デジタル書籍が圧倒的多数になれば、印刷された紙本も横書きになったり、余白が多くなったり、やたら改行が多くなったり、会話文の頭に発言者の名前が出たり、かぎかっこ「 」の中でも改行が当たり前に使われたり、とどんどん変わっていくことだろう。

 そしてさらに進んで、一人称と三人称が混在する小説も当たり前になるかもしれない。


 投稿サイトはそうした前衛的小説の試みを読んでもらえる場だと考えている。


 ということで、これは人称の混在を試みる話だ。


 興味のある方は読んで欲しい。

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