雑談
「戦闘中に使っていた魔法はなんですか?」
王都に向かっている道中、暇の為雑談をする
警戒はしているが魔物は出てこない
「魔法?」
「戦闘中に使ってましたよね? あれだと身体強化の力と速度ですかね」
「あれは魔法じゃないよ?」
「なら魔力による身体強化なんですか? あのレベルの身体強化だと相当魔力を使うと思うんですか」
身体強化には2種類ある
魔法による身体強化、魔法の場合は全体的に能力を上げる魔法と指定した能力を底上げする魔法
もう1つは魔法を介さず魔力で強化する方法、魔力による強化だと腕や足など部位ごとの強化が可能だが維持に魔力を多く使用する
「身体強化してないよ。あれは素の身体能力」
「あれがですか!? いやそもそも魔物と戦うのに身体強化をしないって……」
少女は驚く
素の身体能力で魔物を倒す事にも驚くがそれ以上に身体強化を使っていない事に驚いている
魔力が満ちる世界、魔法を使えずとも魔力による身体強化は基礎
一般人でも使える技術で近接戦闘で魔物討伐をする際は必須とされている
「……ちょっと色々あって」
はぐらかす
……魔法も身体強化も無しで森の主を倒した? 常識的に考えると有り得ない
この世界の常識的に考えておかしい事をクロナはやっている
「まぁ人には秘密がありますよね。他の話題……冒険者ランクは何等級なんですか?」
「5級」
「5級!? あの強さで?」
普通の5級冒険者では主どころか弱い魔物にも苦戦するレベル
「パーティ組めなくてずっと討伐依頼受けれなかったから」
「討伐依頼ですか?」
「4級に上がるには5級の魔物討伐依頼をこなす必要があるんだけど基本的に2人以上なんだよね」
「成程、パーティは組まないんですか?」
「ちょっと訳ありで組めなくて……」
「そうなんですか」
……間違いなく実力はある。なんでだろ性格?
単独で森の主を討伐出来る程の実力者、普通に考えたらパーティを組めないのはおかしい
相当の問題児なら誰もパーティに入れないがクロナはむしろ真面目な部類
「そ、そういえばなんで森の中に? 冒険者じゃないよね?」
少女をギルドで見掛けた事が無いのと冒険者ランクを上げる条件を知らなかった事から冒険者ではないと判断する
「森の奥にある草を取りに行ってました」
「森の奥に……何か薬草なんて生えてたっけ?」
森の入口付近には採取依頼でよく掻き集めている傷薬に使える薬草や非常時に食料になる草が生えているが森の奥にはそう言った物が生えているという話をクロナは聞いた事が無かった
「特殊な草で」
「へぇ、奥は余り行った事なかったから知らなかった」
「それで1人で向かってました」
「魔法は使えるの?」
「使えます。実戦の経験はありませんが魔法には自信がありま……した」
自慢の魔法も森の主には通じなかった
「杖は?」
「杖……あっ、何処かで落としたみたいです」
「あちゃぁ、森の中は探すのが大変」
背の高い草や多くの植物が生い茂っている森の中では杖のような物は見つけづらい
探すとなればかなり大変だろう
「いえ大丈夫です。あの杖は市販品なのでまた買えばいいので」
「そっか」
「買うと言えば剣も新しく買わないと行けませんね。私、金はありますので弁償します」
森の主戦闘で4本の剣が破損した
「いや、大丈夫、これはいつもの事だから」
「いつもの事ですか?」
「私何故か剣を振るうと壊しちゃうんだよね。師匠にはよく呆れられてたくらいには」
「市販品とは言え剣ってそんな簡単に壊れないと思うんですが……」
一般流通されている剣は量産に適していて切れ味よりも耐久性に重きが置かれ手入れをして雑に扱いさえしなければそこそこ持つ
クロナはそんな剣をたった一度、二度振るい切るだけで壊してしまう
市販品とは言え剣は安くない
剣を使う度に破壊し金が無くなっていく
それがクロナが金欠になっている理由
「師匠が言うには速すぎる、重すぎるらしいけどよく分からなくて」
「剣の話は私詳しくないので分かりませんね。壊れてしまうなら魔剣などはどうですか?」
「確かに魔剣は頑丈、でも昔触れたけど私魔剣の力を引き出せないんだよね」
「力を引き出すには修練が必要だと聞きます」
「それに高いから……」
魔剣、魔力を纏う特殊な剣
耐久性が高く切れ味も良い、そして魔力を消費して剣に宿った魔法を放つ事が出来る
余り多くは出回らず高価
「私が買いましょうか? 魔剣なら壊れないと思いますし」
「いやいや、あれ物凄く高いから良いよ。買うとしても自分で金集めて買うから」
「ですがこの調子だと金欠から抜けられませんよ?」
「うっ……確かに4級に上がったとしても金欠生活からは抜け出せないかも」
4級に上がれば討伐依頼で多くの魔物と戦う機会が出来る
しかし、クロナは戦えば戦うだけ金が無くなっていく
強い魔物となれば一撃で倒せない魔物や苦戦を強いられる魔物も居るかもしれない
そうなれば大量の剣を買い込んで挑まないとならない
「耐久性能を重視した剣があればいいんですが……」
「耐久性能の高い剣、1本だけ心当たりはあるんだけど高くて」
「魔剣ですか?」
「魔剣では無かった筈、話によるととあるダンジョンの最下層から掘り出された剣で特殊な能力は無いただ頑丈な剣らしい」
「それ買いましょう」
「魔剣と同じくらい高い」
「大丈夫です! 命の恩人なので私に出来るのはそのくらいですし」
「まぁ売れてなかったらね」
「分かりました」
グイグイと来る少女に押し負ける
……主の素材なら高く売れるからその金で……流石に足りないかなぁ
城門へ着く
門番が通行証や荷物を確認している
並んでいる人々の一番後ろに移動する
門番はテキパキと手慣れた動きで確認していく
順番を待つ
出る時は何も無いが入る時は門番に通行証の提示が必要となる
30分程度で順番が来る
「通行証を」
クロナは冒険者カード、少女は通行証を見せる
冒険者カードは身分証明として使え通行証の代わりとなる
門番が素早く確認する
「問題は無し、どうぞ」
問題無く中に入れる
「取り敢えずギルドで魔物を売ろう」
「ですね」
そのまま大通りを通ってギルドへ向かう
大通りの先にありそれほど距離は無い
「本当に色々と売ってるんですね」
少女は屋台や店を物珍しそうに見ている
「店だと薬草、ポーション、魔道具、武器や防具、屋台だと果物や焼き物とか小道具が売られてるかなぁ」
「凄いですね」
「食べ物は特に安いし美味しいから金あるならオススメだよ」
「成程」
ギルドに着き施設の中に入り受付に向かう
「……クロナさんは依頼を受けてますね。依頼完了ですか?」
受付嬢はクロナを見て手元にある紙を見る
依頼を受けた冒険者の名前とその依頼内容が記されている
「いえ、別の魔物を売りに来ました」
「別の魔物ですか? 素材売却ですね分かりました。それでその魔物は」
「私が持ってます」
神秘の箱を取り出して箱を開く
床に森の主の死体が現れる
施設内に居た冒険者や受付嬢の視線を釘付けにする
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