魔力感知

加減は出来ない


……無刃なら反応されないかな


速攻先手一撃で仕留めるつもりで行く

最悪魔力で押し切られる

魔力を持たない分短期戦で押し切らないと不味い


動きに注意してタイミングを測る

異様な魔力に本能が危機を伝える


……本当になんだろこの魔力


「なんか知ってる魔力に似てる。魔物の魔力ってどうやったの?」

「それ程特殊な事はしてない」

「教えてくれるんだ」

「別にここで殺すし伝えても問題ない。それに他の人間にこの芸当が出来るかわからないし」


マスクを外す


……凄い美少女


口の中に手を突っ込み何かを吐き出す

吐き出された物を見るとそれは魔石であった


「魔石!?」

「魔石を取り込んでるだけ」

「魔石を取り込むなんて無謀な」

「普通なら、私は特殊だから」

「特殊な体質?」

「魔法」

「特異魔法ですか」


アルトが気づく


「なにそれ?」


ミラは再び魔石を取り込むと攻撃を仕掛ける

剣で受け止める


「会話中!」

「反応が早い」


剣を何度も振るい攻撃を仕掛けてくる

クロナは攻撃を剣で受け切る

一度剣を弾いて接近する


「無刃」


ミラの背中にぞくりと悪寒が走る

魔力を足に集めて脚力を上げて地を蹴り後ろに飛ぶ

一撃が放たれる

避け切れず服が横に切れる、切れた所から白い肌が見える


……見えなかった、魔力で強化しているのに


五感も魔力によって強化している

それでもクロナの一撃は見えず避け切れなかった

赤黒い剣の形を変える

2本の剣にする


……増えたよ。これが特異魔法って奴なのかな


ミラは素早く接近して剣を振るう

1本目の剣を受け止めるが間髪入れずに2本目の剣が振るわれる

後ろに飛んで回避する

すぐに接近してくる


「速撃」


素早く複数回切りかかる

前に出した2本の剣で受け切る

赤黒い剣にヒビが入るが次の攻撃の前にクロナの腹に蹴りを叩き込む


「グッ……」


直撃してよろめく

すぐに剣を振るって接近を牽制する


土の塊が飛んでくる

ミラは赤黒い剣で切り裂いて1本を投げ飛ばす

土の壁を展開するが貫かれ肩に剣が刺さる


クロナは接近して無刃を放つ

魔力を足に込めて飛び上がり回避する

そして剣を建物の壁に突き立ててぶら下がる


……不味い


クロナは中距離以降の攻撃手段をほぼ持たない

魔法を使える相手に不利になる


……ナイフを投げるかな。いや反応される


距離を取ったミラは魔法を発動させる

そしてヒビが入った赤黒い剣を修復する

そして魔力を更に込める

魔物の魔力で底上げされた魔力を限界まで込める

魔力を込めた剣を投擲する


飛んできた剣を見る


……この程度なら


剣を振るって剣を切り落とそうとする

剣同士をぶつける


……は?


力で押される

弾こうにも弾けない、むしろどんどん押されていく

投擲された剣相手に力で負けている


「何……これ」


押し負ける前に横に飛んで回避する

剣が地面に突き刺さる


「強い、どういう事?」

「これが通じるなら」


8本の赤黒いナイフを取り出す

魔力を込めて投擲する

1本を剣で受ける、剣よりは軽いがそれでも僅かに押される


……重い


足や胴体にナイフが掠る

血が流れる


「クロナさん」


アルトは土の魔法を発動させる

砂嵐がミラに襲いかかる

ミラは壁を蹴り移動して回避する


「大丈夫ですか」

「今のところは……ただ接近出来ないのは厄介だなぁ」


接近できなければ一方的にやられてしまう

接近しようにも上に逃げられたら追えない


「私が援護します」

「危ない」

「危険な事でもこれは騎士団の役目です。それに私は副団長、やらねばならないのなら命を掛ける覚悟はある」

「距離を取られないように何とかできる?」

「出来ます」

「なら任せる」


土の魔法を発動させて砂を生み出す

そして砂の屋根を作りそこから砂の棘を発生させる

逃げられないように戦闘エリアを確保出来る範囲を囲むように土を展開する


クロナは地を蹴り突っ込む

接近戦

ミラは魔力を込めた剣で迎え撃つ


……投擲だけじゃないはず、多分普通に魔力の込める量が変わった。今の私じゃ真っ向からは勝つのは難しい


ミラは剣を横薙ぎに振るう

投擲時と同じ量の魔力を込めた一撃


剣で防がずしゃがみ込んで接近する

そしてそのまま片手で剣を振り上げる


ミラは後ろに飛んで攻撃を回避してナイフを取り出して飛ばす


……これは薄い


魔力の量の差を感覚で判断して切り落とす


「まだ完全には至ってないけど……やるしかない」


息を整える

アルトが作った絶好の機会、逃す訳には行かない

しかし、今のままでは勝てない

今の限界を超えなければならない

目を閉じ視界を閉じる

そして魔力を感じる感覚を鋭くする


「目を閉じて避けれるとでも!」


複数の赤黒いナイフを飛ばす

魔力の込める量に差を付けて叩き込む

目を閉じているクロナに剣は見えていない

僅かに感じる魔力や音を頼りに剣を振るう

1本のナイフに剣が当たる

その県は魔力が少なく切り落とせた

しかし、他のナイフが腕に突き刺さる


……もっと、もっと深く


深呼吸をする

ナイフが掠って出来た傷口とナイフの刺さる腕がズキズキと痛みを訴える

師匠に教わったとある技術を今試そうとしている

今まで一度も成功した事は無い

今まで何十回、何百回と修練はしてきたがそれでも一度も成功した事の無い物


ナイフが飛んでくる

今度は身体を動かして2本のナイフを切り落として何とか体に当たらずに済む


師匠の言葉を思い出す


「この世界の生物は魔力を持っている。お前のような例外を除いて、そしてその魔力、視覚化出来るその力は本来目には見えぬ、この世界に漂う物、目を閉じ魔力を感じるんだ。さすれば汝の目に万象の軌跡が記される」


肌で魔力を感じる

本来見えない世界に漂う物を感じる

深く意識を沈める

深く深く意識を手放さないように気を付けながら


身体にナイフが突き刺さる

避ける事もしない

傷口から血が流れる


「諦めた?」


ミラは仕留めるつもりで額目掛けてナイフを飛ばす


今までよりも深く意識を沈めた事、現在死が迫っている事、本能が命の危機を訴えている事などの理由から初めて師匠の言っていた領域に至る

目を閉じているのにうっすらと光が見える

小さい物大きい物、丸い物尖った物細長い物、赤い色、青い色など様々な光を感じる

直感で魔力だと理解する


そしてゆっくりと目を開く

目の前にナイフが迫っている


「速」


素早く剣を振るい飛んで来ている全てのナイフを切り落とす

その中には当然魔力を多く込めた物もある


「なっ……切り落とした」


視界が目を閉じる前とは変わって感じる


魔力の感知能力を高める技術

この技術は本来魔法使いが自身の限界を超える為に行う儀式のような物

才能が必要であり習得出来る者は少なく出来た者と出来ない者では魔法使いとしての強さの差も出てしまう

魔力操作がより精密に行えるようになる

魔法使いでは無いクロナは本来なら教わる事のない技術で魔力操作の必要が無いクロナにはほぼ意味が無い技術


しかし、クロナは魔力を感じる力を引き上げた事で相手の魔力の量と質そして流れを見極める力を得た


……成程、これが師匠が見てた景色か凄い綺麗


魔力の流れ、残滓を感じる

周囲に溢れる魔力を感じる


……ナイフにまだ魔力が込められてる。つまり何か出来るね


地面に突き刺さったナイフの魔力を感じる

身体に刺さったナイフを引き抜いて放り投げる

ナイフが地面に落ちると同時に接近する


ミラは剣を振るって迎え撃つ

多くの魔力を込めた剣を振り下ろす


魔力の流れを見る、大量の魔力が込められているが流れがある

波打つように魔力が剣の周囲を回っている

魔力に波がある、魔力が少ない部分に狙いを定めて一撃を与える


「壊」


重い一撃は魔力を纏う赤黒い剣を破壊する

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